事務職の仕事内容、向いている人のタイプは?新卒で事務職になるには?【プロが解説】

「安定して長く働けそう」というイメージから、事務職を志望する就活生は多いのではないでしょうか。実際の事務職の仕事内容はどのようなもので、どんな働き方の特徴があるのでしょうか。また、求められるスキルや志望動機を考える上でのポイント、さらに現在の事務職の採用状況まで、多くの事務職転職志望者のサポートをしてきたリクナビ就職エージェントのキャリアアドバイザーに聞きました。

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事務職の仕事内容は?

事務職の仕事内容はさまざまですが、共通しているのは「誰かのサポートをする仕事」ということ。サポートする対象者、対象部門がどこかによって、以下のように名称や仕事内容が変わってきます。

  • 営業事務…商談に必要な資料の準備、顧客情報の管理、受発注書類の整理、請求書管理、入金チェックなど営業担当の業務サポートを行う
  • 人事・採用事務…新卒・中途採用対象者への連絡、説明会や面接の日程調整、会議室の確保、採用状況の報告資料作成など人事・採用にかかわる業務サポートを行う
  • 総務事務…社内で必要な備品の発注、オフィスのレイアウト変更、イベント実施などに向けた社内外関係者への連絡や調整、資料作成などを行う

そのほかに、貿易にかかわる企業で生じる事務業務に従事する「貿易事務」、法律事務所などで弁護士の業務サポートに従事する「法務事務」、学校や病院などで事務業務に携わる「学校事務」「医療事務」などもあります。

配属される部署によって仕事内容はさまざま

ただ、配属される部署によって仕事内容の範囲は異なります。例えば、同じ営業事務でも、資料準備や請求書管理などサポート業務だけを任される部署もあれば、お客さまへの商品・サービスのご案内、アポイント設定など、営業活動の一部を担当する部署もあるのです。

業界、設立年数によって求められる働き方が変わる

また、企業が扱う商材や社風によっても、事務職の働き方は異なります。
例えば、人材業界や広告業界など無形商材を扱う業界の営業事務では、お客さまのニーズが幅広いため、事務にも臨機応変な対応が求められます。求められる役割を柔軟に察して動いていきたい人に向いているでしょう。
一方、メーカーなどの有形商材を扱う業界では、商品の在庫調整の際に重要な受発注業務などのルーチンワークが多くなる傾向があります。決められた範囲で仕事を進めたいという方はこちらの方が合っているかもしれません。

組織の設立年数によってもカラーの違いがあります。老舗企業は古くからある分、仕事の進め方やルールが決まっていることも多く、新しく設立された企業では、日々の業務や役割の変化に対応する姿勢が求められることが多いでしょう。

企業ホームページやナビサイトでの企業研究、説明会への参加、OB・OG訪問の際には、その企業の事務職の具体的な仕事内容や業務範囲、事務職に求められていることなどに注目して情報収集することが大切です。

事務職の仕事の様子イメージ

事務職はどんな企業が採用している?働き方の特徴は?

一般職を採用している企業の選考を受ける

事務職を志望する場合、アシスタントやサポート業務を担う「一般職」の採用をしている企業を受ける方法が考えられます。企業の中核の職種を担い、将来の管理職候補となる「総合職」に対し、一般職は総合職をサポートする事務業務に特化しているケースが多いからです。

一般職はデスクワークが中心のため、内勤で転勤や異動、残業も少ないケースが多いという特徴があります。「プライベートと仕事を両立したい」「業務内容や転居などの環境変化が起こりにくい環境で働きたい」と考えている方には合っているかもしれません。

また昨今では、派遣スタッフや業務委託が事務業務に従事するケースが増えていることから、正社員で事務職に就く場合には、サポート業務にとどまらずスタッフの育成やマネジメント、業務効率化に向けた改善提案など、組織貢献を求められるケースも増えています。

ただ、一般職の給料は総合職に比べて低く設定されていることが多く、昇給や昇進のスピードを考えると、総合職との差はキャリアを重ねるごとに大きくなっていきます。契約社員として採用するケースも多くあります。
また、事務職からほかの職種にチャレンジする際、転職では即戦力としての経験を求められるため、サポート業務をメインで行ってきた場合に、少しハードルが高くなる可能性も考えられます。一般職を選ぶ際は、こうした点をあらかじめ知っておくことも重要です。

事務専門の企業に入るのも一つの方法

事務業務のアウトソーシングを担うシェアードサービス専門の企業の選考に応募するのも一つの方法です。シェアードサービスとは、企業の事業部ごとに存在する人事部、総務部、法務部、データセンターなどのコーポレート機能を集約して担う事業のこと。大手企業では、事務関連業務すべてをシェアードサービス専門の企業に委託しているところも少なくありません。大手企業のグループ会社として、シェアードサービス事業に特化した企業もあるので、調べてみるといいでしょう。

事務職に向いているタイプは?

事務職は、組織内の「縁の下の力持ち」として、誰かのサポートに徹する仕事です。
「人のために動くのが好き」「ありがとうと言われたい」など、人を支えることで充足感を得られるタイプの方に合っていると言えるでしょう。

また任された仕事をミスなく遂行することが求められるのに加え、営業事務や人事、採用、総務事務などは、社内外の人との調整などコミュニケーションを取る機会も多く発生します。「人と信頼関係を築きたい」「チームワークで動くのが好き」「組織の土台となり、支えたい」という方にも適しているでしょう。

「決められたことをコツコツ進めたい」「一人で集中して業務に向かいたい」という方は、経理や法務事務など、業務の正確性をより求められる分野で能力を発揮できると思います。

事務職の志望動機を書くときのポイントは?

「組織にどう貢献できるか」をしっかり伝えよう

事務職の志望動機を考える際は、なぜ事務職なのかという理由はもちろん、
サポート業務を通じて何ができるか
組織にどう貢献できるか
を明確にすることを意識しましょう。

事務職を志望する理由には、「人を支える仕事に就きたい」「コツコツと自分のペースで仕事を進めたい」などさまざまあるでしょう。
では、なぜそう思うようになったのか。誰かをサポートすることが好きだと思った出来事、その時に行ったサポートと周りに与えた影響など、具体的なエピソードを用いて説明できるように整理しておきましょう
また、その企業の中で、自分がどうありたいか、どんなふうに感謝されたいかを具体的にイメージしておくのもいいでしょう。

事務職の志望動機の例

相手の立場を考え、先回りして行動することで、周りの方を支える仕事がしたいです。
学生時代はゴルフサークルの副代表として、会計や広報業務、イベントの企画などを担当しました。年に1度の新入生歓迎イベントでは、「仲間のために自分ができること」を率先して見つけ、準備をスムーズに進めるために業務分担表、進行管理表を作成しました。シート運用によって役割が可視化されたために、メンバーの責任感も生まれ、業務がかぶるなどの無駄をなくすこともできました。
貴社の事務職においても、必要とされる業務を先回りして考え、「〇〇さんがいると仕事を進めやすい」「またお願いしたい」と言っていただけるような存在になりたいと思います。

事務職の採用数は減少傾向。ほかの職種にも視野を広げるには?

事務職を志望する場合、一般職の採用を受けるのが一つの方法とお話ししました。しかし、昨今では一般職の採用枠はあるものの、正規雇用の事務職採用は人数自体を絞る傾向にあります。背景としては、派遣社員やアルバイトなどのほかの雇用形態で代替する動きが加速しているほか、ITによる業務効率化により、事務職がサポートしなくても業務を進められるようになっていることが挙げられます。

事務職を志望している就活生の方は、以下のケースを参考にしながら、自分が事務職を志望する理由に「ほかの職種に共通する要素はないか」を見いだし、志望職種・企業の選択の幅を広げてみるのもいいかもしれません。

志望動機が「人のために動くのが好き」「ありがとうと言われたい」というケース

向いている職種例:カスタマーサポート、カウンター営業、カスタマーサクセス、キャリアアドバイザーなど

目の前にいる誰かを支えたいという思いは、困っているお客さまに寄り添ったサポートを行うカスタマーサポートやカウンター営業に求められる要素です。
最近、IT業界で増えている、受注後のフォローを行う「カスタマーサクセス」も、お客さまが導入したサービスをうまく活用できるように定期的なフォローが必要になるため、人のために動くことが好きな人に向いていると言えるでしょう。

また、一人ひとりにより深く寄り添いたいという方は、キャリアアドバイザーのように人生の選択をサポートする仕事にも向いているのではないかと思います。

志望動機が「人と信頼関係を築きたい」「チームワークで動くのが好き」「組織の土台となり、支えたい」というケース

向いている職種例:法人の既存顧客向け営業

お客さまや社内関係者のニーズを的確に捉えて先回りして動く、信頼形成のため細かな業務をコツコツと積み上げ、お客さまと長期的な関係性を築く。こうした仕事の進め方は、事務職と法人の既存営業に求められる、共通の要素です。
長期に及ぶプロジェクトでは、社内の各部署のメンバーでチームを組み、一丸となって動くことも多くあります。営業担当という一ポジションから、プロジェクト(組織)を支える動き方ができるでしょう。

志望動機が「決められたことをコツコツ進めたい」「一人で集中して業務に向かいたい」というケース

向いている職種例:経理、SE(システムエンジニア)・プログラマーなどのエンジニア

ミスなく正確に、コツコツと仕事を進めるのが好きという方には、細かな数字を扱う経理や、正確にロジックを積み上げるエンジニアという選択肢もあるでしょう。
理系のイメージが強いエンジニアですが、文系・理系問わず、入社後の研修を充実させている企業は多く、文系出身エンジニアは年々増えています。

「仕事内容が自分に合うか」に注目して企業選びを

事務職は、働き方の面で魅力を感じる方も多いと思いますが、採用人数は絞られている現状があります。ただ、昨今多くの企業が働き方改革に取り組んでいます。「定時で帰れる、土日出勤や残業がないのは事務職」と職種を限定せずに、自分の求める働き方ができる企業を探してみることをお勧めします。

また、事務職を志望する人の中には、特に「長く働きたいから」という理由で志望している女子学生が多いのではないかと思います。しかし、女性こそ出産や育児、家族の転勤、介護などによる退職リスクが高いと感じています。労働条件のほかにも、自分の志向や長い目で見たキャリアをしっかりと考え、就活を進めていってほしいと思います。


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取材・文/田中瑠子

記事作成日:2020年7月20日 記事更新日:2023年6月20日

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