若旦那さん(シンガーソングライター)の「仕事とは?」

わかだんな・1976年生まれ、神奈川県出身。湘南乃風のメンバーの一人。一方、加藤ミリヤやJAMOSAなど他アーティストの楽曲プロデュースを手がけ、07年に発売された加藤ミリヤのシングル『LALALA feat.若旦那(湘南乃風)』は大ヒットを記録。同年にリリースされたエイズ啓発のためのチャリティソング『RED RIBBON Spiritual Song~生まれ来る子供たちのために~』では桜井和寿、小田和正らと共に作詞を手がけるなど、音楽を通したチャリティ活動も精力的に行っている。10年3月にはハイチ震災のチャリティソング『いのち~LOVE FOR HAITI~』を配信限定で発表し、11年1月にソロデビュー。同年11月には、シングル『いのち~桜の記憶~』『守るべきもの』『TASUKI / 青空』を含む1stアルバム『あなたの笑顔は世界で一番美しい』を発売した。13年9月11日に2ndアルバム『LIFE IS MOUNTAIN』をリリース。また、ムコ多糖症支援や東日本大震災の支援活動など社会貢献活動にも積極的に取り組んでいる。

公式ホームページ http://waka-d.jp/

仕事だからって自分を押し殺さなくていい。熱くなれるものを大事に

挫折ばかりの人生なんですよ。大学を2回中退したころは、「周りは自分のなりたいものを見つけていくのに、俺なんて」って卑屈になりかけてた。そんな自分が嫌で、本当に好きなものは何かを突き詰めて考えたら、「音楽」と「お酒」と「サーフィン」しか残らなかった。じゃあ、一度すべてを削ぎ落とし、好きなものだけで生きてみようと決めて湘南に移り住み、そこで出会った仲間とレゲエバーを始めたんです。

バーで一生懸命働くうちに、少しずつ自分のことを好きになっていったんだけど、運営がうまくいかなくなってつぶれてしまってね。そんなときに音楽をやっている仲間に「歌ってみなよ」「曲を作ってみたら?」と言われて、「ほかにやることもないし、やってみようかな」と音楽を始めたんです。

だから、最初は音楽を仕事にしようなんて思っていなかったんです。でも、やり始めたら楽しくて、どんどんやりたくなって。音楽をやっているという人を見つけてはギターの練習法や、歌い方を聞いたり、「ライブをしてみたいんだけど」と相談したり、積極的になっている自分にふと気づいたんですよ。ああ、無我夢中になるってこういうことなんだ、楽しいなと。で、「なんだったら、これでいくところまでいってみるか」と思った。

そこから一切働くのをやめたんですよ。生活が苦しくなるとアルバイトはしていましたが、「俺は音楽で食っていく」と勝手に決めて、まずは100円でもいいから、歌でお金をもらう。その感覚だけは絶対に身につけなければということで、タダでは決して歌わなかった。誰かからお金をもらえるだけの歌を歌うというのを大事にした。そのうちにもらえるお金が100円から1000円になり、聞いてくれる人も増えてという感じで、ついにはメジャーデビューが決まり、今に至ります。

昔の俺のようにやりたいことが見つからなくて自信をなくしている人は、まずは自分を愛してほしい。「自分、自分」と言っているやつって世の中で否定的に言われがちだし、社会人というのは自分をあまり前に出してはいけないという考えもあるけど、そんなに自分を押し殺さなくてもいいと俺は思う。もちろん「自分を愛する」というのは自分のわがままを押し通すという意味ではないですよ。自分を投げ出さない、自分をしっかり励ます。自分に自信がつくまで向き合って努力する。そういう自分になれる仕事をする。そして、そういう自分でいられる仲間と一緒にいる。軸が自分にあるということが大事だと思います。

そうでないと、周りに流されて、世の中に出回っている「いい会社に入って、40歳で年収いくらになれば、子どもを私立に入れても暮らせる」というような計算しやすい夢を見てしまう。ミュージシャンなら「こういう歌を歌って、スタイリングはこうで、こういうプロモーションをすればヒットし、ドームツアーをやれば成功者」みたいなね。

「計算しやすい夢」というのも、うまくいっているうちは問題ないのかもしれない。だけど、例えば、「ドームツアーをやって成功者になる」ということを最終ゴールと考えているミュージシャンがもしいるとしたら、ゴールを達成するまではいいけど、客席が埋まらなかったときの空虚感というのは半端ないと思う。

自分が心から楽しい、無我夢中になれるものを一番大事にしていくんだということで歌い続けているなら、会場の大きさは関係なくなる。かっこつけているように思われてしまうかもしれないけど、ドームで歌うときも、郊外のスーパーの店先で歌うときも俺は心から楽しい。そのときの状況に応じてせいいっぱいやることが最も美しいと思うし、これからもそれは変わらないってはっきり言えます。

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目の前のことを何のためにやるのか。常に答えを持っていたい

音楽をお金に変えることを不浄だと感じる人もいるけど、仕事でお金を稼ぐというのは当たり前のことだと思っています。ただ、言葉にするとうそっぽいけど、お金のために仕事をしているわけじゃない。仕事というのは俺にとって、自分を成長させて、自分を見いだし、自分の大事なものを見つけていくこと。生きることそのものだったりする。

だから、何のために仕事をするのかと言えば、結局は自分のためなんです。曲を作るのも自分のため。自分の中にたまったものを曲にして吐き出すことで過去の訳のわからなかった自分を清算し、また新たな自分と出会っていく。そのために俺は曲を書いてきたから。

でも、コンサートで歌うとき、音楽を人に伝えるときだけは違う。なんていうんだろう、あの空間は。俺のものというより、お客さんのものなんですよね。お客さんが感じるための場だから。自分がコンサートで成長しようとは思わない。みんなが俺の歌を聞いて、昨日より強くなってくれる。大切なものに気づいてくれる。自分の中の何かひとつ大事なものに出合ってくれる。そのためだけに歌っていて、あの場は仕事じゃないんですよ。仕事だったら、楽しくなくなってしまう。

仕事とは何か、何のために歌うのか、何のために曲を作るのか。そういうことへの答えくらいは、持っていたいと思っています。目の前のことを何でやるのか、常に考えて答えをちゃんと持っていないと、適当になってしまうから。こういう取材も、前と同じ話をするだけで終わりになってしまう。もしかしたら、世の中というのはそれでも通用するのかもしれないけど、なんか俺はそういうのはイヤなんです。

最後に、学生の皆さんに言いたいことはふたつ。まず、社会に出ても、こびる必要はないということを覚えておいてほしい。経験がないからと発言を控えたり、自分ではできると思っているのに遠慮するとか、そういうことは絶対にやめた方がいいと思う。前にどんどん出て、発言してほしい。たたかれたとしても「ああ、先輩たちの言う通りだった」と学ぶことも大事だし、「最小限の予算でやるから、やらせてください」と言ってみることも成長につながる。逆に、「馬鹿にされたらどうしよう」とか「どうせ新人の意見は通らない」と自分を出さずにいたら、何も起こらない。だから、「先輩には自分が納得するまでかみつけ」って思いますね。

あと、人とリスクヘッジをしながら生きていってほしい。自分ひとりで物事を抱えず、情報を共有しておく。俺の場合、大切な選択をしなければいけない瞬間には、自分のことを一番わかっている人に相談します。自分では決めない。というのも、自分の判断なんてあてにならないものなんですよ。いつの間にか誰かにインプットされた、小細工ばかりのせこい考えが混じっていたりするから、進むべき道を見誤りやすい。その点、自分のことを本当に大事に思ってくれているやつの意見というのは的確です。向いていないこともはっきり言ってくれるしね。

もし、周りがどんなに止めても「うるせえ、俺はやる」ということがあったとしたら、それは自分が心からやりたいことなんでしょうね。例えば、今の俺だったら、会社を解散し、離婚をしてでもやりたいと思えること。「すべてを捨ててでもやりたい」と思えることに出合ったら、それが夢ってやつかなと思う。でも、そんな夢なんかね、出合わなくていいんですよ。出合っちゃったら、やるしかないですけど。

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INFORMATION

さまざまなアーティストとの交流も活発な若旦那さん。2013年9月11日にリリースされた若旦那さんのセカンド・ソロ・アルバム『LIFE IS MOUNTAIN』(CD+DVD 税込み3990円、CD 税込み3150円)にも真島昌利(クロマニヨンズ)が書き下ろした『洗濯日和』や『LOVERS feat.加藤ミリヤ』など他アーティストとのコラボレーション曲が彩りを添えている。アルバムタイトル曲の『LIFE IS MOUNTAIN』は「学生のころの、ダメで、何もまとまっていないけれど、がむしゃらな自分を忘れたくない。そんな思いからこの曲を作りました」と若旦那さん。歌詞にこめられた、力強いだけでなく、弱さもさらけ出した熱いメッセージが聴く者の心を揺さぶる。セカンドアルバムを引っさげてのソロツアー「LIFE IS MOUNTAIN TOUR 2013~馬鹿な頭を僕に返してくれ~」も全国4カ所で開催。若旦那さんの熱いメッセージを生で聞くチャンスだ。詳細は若旦那OFFICIAL HPで(http://waka-d.jp)。

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取材・文/泉彩子 撮影/鈴木慶子

就活をはじめる以前に、本当はいろんな不安や悩みがありますよね。
「面倒くさい、自信がない、就職したくない。」
大丈夫。みんなが最初からうまく動き出せているわけではありません。

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