「社会人が怖い」というその不安、『中間管理録トネガワ』で払拭(ふっしょく)できる!

連載タイトル「貸本屋店主が辛口エール 悩みに効くマンガ」

都内某所にひっそりたたずむ、知る人ぞ知る会員制のマンガ専門貸本屋「ゆたか書房」。会員の中には、店主のゆたか まりさんに人生相談をする人も。悩みに答えるアドバイスと共に、オススメのマンガを紹介してくれると聞きつけて、はるばる店を訪ねる就活生もいるんだとか。
就活や「働く」ことに悩んでいるあなたの意識を変えてくれるかもしれない、とっておきのマンガを、店主の独断と偏見で紹介します。

社会人は完璧な超人じゃないってこと、話してみたらわかるはず

社会人と接する機会があまりなかった学生さんは、「社会人って、“完璧”なんだろうな」と思い込んでるケースが結構あるのよね。「この先、OB・OG訪問や面接でどう接すればいいの?」「礼儀や敬語に自信がないし、怒られるんじゃ?」という謎の不安から、「アイタタ…おなか痛くなってきた」となっちゃう人も。

いやいや、そんな心配しなくて大丈夫だってば!今回は「社会人って、怖くないんだ」がわかるマンガをオススメするよ〜。

『中間管理録トネガワ』書影『中間管理録トネガワ』(協力:福本伸行 原作:萩原天晴 漫画:三好智樹、橋本智広/講談社)
『賭博黙示録カイジ』のスピンオフ作品。消費者金融業を主体とする帝愛グループは、多重債務者たちが人生一発逆転を目指して参加する「死のゲーム」を開催する悪魔的ブラック企業。しかし、このゲームを企画・実施するまでの背景には、グループの最高幹部の一人・利根川幸雄の苦悩と葛藤があった。ワンマン会長に振り回され、部下の「黒服」たちを取りまとめることにも四苦八苦する中間管理職を描くギャグマンガ。企画会議やバーベキュー親睦会、新卒の採用面接など、普通の会社に重なるエピソードが満載。

 バリバリ働く若手社員も、白髪頭の偉いおじさんも、みんな「フツーの人間」です

今回は、ズバリ結論から言わせてもらうわ。
社会人は、「社会人という生き物」ではありません。面接担当者も「面接担当者という生き物」ではありません。みんな「フツーの人間」です!

朝起きて「あ〜、もっと寝てえ」と思いながら歯を磨き、満員電車に揺られながら「あ〜、早く着かねえかなあ」と石像のように目を閉じ、会社で上司に叱られながら「あ〜、どうしよどうしよどうしよ」と冷たい汗をかき、「あ〜、しんど。仕事終わったら絶対ビール飲む!」とささやかなご褒美を糧に頑張っているのですよ。

そう、キミたちと同じく、ごくごくフツーの人間なのです。
完璧☆仕事人間でもなければ、面接サイボーグでもないし、会社説明会に来たキミたちを狙うスナイパーでもないんだってば!

若手社員だけじゃなくて、白髪がチラホラ見えてる偉いおじさんたちも、もちろんそうよ。カンロクありそうに見えても、「さっき部下に言い過ぎたかも。もしかして、俺って嫌なおじさん?」と自己嫌悪に陥ってたり、厳しい表情をしていても、「子どもと遊ぶのを楽しみにしていたのに、休日出勤かあ…」とガックリしてたりするのよね。

そもそも、おじさんたちも若手社員も、社会人になる前はみんな学生だったわけで、キミたちと同じく、就活で悩んだ時期もちゃんとあったのよ。そう考えたら、恐れおののく必要なんてないっしょ?

『中間管理録トネガワ』1巻、新しく配属された部下の名前を覚えようとするシーン
▲上司である利根川は、まずは配下となった部下たちの名前を覚えようとするが、全員、黒服&黒メガネ。特徴がなく、覚えにくいことに頭を抱える利根川だが、「川崎」や「山崎」といった紛らわしい名前の部下がいると気づき、さらに苦悩する。

社会人への緊張と不安は、フツーに話してみることで解消できる!

「それでもやっぱり緊張しちゃう」という皆さんには、とっておきの秘策を伝授しよう。
もしも社会人が怖いと思うのなら。うまく話せないかもしれないという不安がほとばしっちゃうのなら。

「自分からどんどん話しかければいい」ってだけなのよ。

この先、インターンシップやOB・OG訪問、会社説明会で、人事担当者や若手の先輩社員に接する機会がたくさん出てくることでしょう。
その時、名刺をゲットしようとアタックをかけ、自己アピールしまくるヤル気ハツラツ&テンションMAXの学生も見かけることでしょう。

そして、彼らがハツラツとすればするほど、キミたちは「ざわ…ざわ…」とドン引きすることでしょう…。

うん、そこ真似しようと思わなくていいから!
コネをつくろうとか、自分を印象付けようとか、全然思わなくていいから!

そんなことより、何でもいいからフツーに話しかけてみんさいよ。
その会社やその人に対して、気になったことや知りたいことをサクッと聞いてみちゃえばいいのよ。そうしたら社会人の皆さんもフツーに答えてくれるから、「全然、怖くないんだ!」って思えるはず。

さらに言えば、そうやって直接話を聞くことで、「あ、この会社の働き方いいかも!」とか、「そんな仕事があるんだ〜」とか、新たな発見ができたりするのよね〜。

というわけで、今回のオススメは、社会人が怖くないことがわかる『中間管理録トネガワ』ですよ!

主人公は、ブラックを通り越した漆黒のブラック企業、帝愛グループで働く中間管理職の利根川幸雄。会長のむちゃ振りに翻弄(ほんろう)されながら、ちょっとズレている部下たちをまとめようと四苦八苦する姿が描かれているのよ。

部下からの信頼回復のために起死回生のバーベキューを開催したり、企画会議を和ませるために渾身(こんしん)のギャグを放ったり。いとしくも笑えるその姿をこれから出会う社会人に重ねれば、緊張せずに話せるようになるハズ!

それとね、もしキミがマナーや言葉遣いに自信がなくても、相手を人として敬うハートがあれば、ちゃんと通じるものなのよ。まずはこのマンガで「社会人も、人間だもの」ってことを実感してみない?

オススメのひとコマ

『中間管理録トネガワ』3巻「ズレている・・・・!根本的にっ・・・・・・・・!」のシーン

「ズレている・・・・!根本的にっ・・・・・・・・!」

熱意をアピールするだけじゃ、面接選考は通らない

これは、新卒採用の面接会場でのワンシーン。部下は「学歴も筆記も受け答えも良く、何より、帝愛への熱意が本物」と感じた学生を通そうとするんだよね。けれど、利根川は「帝愛はブラック中のブラック。素晴らしい企業だと言った時点で、彼はズレている」「熱意だけが先行し、本質…帝愛のブラックさを見抜けていない」として帰らせてしまう。

実はこれ、ブラックじゃない企業にも同じことが言えるのよね〜。

例えば、「幼いころから御社の商品が大好きで!」と熱意をアピールしても、人事担当者から「商品への愛は伝わったけど、うちの会社で働くことについて具体的に理解してないんじゃ?」「自分のイメージだけなら、入社後にギャップを感じてすぐ辞めるかも」と疑問に思われる可能性も大きいのよ。

企業の商品や採用情報だけチェックしても、本質までは見えないもの。だからこそ、仕事のやりがいやその会社の魅力について、社員に直接聞いてみることって大事なんだよね。

プロフィール
ゆたか書房店主 ゆたか まり

都内某所で50年以上続く貸本屋「ゆたか書房」を引き継いだ3代目店主。毎月、50〜70冊程度の新刊マンガを入荷し、年間1000冊前後のチェックを続けている。2016年、旧店舗立ち退きにて、新店舗への移転を果たし、現在も会員の無理難題に応えながら、面白いマンガをオススメし、広めていくことをテーマとしている。(※会員制につき、いちげんさんへのマンガの紹介はお断りしています)

文/ゆたか まり

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