人事部長インタビュー

Vol.52 世界銀行

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「極度の貧困の撲滅」と「繁栄の共有の促進」を目指す

“銀行”とあるので、世界銀行にはエコノミストなど経済系の専門家ばかりが働いているとイメージされがちですが、そうではありません。例えば、水や道路などのインフラ、農業、エネルギー、都市開発、交通などのエンジニアリング、さらには教育や法律など、本当にさまざまな分野の専門家が活躍しています。

 

途上国に資金や技術を提供し、国の成長のお手伝いをしている国際機関が世界銀行です。今、世界銀行が掲げている目標は、2つあります。1つは「極度の貧困の撲滅」です。2030年までに、1日1.25ドル未満で暮らす人の数を世界全体で3パーセントまで減らすこと。今なお世界で10億人以上がそうした極めて貧しい生活を送っています。

 

そしてもう1つが、「繁栄の共有の促進」です。途上国の所得の下位40パーセントの人々の所得拡大を促進し、豊かさを共有することを目指しています。

 

目標の達成を目指し、途上国の貧困撲滅に有益な成果をもたらすべく、さまざまな支援を実際に行っているのが、世界銀行の職員。本部はワシントンDC(アメリカ)にあり、本部で仕事をしている職員もいれば、出張で各国を飛び回っている職員、また世界中にある世界銀行の事務所に駐在して働いている職員もいます。

 

世界銀行の職員に求められるのは、高い専門性とリーダーシップ、ネットワーク力です。途上国政府に対して、融資のみならず、国を豊かにするための政策について、さまざまなアドバイスをしなければなりません。

 

例えば天然資源があるならば、どのくらいの生産をするのが最適なのか。どのようにして運ぶのか。港と街の間に道路を造るとすれば、どんな道路を造るべきか。何車線で、料金はいくらにし、何年で回収するのか。また、環境にはどんな影響が出るのか。資源開発の知識を培うための教育はどうするのか…。

 

国の発展についての専門知識が充分でない国において、その国の政府と一緒になって考え、計画を作り上げ、実行していくのが世界銀行の職員。とても高度な、選りすぐりの専門性が必要になる仕事です。

 

世界銀行は、開発の総合デパート、と呼ばれることがあります。国の発展のために必要な、あらゆる分野の支援を行っているからです。また、国によって、必要とされる支援の段階はさまざま。融資はもちろん、ハードからソフトまで、短期から中長期まで、途上国が大いに利用して成長できるだけのリソースを、世界銀行は持っていなければなりません。

 

そのために、世界中で職員の募集が行われており、188カ国の加盟国から幅広い分野の専門性を持った人材が集まっています。現地事務所は世界120カ国以上に展開され、積極的に権限移譲が行われることで、スピーディーな意思決定が可能になっています。

 

世界のどこに行っても、評価され認められるようになる

世界銀行グループの全職員に占める日本人の割合は2パーセント程度しかありません。もっと多くの日本人に活躍してほしいと考えています。日本人がまだまだ少ない背景には、世界銀行について、詳しく知られていない、ということが大きいと思っています。世界銀行で働くということを、イメージできない人が多いようです。

 

世界銀行で働く最大の魅力は、世界中から集まった極めて優秀な専門家たちと一緒に仕事ができることです。これは、極めて刺激的なこと。常に学びがあり、自分を高められます。自分の能力を大きく高めていくことができるということです。

 

また、途上国の開発に携わるという高度な仕事をすることになりますから、世界銀行で働いた経験は、キャリアにおける大きな財産になります。世界のどこに行っても、評価され認められる、と言っても過言ではない。世界銀行を離れても、就職の窓口は多くあると思います。一度、世界銀行を退職してから、また戻ってくる人もいます。去っていく人も拒みませんが、戻る人も拒みません。実は私自身も、その一人です。

 

個人的に大きな魅力だと感じているのは、福利厚生がとても充実していることです。成果主義が浸透していますから、時間に関しても極めてフレキシブルで働きやすい。また、家族の病気など、緊急事態にも本当に理解のある組織です。いち早く周りもサポートしてくれます。

 

そして何より、世界銀行の仕事は途上国を支援し、世界の貧困撲滅に貢献できる仕事。政府と仕事をするなどスケールも大きく、また誰かが必ず喜んでくれる仕事でもあります。ただ、水も電気もないところに何週間も出張したりするといったハードな面もあります。やりがいがある一方で、途上国開発への強い情熱が必要な仕事です。

 

銀行でプロジェクトファイナンスを学び、その経験を世界銀行で生かしたい、と職員になった人がいます。大学で先生として教えていたけれど、理論ではなく実践に取り組みたいと世界銀行に来た人もいます。本当にさまざまなバックグラウンドの人たちが活躍している職場です。

 

これは世界銀行に限らず、ですが、国際機関はすでにでき上がった専門家を採用します。しかも、求められるスキルは極めて高いもの。多くの職員が、大学、大学院、就職先で専門スキルを磨き、その先のキャリアとして選択しています。

 

また職員になった後も、世界銀行がジョブローテーションをしてくれるわけではありません。自らの能力を生かせるポジションを自ら見つけ、社内公募に手を挙げ、キャリアを切り開いていかなければいけないのです。

 

職員採用のスタイルは、夏季、冬季の「インターンシッププログラム」から、空席ベースで不定期に募集される「専門職員」まで6つあります。世界銀行に関心をお持ちいただけたなら、専門性を深める一方で、世界銀行のWebサイトをときどきチェックしてくだされば、と思います。

 

「専門職員」の採用情報はWebサイト上で随時更新されるので、何度もサイトを訪れ、自分の専門性を生かせるポジションの募集が出るのを待っている人もいます。また、一度ならず複数回、チャレンジする人も。狭き門であり、難関ですが、ここで働く価値は世界が認めています。ぜひその存在を、知っておいてほしいと思います。

 

学生の皆さんへ

最近では国際機関への就職に関心を持ち始めている学生も多いようです。これは世界銀行に限らず国際機関の多くがそうですが、採用時に重視されるのは、間違いなく専門性です。しかし、ただ専門性を持っていればいい、というわけではありません。採用側が着目するのは、その専門性が早い段階からずっと一貫性を持ってきたか、という点。例えば、大学で学んだこと、大学院で学んだこと、さらに就職後の仕事が、一つの専門性として、ぶれなく貫かれているか。日本の場合は、大学で学んだこととまったく違う仕事を社会人キャリアで積む方も多いですが、国際機関の場合、それでは評価されません。一貫したものが必要です。また、同様にアルバイトにしても夏休みの過ごし方にしても、専門性につながるものであれば、評価の対象になります。専門性を貫く意識を持つこと、そして将来のために、学生時代の時間を有効活用することをお勧めします。

 

同機関30年の歩み

貧困のない世界を目指して、開発途上国の経済・社会の発展、生活水準の向上、持続的成長を支援するため、資金協力、知的支援などを提供する国際開発金融機関として1945 年に設立。開発のためのインフラ、保健・教育、気候変動などの地球規模課題、ジェンダー、ガバナンスなど、国際協力の幅広い分野をカバーする。本部をワシントンDCに構え、各分野の専門知識を兼ね備えたスタッフが、世界120カ国以上に駐在し、途上国それぞれのニーズに応じて支援を提供している。
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1984年
日本がアメリカに次いで世界第2位の出資国となる。
1990年
東海道新幹線、首都高速道路など、日本が自国の経済成長の基盤となるさまざまなプロジェクト実施のため、1953年より世銀から借り入れた資金を完済。
2006年
東京で開発経済に関する世銀年次会合(ABCDE)開催。
2008年
横浜で第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)開催。
2012年
国際通貨基金(IMF)と世界銀行、それぞれの最高意思決定機関である総務会が合同で開催する会議、「世銀・IMF年次総会」を東京で開催。日本での開催は1964年以来2度目。
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2013年
横浜で第5回アフリカ開発会議(TICAD V)開催。

 

 

取材・文/上阪徹 撮影/刑部友康

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