コンビニ編・2014年【業界トレンド】

堅調だが人口減は気がかり。女性・高齢者層の取り込みと海外進出でさらなる成長を目指す

社団法人日本フランチャイズチェーン協会によると、2013年における同協会正会員10社の全店売上高は9兆3860億円。対前年比で4.0パーセント伸びた。08年(7兆8570億円)に比べると2割近く増えており、着実な成長が続いている業界だ。ただし、08年末時点で4万1714店だった店舗数は、13年末時点で4万9323店と、やはり2割近く増加し、競争環境は激化する一方。13年だけでも2418店と大幅に増えている。その結果、既存店ベースの売上高は2013年で対前年比1.1パーセント減となった。顧客に選択してもらう店舗づくりが、各社の課題となっている。

攻勢を強めているのが、業界最大手のセブン-イレブン・ジャパン。国内店舗数は12年度に約1000店、13年に約1250店も増え、14年4月末現在には1万6450店に達した。ローソン(14年2月末現在、国内1万1606店舗)、ファミリーマート(14年4月末現在、国内1万635店舗)なども、対抗して出店数を伸ばしつつある。13年3月、セブン-イレブン・ジャパンが初めて四国に出店するなど、今後も出店エリアを拡大する傾向は続きそう。また、これまでコンビニがなかった駅構内、オフィスビル、大学、病院などに出店するケースも増えている。

海外展開にも注目しておこう。コンビニ各社は、中国・東南アジアを中心とした新興国市場への出店に注力している。最も先行しているのはセブン-イレブン・ジャパン。14年4月末現在、米国、タイ、台湾、韓国、中国など世界15カ国・地域で3万6000店舗以上を構える。また、ファミリーマートも14年2月末の時点で、8カ国に1万3000店舗を展開。14年3月末時点で海外店舗が中国、インドネシア、タイなどの483店にとどまっているローソンも、ミャンマー、ベトナム、インドへの出店を検討している。

順調に見える国内市場だが、人口減少・高齢化が進んでいるのが懸念材料。そこで各社は、女性や高齢者層といった新規顧客層を取りこもうと、野菜・果物などの販売拡大、ドラッグストア・調剤薬局との提携による医薬品の販売、飲料などの取り扱い拡大などに取り組んでいる。例えば、セブン-イレブン・ジャパンのセルフ式コーヒー「セブンカフェ」は、発売から1年あまりで4億5000万杯を販売する大ヒットを記録。購入者のうち、約半数が女性だったという。セブン-イレブン・ジャパンによると、1994年における29歳未満の利用者は全体の59パーセントを占め、50歳以上はわずか11パーセントだった。しかし、11年は29歳未満の利用者比率が32パーセントに低下し、50歳以上は28パーセントまで上昇している。また、女性の利用者比率も高まっており、20年前は30パーセント程度といわれていたが、現在は40パーセントに近い比率にまで上昇。「コンビニの主要顧客=若年男性」という図式は、変わりつつある。

利用者の変化に合わせて、各社は雇用者・従業員側の構成も変化させている。とりわけ、女性を積極的に活用し、商品開発や店舗づくりに女性の視点を生かす動きが拡大中だ。ローソンは事業所内に保育所を設け、13年には出産や育児休業から復帰した女性を配属する専門部署も設置。05年以降、新卒採用者の約半数が女性となっている。セブン&アイ・ホールディングスは、女性管理職の比率を現在の20パーセントから、15年度末に30パーセントまで増やす方針を発表。ファミリーマートなども、女性だけの商品開発部隊を設置した。コンビニでは今後も女性利用者の増加が予想されるため、女性が商品企画・売り場づくりなどで活躍するチャンスはますます多くなるだろう。

押さえておこう <来店客層の拡大を目指した取り組みの例>

調剤薬局との複合店を展開
ローソンは、調剤薬局のクオール、ドラッグストアのマツモトキヨシホールディングスなどと提携し、医薬品を併売するタイプのコンビニを展開中。地方でも、各地域の調剤薬局チェーンと提携した複合店を出店し、女性・高齢者の取り込みを図っている。
野菜や果物の特売を開始
ファミリーマートが、一部店舗で野菜や果物の特売を開始した。14年8月には、対象店舗を、全店舗の半数程度にあたる約5000店に広げる方針だという。近隣スーパーの価格よりも2割程度安くすることで、主婦層を取りこもうとする狙いとみられる。
ゆうちょ銀行ATMを導入
ファミリーマートが、14年冬から首都圏と関西の約500店にゆうちょ銀行のATMを導入すると発表。高齢者の利用も多いゆうちょ銀行と協力することで、コンビニエンスストアの集客力を高める効果が期待されている。

このニュースだけは要チェック <「駅ナカ」を目指す動きが活発>

・セブン-イレブン・ジャパンが西日本旅客鉄道(JR西日本)と提携し、駅構内にある売店「KIOSK」約500店を、すべてセブン-イレブンに転換すると発表。収益性の高い「駅ナカ」は、コンビニにとって有望な出店先。鉄道会社にとっても駅利用者の利便性アップにつながるため、こうした取り組みは今後も増えそうだ。(2014年3月27日)

・ローソンが、新業態コンビニ「ローソンマート」の1号店を神奈川県横浜市西区でオープンした。野菜などの生鮮品や総菜類に力を入れるなど通常のコンビニよりも幅広い品揃えになっており、単身者だけでなくファミリー層もターゲットにしたスタイルだ。16年末までに、500店舗規模にまで増やす予定。(2014年2月20日)

この業界とも深いつながりが <「駅ナカ店舗」で鉄道会社と協力するケースが増えている>

ドラッグストア
コンビニとの共同店舗が増加。一方、一般医薬品を扱うコンビニとは競合する

鉄道
鉄道会社系の小売店がコンビニにチェーン転換する動きが活発化している

総合商社
コンビニチェーンが海外展開する際に、商社の力を借りるケースもある

この業界の指南役

日本総合研究所 副主任研究員 田中靖記氏

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大阪市立大学大学院文学研究科地理学専修修了。専門は、新規事業、マーケティング、海外市場進出戦略策定。鉄道・住宅・エネルギーなど、社会インフラ関連業界を担当。環インド洋諸国におけるコンサルティング・調査案件を中心に手がける。

取材・文/白谷輝英 イラスト/坂谷はるか

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