エントリーシート(ES)で記入を求められたり面接で聞かれたりすることの多い「自分の長所」。そもそも自分の長所を客観的に把握できないという人もいれば、なんとなくわかってはいても、うまく言葉にできないという人もいるようです。そこで今回は、就活を経験した先輩たちに、「自分の長所」の回答例を大調査。アピールしたい長所ごとに言葉の選び方をまとめました。
目次
9割近くの先輩が、ESや面接で自分の長所を聞かれたことがある
■就活中のES・面接で「あなたの長所は?」と聞かれたことはありますか?(n=500、単一回答)
就活を経験した先輩たちに、ESや面接で、自分の長所について記入を求められたり聞かれたりしたかどうかを尋ねたところ、9割に近い87.4%が「はい」と回答し、大多数の学生が自分の長所について聞かれていることがわかりました。
自分の長所、なんて答えた?なぜその言葉を選んだの?
長所を客観的かつ適切に伝えるには、どんな言葉を使えばいいのでしょうか。アンケートでの先輩たちの回答例を基に、アピールしたい長所ごとに、その言葉を選んだ理由も含めてまとめました。
協調性をアピールしたい場合
・「人に合わせて行動できること」
チームワークが必要とされる場で柔軟に行動できるから(人材業界内定)
・「周りと協力できること」
その企業が協調性を重視していたので、自分の経験と一緒に説明できると思ったから(旅行業界内定)
・「協調性」
部活で培ったのがまさに「協調性」だったので(公務員内定)
向上心をアピールしたい場合
・「前向きなところ」
失敗しても次は成功しようと努力することから(コンサルティング業界内定)
・「成長しようとするところ」
どんな環境でもへこたれずに自分の成長につなげようとすることを伝えたかったから(建設業界内定)
・「向上心がある」
志望職種に就いた場合、向上心が一番大切になると思ったので(医療業界内定)
真面目さをアピールしたい場合
・「コツコツと努力できること」
研究やアルバイトなどこれまでの具体的エピソードと併せて説明しやすかったから(食品業界内定)
・「真面目なところ」
しっかりとした人と思ってもらえると思ったから(ソフトウェア業界内定)
コミュニケーション力をアピールしたい場合
・「誰とでも仲良くなれるところ」
幅広い年齢の人と親しくなれる社交性を伝えたかった(建設業界内定)
・「笑顔」
人間関係を築いて仕事を円滑に進められることが伝わるから(通信業界内定)
・「聞き上手なこと」
サービス業界志望だったので、しっかりお客さまのお話を聞いて話ができることを強調したかったから(小売業界内定)
・「物おじしないところ」
人と接する際のハードルが低いことを言いたかった(通信業界内定)
継続力や忍耐力をアピールしたい場合
・「継続力があるところ」
どんな仕事でも続けていけるとアピールしたかったため(スーパーマーケット内定)
・「最後までやり通すところ」
一度やると決めたことは、最後までやり抜くことを大切にしているから(教育業界内定)
・「なにごとも簡単にあきらめないこと」
大学院の研究でうまくいかないことがあっても、熱心に取り組み続けて、学会発表できるところまで来たことを言いたかったから(電機業界内定)
・「粘り強さ」
教職課程を取るのは大変だったが、決してあきらめなかったことをアピールしたかったので(生命保険業界内定)
責任感をアピールしたい場合
・「責任感」
サークルで会計をやっていたから(陸運業界内定)
・「人をまとめる力があること」
アルバイト先でリーダーとしてチームをまとめて目標を達成するように努めていたので(不動産業界内定)
負けず嫌いであることをアピールしたい場合
学生時代に力を入れたエピソードとつなげることで説得力が出るから(介護・福祉業界内定)
計画性があることをアピールしたい場合
常に前もって取り組むことを心がけていることは、自分の成績と結び付けて効果的にアピールできると思ったので(インターネット業界内定)
【プロに聞く】企業が自分の長所を聞く意図は?長所はどうやって見つければいい?
続いて、企業が長所を聞く意図などについて“採用のプロ”、曽和利光さんに教えてもらいました。
自分の長所を聞くのは、「自社とフィットする要素」と「自己認知力」を知りたいから
-企業がESや面接で長所を尋ねる意図は何でしょうか?
そもそも、人間には普遍的な「長所」「短所」というものはなく、あるのはあくまでもその人の「特徴」です。どんな仕事をするのか、どんな場に置かれるのかで、その特徴が、長所になったり短所になったりするのです。例えば、「好奇心が旺盛」というポジティブな特徴(長所)は、裏返せば「飽き性」(短所)となり、「チャレンジ精神旺盛」(長所)=「無謀」(短所)と表裏一体になっています。
したがって、「あなたの長所は何ですか?」という質問は、「あなたの持っている特徴のうち、当社の仕事に役立つ、あるいは当社の文化にフィットする要素は何ですか?」と聞かれていると解釈できます。
また、長所を尋ねる質問には、その人の「自己認知」をチェックするという目的もあります。「自己認知」が高い人は、自分ができていることとできていないことがわかっているので成長できますが、自分ができていないのに「こんなにできている」と思っている人には、残念ながら成長は見込めません。加えて、世の中の評価に照らせば当たり前なことを、さもすごいことかのように“盛る”行為も、「当たり前水準」の低さを露呈することになるので要注意。企業が求める人物像に寄せようとして無理に誇張することは避けた方がいいでしょう。
長所なんてない…と自信がなくても大丈夫!自分の長所を見つけるコツ
-「自分には長所なんてない…」と思っている学生が長所を見つけるコツは?
前述の通り、人の特徴を表現する言葉は、必ずポジティブなものとネガティブなものが対になっています。そこで、どうしても長所が浮かばないという人は、自己評価の低い特徴、つまり短所をひっくり返して、ポジティブに言い換えてみましょう。
例えば、「飽き性で何をやっても長続きしない」という人は、裏返すと「知的好奇心が旺盛で、新しいものに飛びつくことができる」となり、「ドアノッカー(新しいドアを開ける役目の人)」として新規開拓に力を発揮するかもしれません。ただ、裏返してポジティブに言い換えるためには相応の国語力が必要なので、難しければ、身近な人に手伝ってもらうといいでしょう。
また、「自分のこういうところが好き」「こういうところが嫌い」といった自己の軸で判断すると、企業が求めている答えからはブレてしまう可能性もあるので、その点も要注意です。
企業の意図も踏まえて、「自分の長所」を考えてみよう
「自分の長所」についての質問は、企業に対して自分ならではの強みを伝えられる絶好の機会。なかなか自分の長所を見つけられないという人も、まずは自分の「特徴」をリストアップすることから始めて、それらをポジティブに言い換える作業を試してみては?家族や友人など身近な人の意見を求めるのも一案です。
【調査概要】
調査期間:2018年12月3日~12月5日
調査サンプル:大学1年生~大学院2年生、専門学校生、短大生の就職内定者500人
調査協力:株式会社クロスマーケティング
文/日笠由紀
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