トイレタリー編

国内市場の縮小に備え、高付加価値商品・市場創造型商品の開発と海外展開が急務に

石けん、シャンプー、洗剤、おむつ・生理用品、歯磨き粉などを扱うトイレタリー業界では、花王、ユニ・チャーム、ライオンといった国内メーカーと、プロクター・アンド・ギャンブル (P&G)、ユニリーバといった外資系メーカーが激しい競争を繰り広げている(下表参照)。

 

日本石鹸洗剤工業会によれば、2003年における石けん・シャンプー・洗濯用洗剤などを含む「洗浄剤等」の年間販売金額は6952億円。一方、12年には7682億円となり、市場はゆっくりとした拡大傾向を示している。手がける商品が日常必需品ということもあり、景気に左右されにくい安定的な業界だと言えるだろう。ただし、国内市場は人口減少・高齢化により、いずれは縮小に転じると見込まれている。

 

そこで各社は、高付加価値商品の開発に力を入れている。例えば石けんや洗剤なら、単にきれいにするという基本機能以外に、「香りが豊か」「節水できる」「洗濯時間が短くなる」などプラスアルファの機能がある商品だ。こうした特色を持つ新製品を生み出せば、価格の値下げ競争を避け、収益を確保することが可能となる。実際、洗濯用合成洗剤のキログラムあたりの単価は07年の224.3円から12年には252.9円に上昇。柔軟仕上げ剤も243.0円から274.5円に、頭髪用洗剤も783.7円から851.4円にそれぞれ値上がりした(日本石鹸洗剤工業会資料より独自に算出)。付加価値性の高い商品に注力している傾向は、こうした数値からも読み取れる。

 

「市場創造型商品」にも注目が集まっている。その象徴が、介護用おむつ(大人用おむつ)だ。生産数量は社会の高齢化を背景に、07年の45.4億枚から12年の62.9億枚へと4割近く増加(日本衛生材料工業連合会資料より)。おむつという商品自体は昔からあるが、「介護」という切り口を打ち出して大きな市場を開拓することに成功している。また、花王の飲料「ヘルシア」のように、既存技術を応用して食品などの異業種に打って出るケースも少なくない。トイレタリー業界の企業はマーケティング力に定評があるところが多く、既存の技術を生かしつつ、新たな市場を創造する商品の投入は今後も予測される。

 

海外市場の開拓も重要な課題だ。各社はとりわけ、アジアを中心とする新興国で販売拠点と生産拠点の拡大を加速している。例えば、ユニ・チャームは13年8月にミャンマーの女性用生理品および乳児おむつ製造・販売大手のミャンマー・ケア・プロダクツ(MYCARE)を買収。このように、世界規模で生産拠点の新設・再編成を行う動きは今後も進むだろう。また、国内市場で培った商品を海外に投入するケースも増えており、グローバル化は急ピッチで進展している。しかし、これら海外市場では欧米系競合企業の存在感が大きい。今後は現地におけるブランド力を強化し、現地の嗜好(しこう)に合わせてタイムリーに商品を提供できるかが成長の鍵である。

 

押さえておこう <代表的なトイレタリーメーカーを整理しよう>

花王(国内系)
国内トイレタリー市場で大きなシェアを確保。カネボウ化粧品を傘下に抱え、近年は化粧品分野にも注力。12年12月期売上高1兆126億円。
ユニ・チャーム(国内系)
紙おむつや生理用品などの分野で強い。海外展開が盛んで、13年度上期の海外売上高比率は6割を超えた。13年3月期売上高4957億円。
ライオン(国内系)
歯磨き粉などオーラルケア(口内の手入れ)分野に強みを持つ。「バファリン」などの薬品も手がける。12年12月期売上高3351億円。
プロクター・アンド・ギャンブル(外資系)
グローバルに展開する企業。特に、新興国における存在感が大きい。12年度売上高は836.8億ドル(1ドル=100円換算で8兆3680億円)。
ユニリーバ(外資系)
トイレタリー製品に加え、食品分野でも強い競争力を誇る。12年度の売上高は513.2億ユーロ(1ユーロ=120円換算で6兆1588億円)。

このニュースだけは要チェック <高付加価値・市場創造製品に注目>

・花王が、脂肪を消費しやすくする効果が認められた特定保健用食品(トクホ)の飲料ブランドである『ヘルシア』シリーズから、『ヘルシアコーヒー』を発売。初めてトクホの認定を受けたコーヒー飲料として話題を呼び、売れ行きも好調と言われている。(2013年4月4日)
・ライオンが、浴室を除菌してカビの発生を防ぐ『ルック おふろの防カビくん煙剤』の累計販売数が、発売後11カ月で500万個を突破したと発表。カビ取り剤の市場は縮小傾向だったが、「防カビ」という新たな切り口でヒット商品を生んだ好例と言えそうだ。(2013年9月5日)

この業界とも深いつながりが <化粧品業界に進出するケースも>

化粧品
重なる部分の多い業界。洗顔料、整髪料など、競合する商品も少なくない
コンビニ
重要な販路。コンビニがプライベートブランド商品を売り出して競合となることも
ドラッグストア
石けん・シャンプー・洗剤といった主力商品を売り出すための有力な販路

この業界の指南役

日本総合研究所 副主任研究員 千葉岳洋氏

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一橋大学社会学部社会問題・政策課程卒業。専門は、国際会計、経営管理・グループ経営改革、グローバルマーケティング、グローバルサプライチェーンマネジメント。製造業を中心として、グローバルを共通テーマに、マーケティング・会計・業務改革などを幅広く手がける。米国公認会計士。

取材・文/白谷輝英 イラスト/坂谷はるか

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