ビール・酒造編

「プレミアムビール」や低価格品、ノンアルコール飲料の投入・強化で需要低迷を打開

国内ビール市場は、アサヒビール、麒麟麦酒(キリンビール)、サントリー、サッポロビールの4大メーカーが大きなシェアを握っている状態。世界に目を向けると、アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー)、SABミラー(英国)、ハイネケン(オランダ)といった巨大外資系メーカーが大きな存在感を放っている。これに対し、日本酒の分野では、最大手企業でもシェアが1割に届かないほど細分化されているのが特徴だ。国税庁の『酒のしおり(平成26年3月)』によると、2012年度における酒類の販売(消費)数量は854万キロリットル。対前年度比で0.4パーセント増えた。 少子高齢化や若者のアルコール飲料離れなどが影響し、消費量は減少傾向が続いてきたが、ようやく歯止めがかかりつつあるようだ。ただし、ピーク時の1996年度(966万キロリットル)に比べると、市場は1割以上縮小している。

 

アルコール消費量を上向かせるため、さまざまな対策が打たれている。まず挙げられるのが、低価格アルコール飲料の投入だ。各社は「クリアアサヒ」(アサヒビール)、「のどごし<生>」(キリンビール)、「ドラフトワン」(サッポロビール)、「金麦」(サントリー)といった「新ジャンルビール」(「第三のビール」とも呼ばれる)などを開発。これらはビールや発泡酒と原料・製法が異なるために酒税を低く抑えられ、安い価格で販売できる。そこで、節約志向の強い消費者を取り込む役割を果たしている。

 

一方で、「プレミアムビール」と呼ばれる高級品を投入・強化する動きも見られる。この市場で先鞭をつけたのは、サントリーの「ザ・プレミアム・モルツ」。原材料や製法にこだわり、本物志向の消費者から支持を得た。続いて、サッポロビールの「ヱビス」がブランドの再強化を行って対抗。さらに14年に入ると、アサヒビールが「アサヒスーパードライ ドライプレミアム」を、キリンビールが「一番搾り プレミアム」を本格展開した。また、サッポロビールが、フレンチの巨匠「ジョエル・ロブション」とコラボした限定品「薫り華やぐヱビス」を発売するなど、現在、最も激しい競争が繰り広げられている分野だ。

 

アルコール度数の見直しを行い、顧客にアピールする試みにも注目だ。例えば、チューハイや梅酒では、アルコール度数3パーセント以下の新商品が登場。アルコールを得意としていない層の掘り起こしを進めている。一方で、アルコール度数を高めに設定したチューハイ、ハイボールを投入し、「お得に酔いたい」というニーズに応えるケースもある。また、09年に始まったアルコール飲料市場も、順調に拡大中。ビールテイスト飲料(いわゆる「ノンアルコールビール」)のほか、チューハイテイスト飲料、ワインテイスト飲料、ノンアルコールカクテルなど、さまざまなタイプが登場している。健康を気にする層をターゲットにした、「糖質ゼロ(オフ)」「カロリーオフ」「プリン体オフ」といった商品も人気だ。

 

この業界でも、海外展開は重要な課題だ。アジア、アフリカ、中南米といった地域では、ビールの生産量・消費量が堅調に拡大中。そこで大手ビール会社は、海外企業のM&Aなどによって各地域への足がかりを確保しようと動いている。サントリーによる大型買収(ニュース参照)のような動きは、今後も活発化するかもしれない。また、下で紹介しているように、酒類の輸出金額は急増中。特に海外で注目されているのが日本酒だ。13年12月、「和食」が無形文化遺産に決定するなど、日本の食文化に対する関心は強い。また、東日本大震災からの復興の象徴として日本酒が取り上げられるケースも多く、日本酒需要はさらに高まりそうだ。

 

押さえておこう <酒類の輸出金額は、10年で約2.5倍となった>

04年の酒類輸出金額……105億円
06年の酒類輸出金額……140億円
08年の酒類輸出金額……168億円
10年の酒類輸出金額……179億円
12年の酒類輸出金額……207億円
13年の酒類輸出金額……251億円

※国税庁の『輸出の動向について』より抜粋。10年で、輸出金額は約2.5倍となった。なお、輸出金額の4割以上を日本酒(清酒)が占めている。

このニュースだけは要チェック <各社の海外展開に注目しよう>

・サントリーホールディングスが、ウイスキー「ジムビーム」などで知られる米酒造大手ビーム社の株式取得が完了したと発表。両社の売り上げを合算すると、蒸留酒の分野では世界有数の規模となる。グローバル展開を強化し、海外での売り上げを伸ばすのが狙いとみられる。(2014年5月1日)

・アサヒビールが、「アサヒスーパードライ ドライプレミアム」の年間販売目標を上方修正。当初は320万ケースだったが、2月に360万ケース、今回は500万ケースへと積み増した。今後は業務用・贈答品に加え、一般家庭向けの販売にも注力する見込み。プレミアムビール市場の人気を証明する話題と言えよう。(2014年6月9日)

この業界とも深いつながりが <外食産業は有力な販売チャネルだ>

外食
居酒屋やレストランなどで消費されるアルコールは、売り上げの大きな部分を占める

飲料
ビールメーカーが飲料メーカーの株主であるなど、資本面でつながりのあるケースも

スーパー
アルコール飲料の有力な販売チャネル。PBビールの生産などで協力することもある

 

この業界の指南役

日本総合研究所 主任研究員 吉田賢哉氏

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東京工業大学大学院社会理工学研究科修士課程修了。専門は、新規事業戦略やマーケティング戦略、企業のビジョンづくり・組織戦略など。製造・情報通信分野などの業界動向調査や商品需要予測も手がける。

取材・文/白谷輝英 イラスト/坂谷はるか

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