CRO編

外資系医薬品メーカーとの協業が増加。「国際共同治験」などへの対応力が重要に

CROとは、Contract Research Organization、またはClinical Research Organizationの略。医薬品メーカーから依頼を受け、開発業務の一部を受託する「受託臨床試験機関(企業)」を指す。病院などの医療機関で実施される臨床試験の監視や、集まったデータの集計・分析などを通じて医薬品メーカーを支援するのが役割。欧米では1970年代から始まった業態で、医薬品開発で臨床試験などの業務が複雑化する中で存在感を拡大してきた。日本では97年に「医薬品の臨床試験の実施に関する基準」が改定(いわゆる「新GCP=Good Clinical Practice」)され、法的に認められる存在となっている。現在日本には、クインタイルズ、シミック、イーピーエスといった企業を筆頭に、約30社のCROがあるといわれる。

 

CROの業務としては、医療機関などで行われている臨床試験が適切な方法で進められているか確認する「モニタリング」、集められた症例を集めコンピュータに入力して管理する「データマネジメント」、各種データを解析する「統計解析」、規制当局への申請書類や報告書を法律にのっとって作成する「メディカルライティング」などがある。新卒採用者に占める薬学部卒業生の割合は大きいが、職種によっては薬学系でなくても十分に担当できるものもある。

 

CRO業界の顧客である医薬品業界では、年々、世界規模で競争が激化。また、画期的な新薬を生み出す余地も徐々に小さくなっている。一般に、医薬品開発には基礎研究から販売まで8~15年程度かかるが、各医薬品メーカーは少しでも開発期間を短くして他社に先駆けようと努力を重ねている。そこで、高い専門性を生かして効率よく開発プロセスを進められるCROの存在意義が高まりつつあるのだ。日本CRO協会によると、2013年における同協会会員24社の総売上高は1368億円。03年(501億円)に比べると、市場規模は約2.7倍に拡大しており、今後も成長が期待される業界だ。ただし、CRO業界自体も競争が激しくなっているため、今後は業界再編が進む可能性もある。企業買収や提携に関連したニュースは、ぜひチェックしておこう。

 

日本CRO協会によれば、13年の総売上高のうち日本系顧客の比率は57パーセント、外資系顧客は43パーセントだった。08年(日本系73パーセント、外資系27パーセント)、03年(日本系76パーセント、外資系24パーセント)に比べると、外資系メーカーと協業する機会は増えている。そのため、CROにもグローバル対応能力の強化が不可欠だ。今後は、臨床試験の評価項目を日本・米国・欧州などで共通化し、世界各地で同時に臨床試験を行う「国際共同治験」などへの取り組みがより重要になってくるだろう。

 

医薬品メーカーが抱える「臨床試験以外の課題」を支援する動きにも注目しておきたい。臨床試験の効率性を高めるITソリューションの提供や、医薬品メーカーのMR業務(医療従事者に対し、医薬品の効果、安全性などに関する情報を提供すること)を支援する「CSO」(Contract Sales Organization)といった領域に進出し、医薬品業界の効率化をさまざまな形でサポートしていくCROが増えていきそうだ。

 

CRO志望者が知っておきたいキーワード

試験実施計画書
プロトコルとも呼ばれる。臨床試験を行う「新薬候補」の服薬量、回数、検査内容・時期などが記載された文書で、各国の規制当局(日本では厚生労働省)に届け出を行う。
CRA
Clinical Research Associateの略。臨床試験のモニタリング担当者のこと。日本CRO協会によると、会員企業の従業員のうちCRAは39.6パーセント(2013年現在)で最も多い。
SMO
Site Management Organizationの略。CROが医薬品メーカーから業務委託を受けているのに対し、SMOは医療機関と契約して治験業務のサポートを行う。

このニュースだけは要チェック <業界再編に関するニュースに注目を>

・CROのイーピーエスが、やはりCROである日揮ファーマサービスの全株式を取得し、子会社化すると発表した。事業規模を拡大することでCRO事業を強化することが狙いとみられている。(2014年2月17日)

 

・CROのシミックを傘下に抱えるシミックホールディングスが、バイオアナリシス(生体試料中薬物濃度測定)に強いCROであるJCLバイオアッセイの株式を20パーセント強取得し、持分法適用会社とした。事業連携により、技術力と営業力の強化を目指す。(2014年2月27日)

この業界とも深いつながりが <臨床試験の際には医療機関と協力>

医薬品メーカー
医薬品メーカーから業務委託を受け、新製品の開発業務を支援する

病院・診療所
病院や診療所といった医療機関と協力し、臨床試験を実施する

人材サービス
人材サービス会社を通じてCRAなどの専門家を集めるケースが多い

 

この業界の指南役

日本総合研究所 主任研究員 吉田賢哉氏

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東京工業大学大学院社会理工学研究科修士課程修了。専門は、新規事業戦略やマーケティング戦略、企業のビジョンづくり・組織戦略など。製造・情報通信分野などの業界動向調査や商品需要予測も手がける。

取材・文/白谷輝英 イラスト/坂谷はるか

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