就活で「カジュアルな服装で」と言われたらどうする?スタイリストがアドバイス

会社説明会や面接に「カジュアルな服装でお越しください」と企業から案内されることがあります。これまでリクルートスーツで就活に臨んできた学生は、何を着ていけばいいのかと悩んでしまうことも多いようです。
そこで今回は「カジュアルな服装」を促す企業側の意図をひもといた上で、プロのスタイリストにコーディネートの仕方をアドバイスしていただきました。

企業はカジュアルな服装で“その人らしさ”を見たい

コーディネートを考え始める前に、カジュアルな服装を促す企業側の意図や、想定している服装について押さえておきましょう。まずは、企業や人事担当者の側の心理に詳しい、就職・転職支援スクール「我究館」でコーチを務める八木橋育子さんにお話をうかがいました。

我究館コーチ・八木橋育子さんプロフィール画像プロフィール

我究館 コーチ 八木橋育子(やぎはし・やすこ)株式会社リクルートにて広告提案営業を経験した後、女性の社会進出に対する問題意識を持ち、女性の再就職・転職に特化した人材会社に転職。女性のみで構成される営業代行チームのマネジメントやキャリアコンサルタントとして、結婚・妊娠・出産などのライフイベントとキャリアの両立に悩む女性2000人以上を支援。自身の結婚を機に、「キャリアデザインを一人でも多くの人にしてほしい」という思いから2011年に我究館コーチに就任。学生、社会人の受講生を担当し、本人のあいまいな夢や、隠れた本音を明確にすることを得意とする。特に、女性の就・転職におけるマーケットに精通している。メイクアップや服装・マナー講座も担当。

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企業がカジュアルな服装を促す理由

企業の意図はさまざまですが、主な理由は、緊張してかしこまっている状態ではなく、リラックスした状態で“その人らしさ”を見たいのだと思います。

近年は、面接会場も会議室ではなくカフェなどで実施されたり、訪問先の社員もスーツを着用していなかったりと、ソフトでフランクな雰囲気の面接が増えつつあります。それに伴い、学生も没個性になりがちなスーツよりも、自分でコーディネートした服装の方が、色使いやバランスなどにその人らしさが表れると考えられ、カジュアルな服装を促す企業が増えているようです。ちなみに、「カジュアルな服装で」「私服で」など企業によって言葉の違いはあっても、意味合いは同じと捉えていいと思います。

企業が想定しているカジュアルな服装は「オフィスカジュアル」

カジュアルと聞くと、スエットシャツやパーカーなどのラフな服装を思い浮かべるかもしれませんが、企業が想定しているのは“オフィスカジュアル”でしょう。オフィスカジュアルとは、オフィスにいても違和感がない服装であり、“清潔感”と“きちんと見える感”が大切です。

また、業界や社風によって、オフィスカジュアルのレベルは多少異なります。例えば、アパレル業界ではファッションセンスも見たいと考える企業もあるので、「ステキだな」と感じさせるよう、細部にまで自分のこだわりを盛り込むのもいいでしょう。

訪問先企業のオフィスカジュアルを知る2つの方法

では、自分の服装がオフィスで違和感がないか、どのように判断したらよいのでしょう。訪問先企業のオフィスカジュアルのレベルを事前にリサーチするには「企業のホームページを読み込む」「訪問先企業の周辺を訪れる」の2つの方法があります。

企業のホームページをしっかり読み込む

先輩インタビューの記事にある写真などをチェックすると、そのオフィスで働く人たちの服装がある程度わかるはずでしょう。

訪問先企業の周辺まで訪れる

ホームページを見てもイメージしにくい場合は、可能ならばその会社から出てくる社員や、近隣オフィス街で働く人たちの服装を参考にしてみるのも手です。特に人の出入りが多いランチ時に行くのをオススメします。金融系企業が多い地域とIT系企業が多い地域というような、企業がオフィスを構えている街の雰囲気も、コーディネートの参考になることがあります。

オフィスカジュアルな服装に悩む就活生のイメージ

カジュアルな服装にマナーはある?スーツで行ってもいい?

カジュアルな服装のイメージがついても、「本当にこの服装で問題ないだろうか」「そもそもどんな服が自分らしいのかわからない」という人もいるかもしれません。あるいは、「自信がないから、いっそのことスーツで行けないだろうか」と考える人もいるでしょう。そんな皆さんの不安を解消するため、引き続き八木橋さんにうかがいました。

奇抜な色や柄、華美な装飾、目立つブランドロゴは控えよう

オフィスカジュアルのポイントは、“清潔感”と“きちんと見える感”。ですから、奇抜な色や柄、華美な装飾、ロゴが目立つものは控えたいものです。アイテムごとのポイントを見ていきましょう。

【トップス】

ジャケットがあると、きちんと見えます。ただ、革製やデザイン性の高過ぎるジャケットは、相手によっては奇抜な印象を与え、オフィスにふさわしくないと考える人もいるでしょう。インナーやボトムスと合わせたトータルの印象がきちんとしていれば、必ずしも色味をそろえる必要はありません。
インナーは、襟付きシャツ、カットソーなどが無難です。肌の露出が大きいデザインは、オフィスになじまないので避けましょう。暑いときは、室内でジャケットを脱ぐことも考えられます。脇の下や背中の汗染みが気になる場合、目立たない色や素材のインナーを選んでおくと安心です。

【ボトムス】

デニムも、相手によって受け取り方が異なる素材です。「似合っている」と受け止めてもらえるのか「カジュアルすぎる」と受け止められるのかわからない場合は避けたほうがよいでしょう。
洋服のスタイルは、パンツでもスカートでも構いません。
パンツの場合はチノパンなどがオススメですが、注意したいのはサイズです。だらしない印象を与えないよう、体型に合った太さ、丈の長さを意識しましょう。ベルトは、着用した方がきちんと見えます。ただし、バックルなどにロゴや柄が大きく入っていると、華美に見えるので気をつけましょう。
スカートは、立った状態で膝が隠れる程度の長さで、軽いAラインか体型に合わせたラインのものなら、きちんとした印象を与えてくれます。幅の狭いアコーディオンプリーツやロング丈、透ける素材など、デザインや素材によっては、オフィスになじまない場合もあるので注意しましょう。

【シューズ】

靴も清潔感が大事です。革靴の場合はきれいに磨いて着用しましょう。裾から素足が見えない方がきちんとして見えるので、くるぶし丈のソックスは避けた方が賢明です。
パンプスなど、フラットシューズよりも数センチヒールがあるデザインは足元をスッキリ見せる効果がありますが足が痛いなど身体的負担を感じるようなら、無理をする必要はありません。シューズの色は、服装に合わせて選ぶといいでしょう。

【バッグ】

資料をもらうことを想定し、A4サイズが収まるバッグを選びましょう。ファスナーで閉じられるタイプなら資料がバッグから出る心配はありませんし、マチがあって自立するタイプなら床に置いても倒れないので、重宝します。素材は合皮やナイロン製で構いません。リュックは、PCが入るようなオフィス仕様ならカジュアル度の高い企業では許容範囲でしょうが、布製のトートバッグはデザインや柄によってはカジュアル過ぎる印象です。服装に合っていて華美でなければ、普段使いのバッグでもよいと思います。

服装は第三者の目で評価してもらおう

服装選びに迷ったときは、友人や先輩、家族など、第三者の目を借りて選んでみることをオススメします。「きちんと見えるか」「清潔感が感じられるか」「似合っているか」など、他者からの印象は頼りになります。服装選びは一人で悩まず、周囲からアドバイスをもらうのが得策です。

清潔感のある印象づくりに欠かせないのが、服のコンディションです。しわやシミ、毛玉などは、だらしない印象につながります。また、柔軟剤の香りが強くなりすぎないよう配慮が必要です。髪型やひげ、爪もきれいに整え、自宅を出る前に全身を鏡で確認しましょう。

スーツで行ってもマイナス評価にはつながらない

スーツで行くことは、間違いではありません。学生ですから、金銭的にも余裕がないという事情も理解できますので、マイナス評価につながることはないでしょう。また、同じ日に複数の企業を訪問する際、A社はカジュアルな服、B社はスーツを求められているのであれば、「次に訪問する企業へはスーツで向かうため」と伝えればいいのです。
とはいえ、オフィスカジュアルの服装はコーディネートの幅が広がる分、自分らしさを発揮できるチャンスでもあります。前向きに捉えて、オフィスカジュアルのコーディネートにチャレンジしてみてはいかがでしょう。

カジュアルな男性用スーツが並んでいるイメージ

【プロのスタイリストが指南】自分らしいオフィスカジュアルな服選びのポイント

企業の意図やオフィスカジュアルのポイントを踏まえたところで、次に株式会社SPSO代表取締役でパーソナルスタイリストの霜鳥まき子さんにプロの目線で服選びの基本や「自分らしさ」を表現するコーディネートについてアドバイスを頂きました。

株式会社SPSO代表取締役 霜鳥 まき子プロフィール

株式会社SPSO代表取締役 霜鳥まき子(しもとり・まきこ)青山学院大学英米文学科卒業後、日本航空国際線CAとして10年間勤務。その後「好きな洋服を使ってもっと人に寄り添い、人生に携わる仕事がしたい」と考え、有限会社ファッションレスキューに7年間在籍後、パーソナルスタイリストとして独立。12年で1万人以上のスタイリングや制服プロデュースなどの実績を持つ。近著に『世直しスタイリスト・霜鳥まき子の 得する黒 損する黒』(小学館)がある。

オフィスカジュアルな服選びは、サイズ感と動きやすさに着目

オフィスカジュアルの“きちんと感”を出す基本は、自分に合ったサイズの服を選ぶこと。例えば、自分は9号サイズだと思っていても、7号と11号など前後2サイズを試着した上で選びましょう。体型に沿っていないとだらしなく見えることがあるので注意が必要です。サイズが合っているとスッキリと見え、きちんとした印象になります。

また、オフィスカジュアルには、動きやすさも大切です。そこで、ジャケット生地の糸の太さに注目してみてください。通常のスーツはシルクやモヘアといった細めの糸を使っているため高級感がありますが、しわが気になります。一方で少し太めの糸で織ったジャケットを選ぶと、生地がしっかりとしていて、カジュアルに着こなすことができます。ウールでも太い糸を使ったものや、コットン、合成繊維(人工的に合成された繊維)のものはしっかりしているので、品質タグをチェックしてみてください。レディースウェエアなら、見た目は普通の生地のような伸縮性のあるジャージー素材や肩パッドの入っていないジャケットを選ぶと、きれいに見えて着心地がラクでしょう。

色の選び方でも印象は変わってくる

「服のセンスに自信がないから、できるだけコーディネートをマネしたい」と思っても、インナーはこだわった方がいいかもしれません。色の選び方によって安くても質の良いものに見えたり、より安っぽく見えたり印象が変わるからです。そこで「自分に似合うシャツやトップス」をじっくり探してみましょう。シャツなどのインナーは顔周りにあるため、思っている以上に強く印象に残ります。ベーシックな白シャツを選ぶ場合でも、素肌の色によって真っ白が似合う方もいれば、やや生成りっぽい白が似合う方もいます。同じ白でも合わせてみると似合う白は違いますので、シャツ選びの参考にしてください。また、シャツは髪型や首の太さによっても、似合う襟の大きさが異なります。鏡で数枚、襟の大きさも比較してみると良いと思います。

オフィスカジュアルとして追加したいジャケットは、たとえば青々とした艶感のあるネービーがオススメです。上品で大人っぽい印象のグレーも悪くありませんが、フレッシュではつらつとしたネービーの方が、学生らしく映ると思います。レディースウェアならノーカラージャケットもおしゃれですが、就活を意識するならテーラード(スーツのジャケットと同じようなデザイン)の方が無難でしょう。

スーツ専門店でオフィスカジュアルの基本をチェック

いくつか服選びのポイントを紹介してきましたが、具体的にどんなコーディネートがオフィスカジュアルなのかピンとこない人は多いと思います。そこでオススメしたいのは、スーツ専門店をチェックすること。スーツだけでなくオフィスカジュアルな服も豊富に並んでいる店に行けば、オフィスカジュアルのスタンダードがわかるからです。予算的に合わなければ、試着して着丈などのバランスも参考にした上で、行きつけのカジュアルショップやファストファッションストアなどでイメージに近い服を探してはいかがでしょう。

背中を押してくれるアイテムを身につけることが「自分らしさ」につながる

私服で表現したい“自分らしさ”は人によって異なるでしょう。例えば、慣れないジャケットを着ていても自分テイストのインナーを合わせることで自信が持てて、自分らしくいられるかもしれません。あるいは、自分が映える色、自分に似合う色を身につけることで、自分らしくいられる人もいるでしょう。“自分の背中を押してくれるもの”をさりげなく取り入れることが、自分らしいオフィスカジュアルになるのだと思います。

何かと出費がかさむ就活準備ですが、オフィスカジュアルな服はインターンシップや就職した後なども、十分に着る機会があります。ですから、手持ちの服に自信がない人は、カジュアルショップやファストファッションストアなども上手に活用して、1、2着用意しておくといいと思います。

初めてのオフィスカジュアルでちょい足ししたいアイテムや、全身プチプラでそろえた場合のコーディネートを見てみたい人はこちら

取材・文/笠井貞子

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