携帯電話キャリア編

競争は激しいが市場は順調に成長。各社は高付加価値サービスの提供やインフラ整備に注力

社団法人電気通信事業者協会(TCA)によると、2013年3月末における大手キャリア3社(NTTドコモ、au、ソフトバンク)の携帯電話契約数は1億3955万件。前年(1億3172万件)より5.9パーセント増えた。契約数は日本の人口(約1億2700万人)を上回っているが、スマートフォン人気などで「2台持ち」需要が喚起され、順調な成長を続けている。3社による競争は激しいものの、15~20パーセントという高い営業利益率を確保できている優良市場だ。

 

新規契約数から解約数を引いた「純増数」ではソフトバンクが、MNP(キーワード参照)ではauが優勢。これに対し、契約数で国内トップのNTTドコモは、ほかの2社と比べると伸び悩み気味だ。また、高止まりしている携帯電話料金に風穴を開けようと、MVNO(キーワード参照)が続々と参入している。しかし現状では、値下げ争いを加速するほどのインパクトは与えられていない。総務省は、競争を促進するためにSIMロック(キーワード参照)の解除義務づけを打ち出しており、今後のルール作りなどに注目が集まっている。

 

好調が続く業界だが、国内での契約数はいずれ頭打ちになるだろう。そこで各社は、ARPU(Average Revenue Per Userの略。加入者1人あたりの月間売上高)を向上させ、売り上げ拡大を目指している。現在、焦点となっているのが音声ARPUだ 。このところ、LINE、Twitter、Skypeなどのサービスが普及し、通話をする人が減少。そこで各社は、「カケホーダイ&パケあえる」(NTTドコモ)、「カケホとデジラ」(au)、「スマ放題」(ソフトバンク)といった音声通話定額制プランを導入し、音声通話の利用増を図っている。

 

付加価値性の高いサービスを提供することで、「土管型ビジネス(サービスやコンテンツを提供できず、回線の収益に頼ること。回線を土管になぞらえ、こう呼ばれる)」に陥る危険を避けようとする動きもある。例えばNTTドコモは、14年1月に大手料理教室「ABCクッキングスタジオ」を運営するABCホールディングスを買収。レッスンの様子を配信するなどして、スマートフォン向けコンテンツの充実を目指している。NTTドコモは、12年にCDショップチェーンのタワーレコードや、有機・低農薬野菜を手がけるらでぃっしゅぼーやを子会社化しており、サービス領域拡大への取り組みに熱心だ。一方、auは天気予報の「ウェザーサービス」、化粧品情報の「アットコスメ」、地図サービスの「ナビタイム」などのアプリと連携する「Syn.(シンドット)構想」を発表。他社と共同で、スマートフォン向けサービスの価値向上を狙うとみられる。

 

つながりやすさや回線速度の向上も、各社が取り組んでいる課題だ。今後は、通信速度が現行LTEの2倍ほど速い「LTE-Advanced」(第4世代移動通信システム)が、順次導入される予定。携帯端末の電波を受ける「基地局」の整備が、さらに進められるだろう。また、13年7月、ソフトバンクがアメリカ3位の携帯電話会社スプリントを買収。auブランドを展開するKDDIがミャンマーの携帯電話市場に参入する(ニュース記事参照)など、海外展開の動きも活発化している。

 

携帯電話キャリア志望者が知っておきたいキーワード

MNP
Mobile Number Portabilityの略。番号ポータビリティとも呼ぶ。キャリアを変えても、同じ電話番号を利用できる仕組み。現状は、NTTドコモからau、ソフトバンクに転出するケースが目立っており、3社のシェアの差は徐々に縮まっている。
MVNO
Mobile Virtual Network Operator(仮想移動体通信事業者)の略。携帯電話キャリアからネットワークを借りて通信事業を行う事業者のこと。通信事業者の日本通信と大手スーパーのイオンが協力して売り出した「イオンのスマートフォン」は、MVMOの仕組みを使って低価格を実現し、話題を呼んだ。
SIMロック
携帯端末の利用者を識別する「SIMカード」に制限(ロック)を加え、キャリアが変わると利用できなくすることを指す。日本の携帯電話の多くにはSIMロックがかかっており、利用者がキャリアを乗り換えた場合、以前使っていた携帯端末は使えないことが多かった。
SIMフリー
SIMロックを解除し、どのSIMカードでも携帯端末に差し込んで使えること。SIMロックフリーとも呼ぶ。実現すれば、手持ちのスマートフォンにMVNO系キャリアのSIMカードを挿して利用料金を安く抑えることなどが容易になるため、利用料金引き下げに効果があるとみられている。
O2O
Online to Offlineの略。OtoOと表記することもある。スマートフォンなどで割引クーポンを発行して来店客増加につなげる、来店するとスマートフォンアプリ上でポイントがたまるなど、ネット上の働きかけによってリアル店舗の購買活動を活発化させること。

このニュースだけは要チェック <スマホ契約者数が過半数を突破>

・IT市場専門のリサーチ・コンサルティング企業であるMM総研によれば、14年9月末時点のスマートフォン契約数は6248万件で、フィーチャーフォン(いわゆるガラケー)の契約者数6176万件を初めて超えた。今後もスマートフォンの利用者は着実に増加すると予想される。(2014年10月23日)

 

・auブランドを展開するKDDIが住友商事と共同で、ミャンマーでの通信事業に参入すると発表。ミャンマー国営郵便・電気通信事業体(MPT)との共同事業として展開する。ミャンマーの携帯電話普及率は、12年末時点で約10パーセント。経済成長に伴い、今後大きな需要増が見込まれている。(2014年7月16日)

この業界とも深いつながりが <家電量販店は重要な販売チャネル>

家電量販店
携帯端末の販売チャネルとして、非常に深い関係がある

教育サービス
学習塾や学校で、タブレット端末を活用した教育が広まりつつある

外食
O2Oなど、リアル店舗と連動したサービスが増えている

 

この業界の指南役

日本総合研究所 副主任研究員 山浦康史氏

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慶應義塾大学大学院工学系研究科修士課程修了。通信・メディア・テクノロジー分野を中心としたさまざまな業界における経営戦略・計画策定、事業性評価、新規事業展開支援、R&D戦略策定支援などのコンサルティングに従事している。

取材・文/白谷輝英 イラスト/坂谷はるか

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