大学に入学してから読んだ本で就活に役立ったものはありますか?
2016年3月に4年制大学・大学院を卒業した新社会人370人に、大学に入学してから読んだ本で就活に役立ったものがあるかどうかを尋ねたところ、「ある」が7.6%、「就活に役立ったものはない」が92.4%と、本を就活に役立てた学生が非常に少ないことがわかった。
●『やりたい仕事がある!―好きな仕事・向いている仕事768職』(池上彰編・著)。この本の中から、興味深い職業を見つけるたびに、自分が将来その仕事をしている姿を想像して、自分の『軸』を見つけた。(21世紀アジア学部卒)
●『伝え方が9割』(佐々木圭一著)。もとはゼミでプレゼンテーションする際の参考に読んだ。読み書き、会話のどちらにも応用がきく内容が詰まっている。「伝え方」を意識するようになってから、最終面接までの通過率は高くなっていた。(経営学部卒)
●『私が官僚1年目で知っておきたかったこと』(久保田崇著)。会社に入って、もしくは入る前にどのような心配りや準備が必要なのかがよくわかって、就活でも応用できました。(大学院人間科学研究科卒)
●『カッコウの卵は誰のもの』(東野圭吾著)。持って生まれた才能は、時に本人を苦しめるが、それと向き合えた時に、自分自身とは何かクリアにできた。そのプロセスが自己分析になった。(商学部卒)
●『戦略プロフェッショナル―シェア逆転の企業変革ドラマ』(三枝匠著)。会社の経営側の視点を知ることで、そこで求められるためには、どうあるべきかを考える上で参考になった。(法学部卒)
●『絶対内定シリーズ』(杉村太郎著)。自己分析に役立ちました。(大学院総合化学院卒)
●『何者』(朝井リョウ著)。就活が進むにつれて友達との気持ちのすれ違いが生じることなど、就活の生々しい現実を知ることができた。(法文学部卒)
●『医薬品メーカー 勝ち残りの競争戦略』(伊藤邦雄著)。業界研究に役立ちました。(大学院卒)
●『考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則』(バーバラ・ミント著)。相手に伝わりやすい文章を書くためのノウハウと、考えを論理的に整理するためのノウハウが書いてあり、エントリーシートや面接の内容をまとめる際に生かすことができた。(法文学部卒)
●『影響力の武器』(ロバート・B・チャルディーニ著、 社会行動研究会訳)。人に良い印象を与える方法や、論理的な思考パターンを学べた。(心理・臨床心理卒)
●『就活のバカヤロー~企業・大学・学生が演じる茶番劇~』(大沢仁・石渡 嶺司著)就活の雰囲気をつかむことができました。(理工学部卒)
●『くまモンの秘密 地方公務員集団が起こしたサプライズ』(熊本県庁チームくまモン著)。初めてでノウハウのない仕事にも果敢に立ち向かう姿勢を、就活の間も見習おうと頑張った。(経済学部卒)
大学生活の間に読んだ本を就活に生かせた人がこんなに少ないなんてちょっとビックリ。だけど、その少数派の新社会人の先輩たちが「役立った本」に寄せる言葉は、上の「リアルボイス編」で紹介した以外のものも、とてもアツい言葉ばかり。特段「就活に役立てよう」と思って読まなくてもいいから、いろいろな本を読みながら、何かしらそこから学んだり気づいたりできるといいね。
文/日笠由紀 イラスト/中根ゆたか