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掲載日:2011年9月26日

Vol.101 電子部品編

世界有数の製品も多い、日本の「お家芸」。
今後、世界規模での提携・M&Aの可能性が大

有望な電化製品を見極め、小型で省電力な部品を提供することが各メーカーの成長の鍵を握る。各メーカーは、スマートフォン、電気自動車、3Dテレビといった分野で、基幹部品の提供にしのぎを削っている。

一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)によると、2010年における電子部品・電子デバイスの生産実績は8兆2657億円。対前年比で19.0%増だった。ただし、11年3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震の影響を受け、3月の生産実績は対前年比7.5%減、4月は16.5%減、5月は16.7%減、6月は11.7%減と低迷している。

電子部品・電子デバイスは、日本が長年にわたって世界をリードしてきた業界。携帯電話、パソコン、ハードディスクレコーダー、自動車、薄型テレビなど、世界中の幅広い製品に用いられている。京セラのセラミックパッケージ、村田製作所の積層セラミックコンデンサ、TDKのHDD用磁気ヘッド、マブチモーターの小型モーターなど、日本企業が世界市場で主要な地位を占める分野も少なくない。震災によって日本の電子部品メーカーが操業停止に追い込まれたことで、自動車産業などの生産計画に大きな狂いが生じるなど、世界中のメーカーにとって重要な存在だ。

ただし、日本企業の地位がずっと保たれると決まっているわけではない。近年、韓国・台湾・中国といったアジアのメーカーとの競争が激化しているからだ。そのため、各メーカーにはさらなる技術革新・研究開発が求められている。特に焦点となっているのが、電子部品業界の永遠の課題である「小型化」。小型化が進めば、結果的に省電力になるし、同一空間での集積率が高まるため高性能化も実現できるからだ。特に、携帯電話やノートパソコンといった機器では、部品のサイズが製品全般の重さ・性能を大きく左右する。さらに、近年では携帯電話や無線LAN対応機器など、無線関連の機器に利用されるケースが増加。そのため、目的外の電波を受けても正常に動作する、電波干渉への耐性が高い部品の開発も急がれている。

現在、各メーカーが力を入れているのは、需要が爆発的に拡大しているスマートフォン関連の部品。電気自動車や3Dテレビなどの分野でも、事業機会が拡大するとみられている。また、下の表でまとめたように、太陽光発電、次世代型電池、LEDなどの環境関連分野に力を入れる企業も増えている。

従来の日本企業では、すべての技術を自社でまかなう「自前主義」が幅をきかせていた。しかし、短期間で開発を完了しなければ世界中のライバルに立ち後れる現在では、自社以外の技術を適宜取り入れる戦略が必要だ。そこで、有力な技術の利用について許諾を得ること(ライセンシング)や、有望なベンチャー企業の買収・他社の特定部門を吸収(M&A)するといった動きを模索する企業が増えるだろう。海外メーカーなどと連携する機会も多くなりそうだ。また、ある2社が1つの分野では協力・提携する一方で、別の分野では激しい競争を繰り広げる、いわゆる「競争と協調」の状況も珍しくなくなると予測される。

【押さえておきたい情報をピックアップ!】

主要企業の環境関連分野に対する取り組みの一例

京セラ 太陽電池の生産実績において、シェア上位の一角を占めている
TDK 2011年1月、日東電工の子会社の株式を取得してリチウム電池関連の事業を強化
村田製作所 2011年3月、オフィス・家庭向けLED照明を制御する機器・ソフトウェアの提供を開始
ローム 2011年4月、自動車のLEDを制御するLSIを開発し、事業化を開始

【このニュースだけは要チェック!】

技術を巡る買収・提携に注目

・村田製作所が、半導体大手のルネサスエレクトロニクスからパワーアンプ(携帯電話などの電波を増幅する機器)事業を買収した。自社が持つ携帯電話向け部品と組み合わせることで、商品力のアップを目指しているとみられる。(2011年7月29日)

・日本電産が、精密小型モーターメーカーの三洋精密の買収手続きを完了。スマートフォンやタブレット端末などのタッチパネルに使われている精密小型モーターの技術・販売力を、買収によって強化するのが目的とみられる。(2011年7月1日)

この業界の指南役
日本総合研究所 副主任研究員 吉田賢哉氏
日本総合研究所 副主任研究員 吉田賢哉氏
東京工業大学大学院社会理工学研究科修士課程修了。専門は、新規事業戦略やマーケティング戦略、企業のビジョンづくり・組織戦略など。製造・情報通信分野などの業界動向調査や商品需要予測も手がける。
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取材・文/白谷輝英 撮影/平山 諭 イラスト/坂谷はるか デザイン/ラナデザインアソシエイツ

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