生活家電編

新興国でのシェア拡大のため、「高機能化」による差別化と「現地化」を進める

生活家電とは、冷蔵庫や洗濯機、エアコンなど、私たちが普段の生活で利用する家電製品のこと。白い色をした商品が多いため、「白物(しろもの)家電」とも呼ばれる。パナソニック、三菱電機、東芝、日立製作所、シャープなどの総合電機メーカーが代表格。ほかにも、空調機器を手がけるダイキン工業や富士通ゼネラル、調理家電を手がけるタイガー魔法瓶や象印マホービンなど、特定の分野に強い企業が存在する。

 

一般社団法人日本電機工業会(JEMA)が発表した「2014年度 電気機器の生産見通し」によると、08年度における生活家電の国内出荷額は2兆493億円。リーマン・ショック後の09年度は1兆9846億円(対前年度比3.2パーセント減)と落ち込んだが、10年度には2兆2446億円(対前年度比13.1パーセント増)といち早く回復を遂げた。13年度は景気回復に後押しされ、さらに消費増税に備えた駆け込み需要があったことから、対前年度比4.7パーセント増の2兆3204億円になると見込まれている。ただし、14年度は消費増税の影響などが予想され、対前年度比8.6パーセント減の2兆1204億円との予想だ。

 

比較的安定している国内市場だが、今後は人口減少が進むため、大きな伸びは望みづらい状況。そこで各社は、海外での取り組みを強化している。中でも焦点となっているのが、中国、インド、南米などの新興国市場だ。しかし、かつては日本製品が席巻していたグローバル市場だが、最近では中国・韓国メーカーがシェアを拡大。とりわけ強力なライバルとして立ちはだかっているのが、世界トップシェアを獲得している中国のハイアールだ。低価格を武器に攻勢を強めるだけでなく、11年には三洋電機の生活家電分野を買収し、「AQUA」ブランドを立ち上げて高価格帯商品の展開も始めた。LG電子(韓国)も総合電機メーカーとして大きな存在感を放ち、掃除機・扇風機で知られるダイソン(イギリス)、オイルヒーターやコーヒーメーカーで有名なデロンギ(イタリア)など、デザイン性などで人気の高い海外メーカーもある。日本メーカーの置かれた立場は、決して楽なものではない。

 

こうした中、日本メーカーは製品の機能性を高めることで対抗している。例えば、洗濯物の汚れ具合によって自動で節水・節電を図る洗濯機、室内の状況に合わせて温度や送風方向を調整して節電するエアコンといった「省エネ」関連商品は、日本のお家芸だ。カビを予防する機能が組み込まれたエアコン・洗濯機など、「自動お手入れ機能」を搭載した商品も増えている。こうした付加価値の高い商品に力を入れる傾向は、今後も強まるだろう。

 

商品の「現地化」も重要だ。従来は、日本向けに作った商品を多少アレンジして輸出するケースが多かった。ところがこれでは、「かゆいところに手が届く商品」が作れない。そこで近年では、開発・販売拠点を海外に設置。例えば、水道水をそのまま飲めない国向けにペットボトルの収納スペースが大きい冷蔵庫を開発するなど、現地のニーズを丹念に拾い上げて商品開発に生かすケースが増えている。特に、新興国に開発拠点を設ける動きは、活発化していきそうだ。

 

特定の分野で成長を目指す動きもある。有力なのは「美容」。日本はアジアのファッション分野で先導的な役割を果たしているため、そのイメージを活用し、ドライヤーやヘアアイロンなどで攻勢をかける企業がある。また、健康意識の高まりに合わせ、筋肉量や体脂肪率なども計れる高機能体重計など、健康家電にも注目が集まっている。

 

押さえておこう <生活家電業界志望者が知っておきたいキーワード>

ネットワーク家電
ネットワーク経由で操作したり、データをやりとりしたりして使える家電製品のこと。インターネットでレシピをダウンロードし、調理時間・方法を自動的に設定する電子レンジ、外出先から温度を調節できるエアコンなどが代表的。帰宅して玄関の鍵を開けると自動的に照明・エアコンの電源が入るなど、家全体を連動させる試みも始まっている。
HEMS
Home Energy Management Systemの略。「ヘムス」と発音する。エネルギー使用量を表示して省エネを促す、人がいない部屋の照明・冷暖房を自動的にオン・オフするなど、ITやセンサーを活用して住宅内のエネルギーを管理する仕組みのこと。総合電機メーカーなどが住宅メーカーなどと協力して普及を進めている。
健康家電
体重計や血圧計、万歩計など、健康維持に役立てられる家電製品のこと。最近では単に数値を計測するだけではなく、データを蓄積して以前の結果と比較したり、インターネット経由でデータを転送して専門家からアドバイスが受けられたりするサービスが登場している。
高級炊飯器
お米の銘柄やユーザーの好みに応じて炊き分けられる、内釜の厚みや素材にこだわる、大火力・高圧力で炊きあげるなど、さまざまな工夫を凝らした高級炊飯器が登場。日本製の炊飯器はおいしいご飯が炊け、さらに耐久性が高いと定評があるため、外国でも人気が高い。

このニュースだけは要チェック <新興国での拠点強化に注目しよう>

・パナソニックが、ブラジル・エストレマ市の生活家電製造拠点で洗濯機の出荷を開始。この拠点では12年から冷蔵庫の生産も始めており、中南米地域の戦略拠点と位置づけられている。今後、ペルーをはじめとする周辺諸国への輸出も始める予定で、成長が見込める南米市場の取り込みを目指す。(2014年2月21日)

・日立製作所が、ブラジルのサンパウロ市にある「日立ブラジル社」を「日立南米社」に改名した。ブラジルだけでなく、南米地域の統括会社としての機能を持たせる方針。日立は12年度に41パーセントだった海外売上高比率を、15年には50パーセント以上に高める目標を掲げている。(2014年3月31日)

この業界とも深いつながりが <住宅メーカー、携帯電話キャリアとの協力が進むか?>

家電量販店
ネット通販の比重は高まっているが、販売チャネルとして家電量販店とのかかわりは深い

携帯電話キャリア
ネットワーク家電の分野で、携帯電話キャリアと協力した実証実験などを行う

住宅メーカー
エネルギー消費量の小さい家を実現するため、HEMSの共同開発などを進める

 

この業界の指南役

日本総合研究所 主任研究員 吉田賢哉氏

yoshida_sama

東京工業大学大学院社会理工学研究科修士課程修了。専門は、新規事業戦略やマーケティング戦略、企業のビジョンづくり・組織戦略など。製造・情報通信分野などの業界動向調査や商品需要予測も手がける。

 

取材・文/白谷輝英 イラスト/坂谷はるか

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