理系の就活生です。30社受けて全落ちしました。【就活なんでも相談室】Vol.3

「理系専攻を生かせそうな企業を30社も受けたのに全落ち。もう、どうしたらいいのかわからない…」就活で、思うような結果が出ず、つらい思いをする人は少なくありません。相談者Fさんもその一人。「自分のやりたいことも、なんだかわからなくなってしまった」とリクナビ就職エージェントにやってきました。今回は理系学生が就活で全落ちしてしまった後の対処法や理系の強みを生かせる業界や職種の選び方をリクナビ就職エージェントのキャリアアドバイザーがアドバイスします。

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「理系学生です。就活しましたが、応募企業30社に全落ちしました」

大学院卒業予定の理系学生です。研究テーマにこだわって就活したものの、応募企業30社に全落ちしました。どうしたらいいですか。

理系学生は就活では有利と言われますが、なかにはうまくいかずに、大変な思いをしている人もいます。Fさんは都内理系私立大学の修士課程に在籍、生物系の研究をしてきました。研究してきたことを活かして研究開発職に就きたいと考え、食品、製薬、化粧品などのメーカーの研究開発職に絞って約30社にエントリーしました。ところが結果は全落ち。1社も内定のないまま夏休みに突入してしまいました。「最近は売り手市場だっていうし、理系だから専攻を活かせば大丈夫と思っていたのに・・・。次にどうしたらいいのか。自分が何に向いているのかわからなくなりました」

専攻が生かせそうな企業には全落ち。進学や就職留年も視野に…

キャリアアドバイザー  現段階ではまだ内定が出ていないのですね。でも、まだまだ企業の採用は続いています。ここから一緒にがんばりましょう。

Fさん はい、よろしくお願いします。研究開発職の募集がある企業で、自分の研究が生かせそうなところがないかと考え、就活してきましたが全落ちしてしまいました。考えていた企業がすべてなくなったので、これからどうしようか、とても不安です。博士課程への進学や就職留年も頭をよぎります。どう進めていったらいいのか、何ができるのか、全くわからなくなってしまいました。

周りも「大学院に進むのが当たり前」という環境

キャリアアドバイザー 焦りたくなる気持ちはわかりますが、お話を伺っていけば、きっとFさんに適した次のステップが見つかると思います。まずは今までを振り返ってみることから始めましょう。今は大学院の修士課程ですね。大学時代、学部卒業時には就職活動はされましたか?

Fさん いいえ、まったくしませんでした。生物が専攻なのですが、生物の学生は進学が当たり前、みたいなところがあって、周りの人もほとんど大学院に進学します。私自身、勉強好きなので(笑)、悩むこともなく決めました。

キャリアアドバイザー そうなんですね。そして、修士1年目の2月に、エントリーシート(ES)の添削を希望して、一度、私たちのところ(リクナビ就職エージェント)に相談にいらっしゃいましたね。

Fさん はい。お世話になりました。

関連記事:理系就活あるある「身近に相談できる人がいない」「研究が忙しくて情報収集できない」を解消するには?

理系学生は長期インターンシップの参加が難しい現実も

キャリアアドバイザー 修士1年目には、どちらかの企業で、インターンシップに参加されましたか。

Fさん いいえ、研究が忙しくて行けませんでした。

キャリアアドバイザー わかりました。たしかに理系の人は、拘束期間の長いインターンシップだと、なかなか日程の調整が難しいことは、他の理系の学生さんからもよく聞きます。ところでFさんはどのような研究をされているのですか?

Fさん 植物の細胞の成分を分析して光の受容度について研究しています。食品、製薬、化粧品などのメーカーなら、研究してきたことが生かせると思いました。この研究は身近で人の生活に欠かせない分野ですから。

関連記事:理系学生のインターンシップ、参加するメリットと選び方・スケジュールの立て方のポイント

研究室のイメージ写真

全落ちしても大丈夫。理系就職の傾向を踏まえて準備しよう

キャリアアドバイザー 理系の方の就職には、毎年同じ傾向があります。Fさんが挙げた業界の企業の研究開発職には、生物、農学系の修士課程の学生さんが集中します。化学や薬学などの専攻の方も大勢いるので、選考はかなり狭き門になってしまいます。第二志望群も作って検討をすすめておかないと、実際の就活は、苦戦することになりかねません。大手の場合はさらに厳しくなりますね。大手ばかりを受けたということはありませんか?

Fさん そうですね。受けたところは、名の通ったメーカーばかりだったかもしれません。

キャリアアドバイザー そのうち書類選考を通ったのは何社くらいですか?

Fさん 10社でした。その後、筆記試験などで落とされ(苦笑)、面接に呼ばれたのは5社でした。

ESの完璧さだけでなく、面接の経験を積むことも大切

キャリアアドバイザー その間、ご自分ではどんなことに力をいれていらっしゃいましたか。

Fさん まずESを書くことに頑張りました。こちらで添削を受けたこともそうですし、キャリアセンターで書き方を学びました。合同企業説明会にも参加しました。

キャリアアドバイザー 業界を絞ったこともあり、面接経験が足りなかったのかもしれませんね。これは理系の方によくお話しすることですが、ESが完璧であっても実際に伝える練習を踏んでいないと相手が理解できないままに終わってしまうことがあります

Fさん そうですね、面接では緊張してしまいました。グループ面接もありましたが、グループディスカッションとか、やはり場数を踏んできている学生さんに圧倒されてしまいました

「自分のモチベーションが上がった」と感じる経験から強みを再発見してみよう

キャリアアドバイザー お話を伺ってみると、今までの研究で身につけたスキルに自信があった反面、自己理解を深めることや、面接で自分らしさや、自分の想いを伝えることなどは、まだ十分にはできなかったようですね。

Fさん そこは、よくわかりません。私はずっと研究に没頭してきましたから、自分に「できる」のはこの分野だけだと思ってきたのですけど……。

自分が考える「できる」ことと企業が求めることは、異なる可能性もある

キャリアアドバイザー 研究のテーマはもちろん、ご自身の強みですし、自信をもって自分が「できる」と思うことに直結しているかと思いますが、それ以外にも、できることや得意なこと、ご自身らしい強みはたくさんあります。自分で考える「自分らしさ」や「自分の強み」も、企業からは違ってみえることもあります。自己分析と異なることもよくあるんですよ。ところで、Fさん、「できる」の中の、「やりたい」は何でしょうか。

Fさん ……。

キャリアアドバイザー 例えば、これまでの経験で、自分のモチベーションが上がったと思う瞬間はどんなときですか。研究以外でも構いません。

Fさん サークルの友だちと、駅で陣取りやかくれんぼをするのが好きです。子どもっぽいですか?(笑)

キャリアアドバイザー そんなこと、やるんですか。研究が好き、というイメージと全然違いますね(笑)。

Fさん あと、ラボとかで自由に考えを言い合う意見交換が好きです。チームで課題を解決していったりするのもすごく達成感があって好きですね。

キャリアアドバイザー そうですか、人との接点が好きなのですね。

Fさん 人との接点が好き、確かにそうですね。みんなでワイワイと一緒に話をしたり、何か発見したりするとすごくうれしいです。

キャリアアドバイザー その個性は、研究開発にももちろん生かせますが、みんなで課題に向かって活発に議論し合い、知恵を出し合って解決に向かうような、チームで動く仕事などにも、楽しく取り組めそうですね。Fさんには課題解決の能力がありそうですから、そこから考えると、企業や職種の選択肢が少し広がってきませんか?

Fさん 本当ですか!?うれしいです。

「強み」を見つける方法は以下の記事でも紹介しています。
エントリーシート・面接で「自分の強み」を聞かれたら?「強みや長所」の見つけ方・伝え方<回答例も紹介>

強みがわかると注目してこなかった業界・職種にも活躍のチャンスがあるかわかる

キャリアアドバイザー 本当ですよ (笑)。お話していて、まず、私がFさんの適性を感じたのがIT業界です。Fさんのように研究室で仮説を立てて課題を解決していく、いわゆるPDCA サイクル(Plan・Do・Check・Action)の経験を積んでいる学生さんは、同じように仮説を立ててプロジェクトに取り組むIT業界から評価されることが多いんです。Fさんならシステムエンジニアでしょうか。それから同じ理由で、コンサルタント的な役割を担う仕事にも、楽しく取り組めて、活躍できそうなイメージを持ちました。さらに私の想像を最大限膨らませますと、との接点が好きなことを活かして、提案営業の仕事でも活躍できるのではないでしょうか。扱う商材にFさんが興味のあるもの、というのが大前提ですが。全く興味のない商材を扱うのでは、モチベーションが上がりにくいですからね。

Fさん そういう考え方もあるんですね。やれること、ありそうですね。研究のテーマ領域だけで就活を進めることに何の疑問もなかったので、これまで自分に合う仕事などと考えたことがありませんでした。エントリーした企業に全部落ちて、こうして相談したからこそ、初めてわかったことです。大切なことに気がつけました。

キャリアアドバイザー よかったですね!今からでも遅くありません。きっと面接でも、「やりたい」という意思がきちんと伝えられると思います。

Fさん 専門でもないし勉強もしてきていませんから不安もありますが、チャレンジしてみたいと思います。

キャリアアドバイザー では、具体的な求人を見てみましょうか。

(キャリアアドバイザーが、Fさんにいくつかの求人を説明、質問に答える)

Fさん ありがとうございます。この3つの職種の軸で、考えてみようと思います。今日は本当に、ありがとうございました。

その後…チームで協業するスタイルのIT企業で活躍中

Fさんはキャリアアドバイザーが紹介したIT業界の1社に内定した。チームで協業するスタイルが特徴的な社風の企業だ。最近、システムエンジニアとして元気に活躍していると報告があった。


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※本記事は、リクナビ就職エージェントのキャリアアドバイザーが実際に就活生とやりとりした相談を参考に再構成しました。

記事制作日:2018年8月6日 更新日:2024年4月4日

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