建設機械編

日本企業がグローバル市場で大きな存在感を放つ業界。新興国需要の行方に注目を

建設機械メーカーは、油圧ショベル、トラクター、クレーン、ブルドーザー、道路舗装機械などの製造・販売を手がける企業。このうち、油圧ショベルとトラクターで、全出荷額の50パーセント強を占める。また、建設機械は鉱山や建設現場といった過酷な環境で使われるため、ショベル部分などの部品が摩耗しやすい。業界内では、「建設機械が寿命を迎えるまでに、新車1台分に匹敵する補修部品代がかかる」と言われるほどだ。こうした補修部品は利益率が高いため、各社にとって新車販売と並んで重要な分野とされる。

 

景気の状況に業績が左右されやすいことから、建設機械の需要は「景況を映す鏡」と呼ばれることもある。下表で紹介しているように、リーマン・ショックをきっかけとした景気低迷によって、2008年度、09年度の建設機械出荷額は急落。その後、中国を中心とした新興国の建設ラッシュや、新興国での資源需要増による鉱山開発の進展によって、10年度、11年度はV字回復を遂げた。しかし、11年後半以降、石炭や鉄鉱石などの価格が低迷し、堅調だったオセアニア・中南米・インドネシア向けの鉱山向け建設機械の出荷が伸び悩んだため、12年度は再びマイナスに転じている。

 

建設機械のニーズが大きい中国では、13年4月以降、需要が回復傾向を示している。しかし、現在アジア最大の市場であるインドネシアでは、資源需要の先行きが不安定。そのため、今後しばらくは不透明な状況が続く危険性もある。ただし、今後は新興国で人口の爆発的増加が起こり、建設・資源需要の高まりが予測されている。そのため、長期的にみれば、建設機械業界は安定した成長が見込めるだろう。

 

この業界では、油圧ショベルを中心に、世界的に強い競争力を持っている日本企業が多数存在している。コマツ、日立建機、コベルコ建機などが、その代表格。例えば、コマツの海外売上比率は約8割という高さで、各社は世界を舞台にビジネスを展開している。一方、外資系企業としてはキャタピラー(アメリカ)、ボルボ(スウェーデン)、テレックス(アメリカ)、三一重工(中国)などがある。

 

このところ、ICT(Information and Communication Technologyの略。情報通信技術のこと)を活用し、付加価値向上を目指す動きが活発。その代表例が、コマツが開発した「KOMTRAX」システムだ。建設機械にGPSを搭載して、世界中にある建設機械の稼働状況を一元的にモニタリング。故障診断や取り替え時期の分析を行うことで、稼働率の向上を目指そうとする試みである。顧客企業にとっては、ダウンタイム(機械が停止している時間)の短縮化が図れるし、建設機械メーカー側にも部品在庫の効率化が期待できる。

 

「環境対応」も重要なキーワードだ。例えば、動力にディーゼルエンジンと電気モーターを併用し、旋回するショベルにブレーキをかける際に生じるエネルギーを再利用する「ハイブリッド油圧ショベル」が各社から登場。先進国市場を主なターゲットにして普及が進んでいる。ただし、本体価格が高い点はネック。新興国市場でシェアを拡大するためには、製品ライフサイクル(購買~使用~最終廃棄までの一連の期間)でのユーザーの総コストを抑え、長期間にわたって機械を活用できる機能性が鍵になりそうだ。

 

押さえておこう <建設機械の出荷額推移(建設機械本体と補修部品の合計出荷額)>

2007年度
2兆6757億円
△16.3パーセント

2008年度
2兆1971億円
▼17.9パーセント

2009年度
1兆2622億円
▼42.6パーセント

2010年度
1兆9630億円
△55.5パーセント

2011年度
2兆3504億円
△19.7パーセント

2012年度
2兆1495億円
▼8.5パーセント

※日本建設機械工業会の統計データより。建設機械の出荷額は、景気の動向によって大きく増減することがわかる。

このニュースだけは要チェック <新技術を投入した建設機械に注目しよう>

・コマツが「ICT建機」の第1弾商品として開発したブルドーザー「D61PXi-23」を、国内市場に導入開始。ICTを活用して、作業精度と作業効率の大幅アップを目指す商品とされる。国土交通省は「情報化施工推進戦略」を主導しており、将来的にはICTを活用した建設機械がさらに普及する可能性もある。(2013年9月11日)

・日立建機が、補修部品のグローバル供給体制を再構築するため、茨城県土浦市の土浦工場内および周辺に分散していた部品センター機能を、茨城県つくば市に建設中の大型物流センターに移転集約すると発表。物流の効率化を図り、顧客への保守・サポート態勢を強化するのが狙いだ。(2013年11月6日)

この業界とも深いつながりが <建設会社とは非常に深い関係>

建設
道路やビルを作るために建設機械は不可欠。建設機械業界にとって重要な顧客

リース
リース会社を経由して、建設機械が建設会社などに供給されるケースも多い

鉱業
資源開発の現場では、数多くの建設機械が活躍している

この業界の指南役

日本総合研究所 副主任研究員 千葉岳洋氏

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一橋大学社会学部社会問題・政策課程卒業。専門は、国際会計、経営管理・グループ経営改革、グローバルマーケティング、グローバルサプライチェーンマネジメント。製造業を中心として、グローバルを共通テーマに、マーケティング・会計・業務改革などを幅広く手がける。米国公認会計士。

取材・文/白谷輝英 イラスト/坂谷はるか

 

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