人事部長インタビュー

Vol.69 東日本旅客鉄道株式会社

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

お客さまの利便性を高め、地域経済の活性化に貢献していく

少子高齢化や地方活力の減退といった社会構造の変化にどう対応していくのか――これが、鉄道業界の大きな課題だと考えています。こうした中でさらに利用者を増やしていくためには、大きな人の流れをつくっていくことが重要です。

 

首都圏でいえば、ネットワークを一段と強化して利便性を高めること。例えば、すでに運行している湘南新宿ラインや2015年3月(のダイヤ改正)に開業した上野東京ラインは、乗り換えのいらない利便性の高い路線としてお客さまにご利用いただいており、今後もお客さまのご利用実態の変化を捉えてネットワークをさらに強化していきます。

 

地方においては、観光によって大きな流動をつくることに力を入れています。15年は北陸新幹線の開業によって首都圏~金沢という大きな流動が生まれましたし、16年3月26日に開業した北海道新幹線も新たな観光の流動を創造し、東北と道南の結びつきが深まり、大きな観光圏になることを期待しています。

 

また、年間2000万人に達しようとしているインバウンド(訪日外国人)のお客さまに、当社の営業エリアである東北や上信越にいかにして足を運んでいただくかもポイントです。東北と上信越には、まだ知られてないたくさんの観光資源がありますから、そうした資源を地域の皆さまと一緒になって掘り起こし新たな需要を喚起していくことで、鉄道事業は今後もまだまだ進化していくと考えています。

 

当社は12年に、今後、当社グループが目指す方向を『グループ経営構想V(ファイブ)』で示し、「鉄道事業」「生活サービス事業」「IT・Suica事業」「鉄道車両製造事業」という4つの大きな柱を立てて推進しています。鉄道事業については、当社の強みであるネットワークと地域性をさらに強化し、利用者の拡大を図っていきます。

 

生活サービス事業については、エキュートなどの駅の中で展開するエキナカ事業、飲食事業、ホテル・オフィス事業など、87年の東日本旅客鉄道発足以来、国鉄時代にはなかったさまざまな事業にチャレンジし、今では連結の売上高の3割を超えるまでに成長しています。

 

「さまざまな生活シーンでのSuica利用を、デファクトスタンダード(事実上の標準)にしたい」という大きな目標を持って推進してきたSuica事業も、交通系電子マネーの広がりとともに、非常に多くのお客さまにご利用いただき、業績は着実に伸びています。

 

また、鉄道車両の海外輸出を目指す鉄道車両製造事業は、16年8月に営業開始予定のタイ・バンコクの都市鉄道パープルラインに、当社のグループ会社である総合車両製作所が製作した車両が走る計画で、この路線のメンテナンス事業を当社の出資企業が請け負う予定です。今後も、こうした車両製造からメンテナンス、オペレーションまでのトータルな鉄道輸送システムの海外輸出にチャレンジしていきます。

 

当社が目指しているのは、総合生活サービス企業グループです。これからも私たちの事業を通じてお客さまのさまざまな生活シーンを豊かにするとともに、地域に生きる企業として地域の経済活性化に少しでも貢献し、日本全体を元気に明るくしていく企業グループになりたいと考えています。

 

鉄道事業には、まだたくさんの面白い技術革新の可能性がある

技術革新とグローバル化は、非常に大きなテーマであると考えています。なぜなら、JR東日本の事業の主要部である鉄道は、技術によって裏打ちされたサービスを提供する“技術サービス産業”だからです。

 

鉄道というのは技術的に成熟していて、技術者としての活躍の余地があまりないと思われるかもしれませんが、実際はたくさんの技術課題があります。例えば新幹線の高速化。すでに現在の最高時速320キロを360キロにする技術はありますが、騒音や振動などの問題をクリアしなければならない技術的な課題があります。災害に強い鉄道をどうつくるかも大きな課題ですし、エネルギー分野も新たなフロンティアとなっています。運行・メンテナンスを含めて鉄道の全般で技術的に大きく革新をしていきます。01年に開設した埼玉県大宮市のJR東日本研究開発センターでは、こうした最新の技術研究に取り組んでいるほか、技術的な知見を高めるために他企業や研究機関と積極的に人事交流するなど、オープンマインドに技術革新を推進しています。

 

当社は、社会や環境の変化を先取りして進化を続ける企業です。鉄道事業には、まだたくさんの面白い技術革新の可能性が広がっているので、技術系学生がチャレンジしがいのある会社です。また博士号取得者も大歓迎です。

 

もう1つのテーマであるグローバル化ですが、人材のグローバル化も重要な課題であると捉えています。内向きな思考や視点だけでは、これからの社会では通用しません。そこで当社では、社外の世界とのさまざまな接点を持つことにより、常にお客さまの立場から自分の仕事を見ることのできる視点や、世の中の動きも鋭敏に捉えられる感性を養ってもらう一つの手法として、国内外への留学や研修、社外との人事交流の機会を拡充しています。

 

年間約500名が参加する1週間程度の海外研修のほか、3カ月間の海外体験プログラム(短期留学)、1年から2年間の長期留学など含めると、年間600名以上の社員が研修等で海外に出ています。短期留学は公募形式で、第一線で働いている入社数年目の若手社員が多く参加しています。

 

実務に密着したものとしては、海外鉄道コンサルティング業務OJTトレーニー制度があります。世界的に鉄道への関心が高まる中、東南アジアなどで進行している鉄道建設プロジェクトのコンサルティング業務を当社のグループ会社が請け負っています。そこで、現地で約3カ月間コンサルティング実務を体験してもらおうと、毎年およそ30名の社員を現地に派遣しています。

 

JR東日本を志望される学生の皆さんに望みたいことは3つあります。1つは、「人が好き」ということ。当社の事業はお客さまにご利用いただいて成り立っているのですから、お客さまを身近に感じられなくてはいけません。また鉄道は、関係する多くの部署の仕事が連携することにより動いており、チームプレーができるということは非常に大切なことです。

 

2つめは、「仕事に対して夢を持ち続けている」こと。仕事の中で自分を高めていけるよう、自分はこうなりたい、今後はこうしたいという夢を持ち続けて業務に当たってほしいということです。そして、3つめが「自らの未来は自らの手で切り拓いていく気概がある」こと。当社は、地域的にも事業的にも非常にフィールドが広く、たくさんの可能性やチャレンジできる分野があります。ですから、こうした多彩なフィールドの中で、仕事を通じて社員一人ひとりが自分の夢を実現させ、成長していく中で、会社も発展していくことを願っています。

 

多様な人材がさまざまなフィールドで活躍することが、当社の強みになると考えているので、ダイバーシティには特に力を入れて取り組んでいます。最初の課題は女性の活躍推進でしたが、04年にプロジェクトを立ち上げ、女性採用比率を2割以上にするとともに、勤務制度の充実に取り組んできました。近年は、採用者の3割以上が女性となり、会社発足当初は1パーセントにも満たなかった女性社員比率が、約10パーセントにまで上昇し、さまざまな分野で活躍しています。また、障がいをもつ方や外国籍の方の採用も積極的に行っています。

 

当社の事業は地域をベースで成り立っているので、「自分が生まれ育った地域を、仕事を通じて元気にしたい」という強い志を持った方にも、ぜひ当社の門をたたいてほしいですね。

 

学生の皆さんへ

勉強、スポーツ、趣味など何でもいいので、夢中になって何かに取り組む経験をしてほしいと思います。社会に出ると、すべてが答のある仕事とは限りません。むしろ答のない仕事の方が多いので、1つのことに夢中に取り組んだという経験が、そうした仕事にも果敢に取り組むマインドを育んでくれることでしょう。もう1つ、アルバイトやボランティアなど、社会との接点をできるだけ多く持っておくことも大切です。学生時代のうちに何かに夢中になったり、社会との接点を多く持っておくと、物事を多層的に見られるようになると思います。

 

私自身は、学生時代は古い教養主義というものに憧れ、夢中で本を読みました。特定のテーマではなく、外国文学、日本文学、哲学書などあらゆるジャンルの本でした。その経験が直接仕事に役立っているとは言えませんが、物事を突き詰めて考える力や、何か課題にぶつかったときに原点に立ち返って組み立て直す力が養われ、社会人としての自分の基礎を成してくれたと思っています。また、たくさん旅をして、日本の良さを実感したことが入社動機の1つになりました。

 

同社30年の歩み

日に1700 万人の利用者を持つ鉄道事業を中心に、ルミネ・エキュートなどの生活サービス事業、IT・Suica事業、鉄道車両製造事業などに携わっている。「地域に生きる。世界に伸びる。」をコンセプトに、お客さまに信頼される総合生活サービス企業グループを目指す。

1987年
日本国有鉄道が分割民営化され、JR6社およびJR貨物が誕生。東日本旅客鉄道株式会社が発足し、首都圏を含む東日本エリアの在来線、東北・上越新幹線を事業継承。
ph_hrmanager_vol69_01
1991年
東北・上越新幹線が東京駅まで延伸、乗り換えやアクセスが格段に向上。
1993年
東京・大阪・名古屋・新潟各証券取引所に株式上場。
1997年
秋田新幹線「こまち」、長野新幹線「あさま」、上越新幹線「たにがわ」、東北新幹線に新型オール2階建て新幹線「Max」(E4系)がデビューした。
2001年
Suicaが、IC乗車券としてのサービスを開始。タッチ&ゴーの実現で、改札サービスの利便性向上に大きく貢献。
ph_hrmanager_vol69_02
2002年
日本鉄道建設公団所有の当社株式50万株が売却され、会社発足15年にして完全民営化を達成した。また、12月には整備新幹線事業である東北新幹線の盛岡~八戸間が開業。
2004年
Suicaに新機能が加わり、電子マネーとしてショッピングにも利用できるように。
2005年
3月に「ecute大宮」、10月に「ecute品川」がそれぞれオープン。エキナカ事業としての新たな幕開けとなる。
ph_hrmanager_vol69_03
2007年
「PASMO」との首都圏ICカード相互利用サービスを開始。SuicaエリアとPASMOエリアが共通化されることで、首都圏鉄道網の利用が便利に。
2010年
東北新幹線の八戸~新青森間が開業。
2011年
東北新幹線「はやぶさ」デビュー。しかしながら、3月11日に発生した東日本大震災により、当社管内の施設や設備、車両などが甚大な被害を受ける。4月29日、東北新幹線が全線運転再開。
ph_hrmanager_vol69_04
2012年
10月に東京駅丸の内駅舎の保存・復原工事が完了。また、現在の中期経営計画である「グループ経営構想Ⅴ(ファイブ)~限りなき前進~」を発表。
2013年
E5系「はやぶさ」国内最高速の時速320 キロ運転を開始。また、全国10の交通系ICカードの相互利用サービスが開始し、全国各地でSuicaが使用可能に。
2014年
新たなITサービスとして、JR東日本アプリが3月にサービスイン。12月には、東京駅が開業100年を迎え、日本の鉄道を代表する駅として、新たな100年に向けてのスタートに。
ph_hrmanager_vol69_05
2015年
北陸新幹線 長野~金沢間が開業。首都圏~北陸地方の流動が大幅増に。
2016年
北海道新幹線 新青森~新函館北斗間が開業。

 

取材・文/笠井貞子 撮影/刑部友康

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
1年生も、もちろん!
大学生・院生・短大生・専門学校生になったら!

リクナビで詳しく見てみよう!

この企業についてリクナビで研究する