社会人デビューしたての時期は家賃の負担はなるべく安く抑えたいところですよね。
そこで選択肢の一つとして考えられるのが、「社員寮」。
社員寮とはどのような施設で、自力で部屋を借りた場合に比べると、費用や暮らしにどんな違いがあるのでしょうか?社員寮の基礎知識と、入寮するメリットなどについて全国約180カ所で社員寮を管理運営する、株式会社共立メンテナンスの久米主税さんにお話を聞きました。
目次
「社員寮」について知っておきたい基礎知識
「社員寮」とは、企業が福利厚生の一環として社員向けに提供している住居施設で、一般には新入社員や独身社員、単身赴任者などを対象としています。企業が自社の物件として社員寮建物を保有している場合もありますが、最近はアパートやマンションを一棟まるごと借りる企業も。また社員寮の管理会社と契約して、そこが運営する施設を利用する企業も増えています。
社員寮の居住年数は「入社から○年目までの単身者」と年限を設ける企業がある一方、入社して10年~20年以上住み続けられる場合もあります。一般的には入社から数年がたち、社会人生活に慣れてきたころに一般の賃貸住宅へ転居する人や、結婚などライフスタイルの変化を機に社員寮を出る人が多いようです。
入寮するかしないかは自由に選べる?
社員寮の入居条件は企業によってさまざま。中には、新入社員に必ず入寮することを条件付けている企業もありますが、多くの場合は「会社から○キロメートル以上離れている人」や「遠距離で通勤が大変な人」は入寮してください…といった案内がされるようです。
入寮が必須条件でない企業の場合、自分で一般の賃貸物件で一人暮らしをしても、親元などから通うのも自由です。逆に実家が近距離にある方でも、希望すれば社員寮に入寮できるケースもあります。
「社宅」「借り上げ住宅」「家賃補助」の違いは?
一般的には、「社宅」は企業が福利厚生の一環として、社員に安く貸与している住宅全般を指しており、社員寮もその中の一つです。
一方で、単身者向けの社宅を「社員寮」や「独身寮」、家族を持つ社員を対象とした、部屋が複数ある戸建てやマンションを「社宅」と呼んでいる企業も多いようです。
「借り上げ社宅」とは、企業名義で不動産業者から戸建てやマンションを借り、社員に貸し出す制度です。また「家賃補助」は「住宅手当」とも言い、社員が借りた賃貸住宅の賃料を企業が一部負担する制度のことです。
住居費が安い?食事が付く?社員寮に入るメリットとは?
社員寮の最大のメリットは住居費の安さ
社員寮の家賃は、賃料の数パーセントから、場合によっては全額を企業が負担します。そのため、周辺地域の家賃相場よりもずっと安く住居費を抑えられるのが最大のメリット。その分、将来のための貯蓄も可能になり、新入社員の人には魅力的な制度と言えるでしょう。
また、単身者向けの社員寮の多くは、朝夕の食事の提供も行っているのが一般的です(※一部の借り上げ住宅等は除く)。社会人生活を始めたばかりの新入社員にとっては、社員寮で栄養バランスの取れた食生活ができることも大きなメリットです。
光熱費の負担も少ない
社員寮の多くは、電気代などの光熱費は寮費にあらかじめ含まれていることが多いようですが、企業によって異なりますので、検討する際には確認しましょう。
最近はWi-Fiを完備している社員寮が増加傾向。自分でプロバイダー契約手続き等をしなくても、最初からインターネット環境があるのは大きなメリットと言えるでしょう。
家具備え付き、面倒な手続きもなしで新生活がスタートできる
地方から都心へ就職する場合、自分で住まい探しをするのは大きな負担となります。不動産店で手続きをしたり、生活用品をそろえたりするために何度も上京するケースもあるでしょう。その点、社員寮は就職先の企業が面倒を見てくれ、家具もほぼ備え付けのものが使えるので、スムーズに社会人生活を始めることができます。
また、多くの社員寮には寮長やマネージャーと呼ばれる管理人が常駐し、何か困ったことがあれば相談することができます。
自由度が低い?気を使う?社員寮のデメリットとは?
社員寮は規則が多い?厳しい?
「寮」というと門限など厳しい規則があるイメージを持つ方もいるかもしれませんが、多くの施設では共同生活に必要な最低限のルールがあるのみのようです。もし夜間に部屋で騒いで苦情が出れば、寮長やマネージャーを通じて注意されることもあるでしょうが、トイレ掃除を命じられる等の罰則がある訳ではありません。
一方で、自社で寮を運営する企業の中には、門限といった決まり事を設けているケースはあるようです。
人間関係のわずらわしさや、恋愛トラブルは?
社員寮で生活すると同期や先輩・後輩とのつながりができ、それが仕事にプラスになる一面もあります。半面、「オフの時間も周りに会社関係の人がいるのが嫌だ」という人もいることでしょう。
最近の社員寮は個室が割り当てられることが多く、プライベートな空間はしっかり確保されています。また、同じ会社の人間でも生活時間は人それぞれなので、食事や大浴場の利用時間を除けば、ほかの社員とあまり顔を合わせずに生活することは可能なようです。
社員寮には男女共用の寮もありますが、男子専用・女子専用の施設も少なくありません。また、男女共用でも男性フロア・女性フロアを設けて、生活空間が分かれるように配慮している施設もあります。
社員寮がある企業の探し方
就活で社員寮のある企業を探すにはどうしたらいいのでしょうか。
社員寮は企業の福利厚生の一環なので、まずは会社説明会で人事担当者に聞いてみると良いでしょう。またOB・OG訪問で社員寮の設備面や生活の雰囲気について情報収集をすることも有効です。
また、リクナビ等の就活サイトで「社員寮」というキーワードを入れて検索すれば、社員寮のある企業を一覧にすることができます。
住居費の負担が軽い環境があることは、新入社員にとっては大きなメリットと言えます。企業選びのポイントの一つとして「社員寮」の有無を選択肢に入れてみてはいかがでしょう。
取材協力:株式会社共立メンテナンス 寮事業本部
(https://www.dormybiz.com/)
取材・文/鈴木恵美子
編集/鈴木健介
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