ポータルサイト・SNS編・2016年【業界トレンド】

各社はスマホ対応を加速。人工知能で個人に最適化したサービス提供を目指す動きも盛ん

ポータルサイトとは、インターネットの入り口として機能するサイトのこと。Googleのように検索エンジンを中心とした「検索型ポータルサイト」と、Yahoo! JAPANのように検索エンジン、ニュース記事、オークション機能、ネット通販など複合的なサービスを提供する「総合型ポータルサイト」がある。一方、SNSとはソーシャル・ネットワーキング・サービス(Social Networking Service)の略。FacebookやInstagramに代表される「コミュニケーション系SNS」と、ゲームをサービスの中心にすえたGREE、mobageなどの「ゲーム系SNS」に大別される。

ポータルサイトやSNSの収入源は、大きく分けて3つある。1つ目は、サイト上に掲載する広告枠を販売する「広告収入」。2つ目は、ネット通販などによる「手数料収入」。3つ目は、ゲームを有利に進めるための有料アイテムなどから得られる「課金収入」だ。いずれも、ユーザー数を増やすことが収益拡大につながる。ところで、総務省の「平成27年通信利用動向調査」によれば、2015年末のスマートフォン保有率は72.0パーセント。11年末(29.3パーセント)に比べ、42.7ポイントも増加した。多くのユーザーを獲得するため、ポータルサイト・SNS事業者はスマートフォンへの対応強化を急いでいる。

最近のスマートフォン利用者は、ウェブブラウザ(Googleの「Chrome」など)でポータルサイトを訪れるのではなく、アプリを起動して特定のサービスを利用する傾向が強まっている。そこで国内事業者の雄・ヤフーでは「スマデバ(スマートデバイス)ファースト」というスローガンを掲げ、アプリなどスマートフォン向けサービスの充実を図ってきた。この結果、スマートフォン経由のアクセスが伸び、「Yahoo! JAPAN」の利用者数・利用時間・利用頻度はいずれも増加。同社は今後、「アプリでもナンバーワンを目指す」と公言している。

SNSの分野では、数年前までTwitterやmixiなどテキスト中心のコミュニケーションが主流だった。しかし最近では、スマートフォンの普及で写真撮影が手軽になったことや、カメラ系アプリの充実などを追い風にして、動画や写真のやり取りがメインのInstagramが人気を集めている。また、このような流れの中でFacebookも動画機能の改善に努めている。一方で、ゲーム系SNSのmobageやGREEはスマートフォンへのシフトが遅れ、成長にかげりが見られる。

人工知能を活用した「サービスのパーソナライズ化」にも注目だ。年齢や性別といった属性情報、ネットの閲覧履歴や購買履歴、位置情報などのビッグデータ(キーワード参照)が収集可能となったこと。そして、ディープラーニング(キーワード参照)など人工知能技術の発展により、それぞれの利用者に応じたサービスの提供が可能となった。例えば、ビッグデータの分析によって「各ユーザーに合った広告を表示して広告効果を高める」「音楽配信サービスやECサービスで、ユーザーの好みに応じたレコメンドを行う」「ユーザーに合った検索結果を表示させる」などの活用が進められている。ポータルサイト・SNS各社には、このような新しい技術を活用した差別化が求められるだろう。

ポータルサイト・SNS業界志望者が知っておきたいキーワード

ビッグデータ
ネットワークなどを通じて集められた「膨大なデータ」のこと。ポータルサイトでの検索履歴、SNSに投稿された文章や写真を集計・分析することで、広告やマーケティングなどへの応用が可能になる。

ディープラーニング
深層学習。人間の脳が学習する仕組みをコンピュータ上で再現し、問題を解決する手法。ディープラーニングが進化したことで、人間が指示を出さなくてもコンピュータ自身が学習して判断の精度を高めていくことができる。

キュレーション
インターネット上の情報を収集・整理し、共有すること。多くの情報があふれるインターネットにおいて、情報を整理整頓して発信するキュレーションサイトが、近年人気を集めている。独自のアルゴリズムにより情報を提供する「SmartNews」や、ユーザーが独自の視点で情報を集める「NAVERまとめ」などが代表例。

このニュースだけは要チェック <ディープラーニング関係の話題に注目>

・Facebookが、ディープラーニングに基づいて文章を理解する「DeepText」を発表。人間に近い正確さで、瞬時に文脈を理解できるという。いずれは、各利用者の興味に合った投稿を優先的に表示したり、不適切な投稿を自動的に非表示にできる可能性もある。(2016年6月1日)

・Googleの子会社であるGoogle DeepMindが、囲碁のトップ棋士に勝って一躍有名になった人工知能「DeepMind」に、ディープラーニングのソフトウェア「TensorFlow」を採用したと発表。人工知能研究のスピードが加速すれば、検索機能の進化などにもプラスの影響を与えそうだ。(2016年4月29日)

この業界とも深いつながりが <広告はポータルサイトやSNSにとって重要な収益の柱>

広告
広告収入がポータルサイト・SNS事業者の売り上げに占める割合は大きい

携帯電話キャリア
スマホ利用者が増えている中、各社はアプリを開発して利便性向上を目指す

IT(情報システム系)
人工知能の進化は、今後のポータルサイト・SNSを激変させる可能性を秘める

この業界の指南役

日本総合研究所 リサーチ・コンサルティング部門成長戦略グループ コンサルタント 堀内くるみ氏 

horiuchi_sama

ケンブリッジ大学大学院化学工学科修士課程修了。企業のビジョン作り、経営戦略・事業戦略策定支援、マーケティング戦略策定支援などのコンサルティングを中心に活動。

取材・文/白谷輝英 イラスト/千野エー

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