空運(貨物)編

貨物が海運にシフトし苦戦中。新興国の成長取り込みと「総合物流」への脱皮が成長のカギ

航空貨物は、小口貨物が中心の「クーリエ(国際宅配便)」と、大口貨物を中心に扱う「航空輸送」に大別される。

 

クーリエを輸送する企業はクーリエ会社、あるいはインテグレーターと呼ばれ、発送元での国内輸送・輸出申告・航空輸送・輸入申告・発送先での国内輸送という一連の流れをすべて手がける。フェデックス、ユナイテッド・パーセル・サービス(ともに米国)、DHL(ドイツ)、TNTエクスプレス(オランダ)が、グローバル企業として大きな存在感を発揮している。また、国内企業としては、全日本空輸(ANA)グループのOCSなどがある。

 

一方、航空輸送の分野では、発送先・発送元での国内輸送・輸出入申告を担当する「フォワーダー」と、飛行機で物品を運ぶ航空会社とが分業している。国内のフォワーダーとしては、近鉄エクスプレス、郵船ロジスティクス、日本通運などが代表的存在だ。なお、近年ではクーリエと航空輸送の垣根は、徐々に低くなっていると言われている。

 

物品を短時間で運べるが、コストが高くつくのが航空輸送の特徴。そのため、景気が減速する局面では、運賃の安い海運などに貨物がシフトしやすい。下で示したように、国内主要フォワーダーでは海運が伸び、空運が落ち込むという傾向が表れている。また、国土交通省の「航空輸送統計年報」によれば、リーマン・ショック前の2007年に135.0万トンに達していた国際航空貨物輸送量は、11年には105.7万トンにまで落ち込んだ。海運業界では船腹の供給過多によって輸送運賃の下落が続いており、今後しばらくは海運との激しい競争が続きそうだ。

 

空運で取り扱われるのは、電子部品、精密機器など小型で付加価値の高い物品、あるいは、医薬品など緊急性の高い物品が中心。そこで、こうした産業の発展が著しい中国、東南アジアなどの市場は、各社にとって成長のカギだ。例えば、郵船ロジスティクスは、12年12月から13年に2月にかけ、インドに4つの新倉庫を設立。これらを含めた倉庫と、同社が運営する空運、海運システムとを組み合わせ、物流のワンストップサービス(顧客側が一度手続きをするだけで、すべての作業を終えられる仕組みのこと)を展開している。このように、各社は海上輸送や陸上輸送を空運につなぎ合わせたり、ITシステムの強化によって在庫管理なども手がけたりすることで、国際的な複合一貫輸送を実現。この「総合物流」によって、事業強化を図っている。

 

顧客企業の物流機能を一括して請け負う「3PL」(3rd-Party Logisticsの略。第三者の物流会社が顧客企業に対し、輸送や在庫管理からITソフトウェア開発支援など、幅広い物流機能をワンストップで提供すること)も、相変わらず増え続けている。特に近年、製造業の物流子会社などとの業務提携やM&Aなどによって、日系メーカーのグローバル展開と連携する動きが活発だ(ニュース記事参照)。

 

押さえておこう <主要日系フォワーダーでは、海運が増え空運が減る傾向に>

近鉄エクスプレス

12年度航空輸送量……47.3万トン
13年度航空輸送量……44.2万トン

12年度海運輸送量……20フィートコンテナ29.0万個分
13年度海運輸送量……20フィートコンテナ30.4万個分

郵船ロジスティクス

12年度航空輸送量……32.4万トン
13年度航空輸送量……30.3万トン

12年度海運輸送量……20フィートコンテナ31.4万個分
13年度海運輸送量……20フィートコンテナ47.0万個分

※各社のIR情報より独自に作成。両社ともに、航空輸送量が減り、海運輸送量が増える傾向にある。

要チェックニュース! <製造業の物流子会社と連携する動きが活発>

・日本通運が、パナソニックの子会社であるパナソニック ロジスティクスの株式の一部取得について最終契約書を締結。電機業界の物流ノウハウや顧客網を取得することで、グローバルな物流企業としての競争力をさらに高めることが、日本通運の狙いとみられる。(2013年5月24日)

・DHLの日本法人であるDHLサプライチェーンが、コニカミノルタホールディングスの物流業務を受託。倉庫や運送システムの管理はもちろん、物流システム全般を効率化する計画の策定など、より付加価値の高いサービスも提供する予定とされる。(2013年3月22日)

つながりの深い業界 <海運、陸運会社とのつながりはさらに密接に>

海運
陸運会社を含めた連携で、トータルな物流機能を提供する機会が増加

IT(情報システム系)
物流のグローバル化・高度化に対応するため、各社がITを積極的に導入

電子部品
半導体や液晶など、小型・軽量な部品を空輸するケースは少なくない

 

この業界の指南役

日本総合研究所 副主任研究員 千葉岳洋氏

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一橋大学社会学部社会問題・政策課程卒業。専門は、国際会計、経営管理・グループ経営改革、グローバルマーケティング、グローバルサプライチェーンマネジメント。製造業を中心として、グローバルを共通テーマに、マーケティング・会計・業務改革などを幅広く手がける。米国公認会計士。

 

 

取材・文/白谷輝英 イラスト/坂谷はるか

 

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