これで、圧迫面接も怖くない。スグに役立つ面接の段階別セオリーと乗り越え方

面接で聞かれる3点セットに備えよう

就活の選考開始が解禁になると、いよいよ面接が始まります。面接は苦手という人や、初対面の人に何を話せばいいのか、何を聞かれるのか今からドキドキという人も、きっといるでしょう。

でも心配は無用です。今の時点で面接を何度も受けたことがある人は、ほとんどいません。みんな不慣れなのです。そして、実は面接をする側も、1次面接の段階では経験の浅い人の方が多い。特に大手企業や採用人数の多い会社ほど応募人数も多く、1次面接は人事担当者以外の中堅・若手社員が手分けして当たります。面接のプロではなく、ある意味、向こうも素人なのです。

当然、質問も人事が作る標準的な質問リストからピックアップして聞くケースが多くなります。それが面接の頻出3点セット。それは、①志望動機 ②学生時代に頑張ったこと ③自己PRの3つの質問です。
このうち、②の学生時代に頑張ったことと③の自己PRは、使い回しできるから、しっかり準備して原稿を作り、答える練習をしておきましょう。頭の中で言うだけでなく、声に出して言う練習をしておくといいですね。もちろん、変化球を投げてくる面接担当者もいます。
例えば、自己PRをしたあと、「具体的なエピソードを教えてください」と面接担当者から突っ込まれて答えに窮したら、大丈夫。次の企業の時までに準備して向かえばいいのです。企業の視点が加わり、面接を受けるたびに、前より受け答えが磨かれます
「5回面接を受けたら肩の力が抜けて、10回受けたら一人前になる」。そのくらいのつもりでいてください。10回受けたら、自己PRと学生時代に頑張ったことは散々聞かれているから相当、良くなっています。そこは安心して大丈夫です。

1次面接対策はダメダメな合コンを乗り切る方法と一緒です

1次面接で非常に多いのが、話がつながらないパターンです。面接担当者も、手持ちの質問リストを5~10ぐらいは用意して、どうつなげようかと考えていますが、お互いが不慣れな面接ですから、その都度、質問と答えの一往復で終わり、質問がなくなると沈黙になってしまうなんてことも少なくありません。

これでは、ダメな合コンと一緒です。合コンしたことがない人も、想像してください。終わったら、話すことがなくて、成果ナシと下を向くことになる。盛り上がらない合コンのときに、こちらが一方的に質問するだけでなく、「○○さんはどうなんですか?」と聞き返してくれたら相当楽になりますよね。同様に、質問と答えがブツ切れになってしまうのを乗り越える方法は、自分が答えたあとに、バリエーションをつけながら質問を返すことです。「私は~と思っていますが、御社ではこういうタイプはどうですか?」など、プラスαのひと言で自分の発言を確認するだけでなく、もっと御社のことを知りたいという気持ちを示すんです。そうすれば、会話になって相手も話題や質問を広げることができます。

「~と思ったのですが、外れていますかね?」とフランクに聞いていい会社(相手)もあれば、「御社の実像とずれていますでしょうか?」と改まった聞き方の方がいい会社もあります。そこはきちんと社風に合わせて、聞き返す語調もバリエーションをつけていってください。言葉に詰まったときや苦しい質問を受けたときは、ぜひやってみて。そういう意味でも10回ぐらい受けることに意味はあります。

応募動機にも答えるためのセオリーがあります

圧迫その2 fotolia_1157507381次面接は場慣れのためにたくさん受けてよいのですが、頻出質問のトップである「志望動機」は、使い回しができないので、これをどうするかが問題です。
この作り方を紹介します。
まず、①事業内容を調べてください。だいたいわかっているだけで十分です。ちょっとわかっているなと感じさせるポイントとして、②業界内の順位を調べて、③ライバル企業まで調べていく。この3点セットをやれば、1次面接は失敗しないでしょう。「なぜうちを受けたの?」と聞かれたときに、3点セットの中で答えるという癖をつけるだけで十分です。

逆に言うと、1次面接であってもこの3つだけは頭に入れて行った方がいい。
考えてみてください。人の家に招待されて、持っていったお土産が相手の好物ではなかったとしても、怒る人はいません。「ああ、知らなかったのね」で済みます。でも、手ぶら=なんの準備もせずに行くのは失礼。企業も大切な時間と人を投じて面接の機会を設けているのですから、下調べはして行きましょう。
企業理念に合っているか、入社してどんな仕事をしていくつもりなのかなどを判断するのは、1次面接ではなくもう少し上のステップ。2次面接対策では、志望動機の準備も違ってきます。

2次面接対策で多いのが、「あぁ勘違い」。防ぐためには思考のクセをつけよう

学生の皆さんに多いのが、企業理念や採用メッセージの一番きれいなところに目をつけて、志望動機として語ることです。例えば、「社会に果たす役割の大きさに~」とか「人の未来を切り開いていくパートナーとして~」とか、実にそういう人が多いのです。
しかし、それでは2次面接以降は通用しません。あるいは2次面接を通ったとしても、役員クラスが登場する面接の段階で落ちてしまいます。

理由は2つあります。1つはみんなが同じことを言うから、先方は聞き飽きている。もう1つは、企業はNPO(特定非営利活動)法人ではないということです。きれいごとだけを言っていると、「それをしたいなら、ボランティアに行った方が」と思われてしまいます。
採用メッセージに高邁(こうまい)な精神が説かれていたとしても、企業のベースはあくまでも営利団体です。どんな事業でどうやって収益を上げているのかを理解し、自分だったらどうするか、どういうもうけ方ができるかを考えられる人が欲しいのです。それを伝えてこそ響く。ですから、2次以降の面接対策で絶対に必要なのは、その企業のもうけの源泉は何かを考える癖をつけておくこと。ここが一番大切なポイントです。

圧迫面接や厳しい質問にも、乗り越え方があります

面接も回を重ねると、突っ込んだ質問をされたり、圧迫を感じる面接になったりすることもあります。
圧迫面接を乗り越えられる人には、2つのタイプしかありません。1つはストレス耐性が強い人。もう1つは論理的で頭の回転がいい、何に対しても言い返せる人。ああ言えばこう言うで、ある意味詐欺師の才能がある人です。言葉は悪いですが、ホメてますからね(笑)。で、企業によっては、とにかく押しの強い人、ハートが強い人が欲しいからと、意図的に圧迫面接をする企業もあります。何を言っても否定から入る、揚げ足を取るような圧迫面接なら、撃沈しても落ち込むことはありません。むしろ、就職前に自分に合わない企業が判明してよかったと思えばいいのです。(面白いのは、撃沈したと思った圧迫面接でも、受かることもあるのです。だから就活って、面白いんです、ホントに。)

難しいのは、単なる面接なのに圧迫系に感じてしまう場合です。自分の発言やエントリーシートに書いてあることを、否定されたり、疑問視されたり、自分に不利な方向に話が行ってしまうときなど、押さえつけられたように感じるでしょう。
そんなときは、どうしたらいいかというと、細かく聞くことです。
例えば「自分は大雑把なところもあって」と言ったら、「雑ではうちの仕事はやっていけない」と言われたりしたとき。よくやってしまうのは、「いや、いざとなれば細かく見ることもできます」と言ってしまう。前の発言と矛盾し、行き当たりばったりで答えているように映ります。「細かさが必要なのは、どんな場面ですか」「そういう機会は多いのですか?」など、具体的に聞き返していってください。これも前回学んだ「聞き返しの術」の応用です。
「営業系の仕事だから、半期に一度お金を締めるときに間違いがあったら困るんだよ」という話などが面接官から引き出せれば、「僕もそういうときになったら、頑張れるように努力します」と、話を畳むことができる。収まりどころがあるのです。
自分の考え方や生き方に否定的なことを言われたら、どういう場合なのか、状況や頻度を聞いてみる。質問に即答するのではなく、もっとよく知りたいから聞かせてくださいという姿勢で尋ねれば、ときほぐす糸口が見つかります。

突っ込まれ方をシミュレーションするだけで圧迫に強くなれる

圧迫系対策には、ロールプレイングをしてみるのもオススメです。面接を想定しなくても、例えば、彼女の親に初めて会うシチュエーションを想定してみましょう。「うちの娘のどこがよかったの」と言われて答えたら、相手の母親に「うちの子はそんな子じゃないけど」と言われたとします。どうしますか?「実はどんなタイプなんですか」「そういうことってよくありますか」など聞くことで、距離感が縮まったりします。

ゼミの発表やバイト先など、いろいろなシチュエーションで、目上の人とのやりとりをシミュレーションしてみてもいいでしょう。相手のことを尊重しながら質問し、では自分はどうできるかを言葉にして、距離を縮め、落としどころをつかむ練習は、面接に備えることになるだけでなく、人生にも役に立つはずです。

海老原嗣生(えびはら・つぐお)●1964年生まれ 上智大学経済学部卒業後、リコーを経てリクルートエージェントにて新規事業企画や人事制度設計などに携わる。リクルートワークス研究所「Works」編集長などを歴任。現在はリクルートエージェントのフェローとして活躍。主な著書に『雇用の常識「本当に見えるウソ」』『学歴の耐えられない軽さ』『課長になったらクビにならない 日本型雇用におけるキャリア成功の秘訣』『「若者はかわいそう」論のウソ』『就職、絶望期』『日本人はどのように仕事をしてきたか』『就職に強い大学・学部』など。

INFORMATION

最新刊は『クランボルツに学ぶ夢のあきらめ方』(星海社新書・4/21発行)。5月には『経済ってこうなってるんだ教室』(飯田泰之氏との共著・プレジデント社)刊行予定。
『クランボルツに学ぶ夢のあきらめ方』『経済ってこうなってるんだ教室』

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