レジャー施設編

トップ企業を中心に好調が続く。外国人リピーターの取り込みでさらなる成長を模索中

経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によれば、2010年における「遊園地・テーマパーク」の売上額は4626億円。東日本大震災によって入場者数が減り、11年の売上額は4302億円と落ち込んだが、12年には5004億円、13年には5705億円と急拡大。14年は、対前年比6.3パーセント増の6066億円とさらに伸びた。市場規模は10年あまりで2倍ほどに膨らんでおり、好調な業界の一つと言える。

 

好況の理由は、業界トップ企業の活躍だ。オリエンタルランドが運営する東京ディズニーリゾート(東京ディズニーランド・東京ディズニーシー)は、開業30周年を迎えた13年度、関連イベントで大きく集客数を伸ばした。反動も予想されていた14年度も、映画『アナと雪の女王』の人気や、新イベント・新アトラクションの導入によって勢いを維持。最終的には、東京ディズニーリゾートにとって過去最高となる3138万人の入場者数を記録している。また、ユー・エス・ジェイが運営するユニバーサル・スタジオ・ジャパンは、14年7月、人気映画『ハリー・ポッター』シリーズをテーマにしたエリアを新たにオープン。これが集客に大きく寄与し、14年度は過去最高となる約1270万人の入場者数を達成した。

 

新アトラクションの導入、期間限定イベントの開催などで来場者増を目指す取り組みは、これからも続けられるだろう。例えばユニバーサル・スタジオ・ジャパンでは、15年1~5月の期間限定で、『エヴァンゲリオン』『進撃の巨人』といった人気アニメをモチーフにしたアトラクションをオープン。ナガシマスパーランドでも15年夏、うつぶせの状態で空を飛び回るような感覚が体験できる新ジェットコースター「アクロバット」をオープン予定だ。そして東京ディズニーランド・東京ディズニーシーでは、15年以降の10年間で5000億円程度を投資し、エリア拡張・大型再開発を進める計画を打ち出している。新施設を作る資金力と、顧客を飽きさせないための企画力が、各社の収益のカギを握りそうだ。

 

13年度における東京ディズニーリゾートの外国人入場者数は、全体の4パーセント程度を占める122万人。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの14年度における外国人入場者は、全体の6パーセント強を占める80万人に達した。レジャー施設にとって、外国人対応は重要なテーマ。多くの企業は、多言語表示の推進や外国語対応可能なスタッフの増員などを行っている。

 

特に焦点となりそうなのが、「訪日リピーター」向けの施策である。外国人観光客は最初の訪日で買い物や著名な観光名所の訪問を済ませ、二度目以降は「日本ならではの体験・サービス」を期待する傾向が強い。そこで、花見や雪、温泉、日本の歴史・伝統文化などを楽しめるイベント・アトラクションを生み出せば、訪日リピーターのニーズに応えることができるだろう。また、日本の果物を産地で収穫し味わえるサービスや、海外ファンも多い日本のアニメ・漫画に関連したサービスなども有望だ。今後は、単なる物販(=「モノ消費」)より、レジャー施設ならではの体験や思い出作りを重視する「コト消費」を求める人が増えると見られており、「体験・参加」を切り口にしたイベント・施設が集客を伸ばすかもしれない。

 

少子高齢化に対応し、若者や家族連れ以外の顧客層にアピールすることも課題。シニア層をターゲットにした施設や、「三世代で楽しめるレジャー施設」の検討なども進むだろう。また、国内では現在、通称「カジノ解禁法案」(観光客の呼び込みを目指し、今は禁止されているカジノの開設を認める法案)の可否が議論されている。こちらの結果も、レジャー施設業界に大きな影響を与えそう。議論の行方について、ぜひ注目しておきたい。

 

外国人リピーターは「日本ならではの体験」を求めている

「日本食を食べること」
訪日前に期待していた……76.2パーセント
次回の訪日時にしたい……56.1パーセント

「ショッピング」
訪日前に期待していた……56.6パーセント
次回の訪日時にしたい……44.5パーセント

「温泉入浴」
訪日前に期待していた……33.4パーセント
次回の訪日時にしたい……44.9パーセント

「四季の体感(花見・紅葉・雪など)」
訪日前に期待していた……13.7パーセント
次回の訪日時にしたい……30.1パーセント

「スキー・スノーボード」
訪日前に期待していた……5.1パーセント
次回の訪日時にしたい……16.6パーセント

※観光庁『訪日外国人の消費動向~訪日外国人消費動向調査結果及び分析 平成26年年次報告書』の「参考表3 国籍・地域(19区分)別 訪日旅行に関する意識(満足度など)」より、「訪日前に期待していたこと(複数回答)」と「次回したいこと(複数回答)」の差が10パーセント以上あった項目を抜粋。訪日リピーターは、温泉、四季、スノーレジャーなど「日本でしかできない体験」を強く望んでいるようだ。

このニュースだけは要チェック <外国人向けサービスの動向に注目しよう>

・東京スカイツリーが、外国人客専用チケット「ファスト・スカイツリー・チケット」の販売を開始。一般のチケットより値段は高いが、ほぼ並ばずに展望台まで上がれる。日本での滞在時間に限りのある外国人に対し、短時間で景色を楽しむ選択肢を提供。(2015年2月19日)

 

・日本政府観光局(JNTO)は、14年の訪日外客数が1341万人に達したと発表。東日本大震災の起きた11年に622万人まで落ち込んだが、13年には1036万人と初めて1000万人台を突破。14年は対前年比で約30パーセントも伸びており、過去最高に達した。(2015年1月20日)

この業界とも深いつながりが <鉄道会社とつながりの強い企業は多い>

旅行・ホテル
テーマパーク内の併設ホテルと協力するなど、共に働く機会が多い

鉄道
鉄道会社がレジャー施設の親会社であるケースも少なくない

外食
園内の飲食店は、テーマパークの魅力を高めるために欠かせない存在

 

この業界の指南役

日本総合研究所 主任研究員 吉田賢哉氏

yoshida_sama

東京工業大学大学院社会理工学研究科修士課程修了。専門は、新規事業戦略やマーケティング戦略、企業のビジョンづくり・組織戦略など。製造・情報通信分野などの業界動向調査や商品需要予測も手がける。

 

取材・文/白谷輝英 イラスト/坂谷はるか

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