【グループワークが苦手な人へ】人事が見ているポイントと乗り切り方を解説

インターンシップ等のキャリア形成支援プログラムや就活本番の選考で実施される、グループワーク。「初対面の人たちと話し合うのは不安」「人事担当者はどんな点を評価しているの?」と思う人も多いのでは?就活をした先輩たちに聞いたグループワークが苦手な理由を基に、学生向けに就活支援をしている廣瀬泰幸さんに乗り切り方を聞きました。

グループワークとは

選考に臨むほかの学生とグループになって、与えられたテーマについて議論したり、成果物を作って発表したりする選考形式のことをグループワークと呼びます。「グルディス」「GD」と略されるグループディスカッションも同様に集団選考の一つです。

グループワークとグループディスカッションの違いは明確に定義されておらず、議論をメインにしたものを「グループワーク」と呼んだり、ワークを含む内容でも「グループディスカッション」としていたりする企業もあります。
※この記事では、「グループディスカッション」も「グループワーク」の一つとして解説していきます。

グループワークに苦手意識がある就活生は66.7%

では、どれくらいの就活生がグループワークに苦手意識を感じているのでしょうか。就活を経験した学生300人を対象に、アンケートを実施しました。

苦手な理由の多くは「人見知りだから」「評価基準がわからないから」

■「グループワーク」による選考に苦手意識はありますか?(n=300、単一回答)

グループワークにおける苦手意識有無回答パイチャート

アンケートの結果、回答者のうち66.7%がグループワークによる選考に「苦手意識がある」と感じていることがわかりました。また、「苦手意識がある」と感じる理由を具体的に聞いたところ、以下のような声がありました。

・自分の意見を話すことが得意ではないから(大学生)

・ほかの人の意見に左右されてしまうから(大学生)

・企業の評価基準がわからないから(大学生)

・自分の意見だけでなく、他方の意見も考えながら事を進めていかなければならないから(専門学校生)

・オンラインの場合、タイムラグで発言がかぶってしまったときや、自分の発言に反応が見られないときに焦りを感じるから(大学生)

一方で「特に苦手意識は感じない」と回答した人の理由を見ていくと、「普段の学生生活でもグループワークやディスカッションに多く参加しているから」「人とコミュニケーションを取ることが好きだから」といった声が。

選考までに複数の人との議論や協働の経験のあるなしで、グループワークに対する苦手意識に違いが出るようです。

グループワークで人事は何を評価している?

そもそも企業がグループワークを選考で実施するのはなぜでしょう?また、「苦手意識がある」と回答した人の理由にもあったように、人事担当者が評価を行うのはどんな点なのでしょうか。数多くの企業の採用・人材育成を経験し、現在では就活生向けの支援を手がける、廣瀬泰幸さんに聞きました。

プロフィール オールウェイズ代表取締役・廣瀬泰幸さんプロフィール写真オールウェイズ代表取締役・廣瀬泰幸(ひろせ・やすゆき)
慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、株式会社リクルートに入社。大企業からベンチャー企業まで1000社を超える企業の採用と人材育成を支援。その後、一部上場企業(旧区分)の人事部採用責任者を経て独立し、2010年のオールウェイズ設立以降、1000名を超える学生に就活コーチングを行っている。著書に『新卒採用基準』(東洋経済新報社)がある。

企業がグループワークを行うのはなぜ?

 廣瀬さん 企業が選考でグループワークを実施する目的は2つあります。

1つ目が、“思考力”を見ること。仕事をしていく上では、何が問題なのか課題を見つけて、主体的に解決する力が求められます。与えられたテーマに対して、学生がどんなふうに思考を巡らすのかを見ています。

そして2つ目が “対人力”。企業によって求める能力に程度の差はありますが、選考では「この学生がうちに入社して仕事をする能力があるか」を見ています。仕事をする能力で重要になってくるのが、ほかのメンバーを巻き込んでチームで協力して課題を解決すること。グループワークでは、複数の人と意見を出し合う場で、どのような役割を発揮するかを見ることができます。

また、企業で仕事をする上では会議をする場面が多々あります。グループワークに参加しているときの振る舞いから、人事担当者はその学生が入社してどんなふうに会議に臨むのか、経験的にわかるということもあるのでしょう。

人事担当者は具体的にどんな点を見ている?

 廣瀬さん 最後に意見を発表する役や書記、タイムキーパーが有利というより、 “思考力”と“対人力”を発揮できているかを評価する人事担当者の方が多いと思います。具体的には、以下のような役割を果たせると、グループワークの中でそれぞれの力を発揮できていると言えるでしょう。

“思考力”を発揮する役割

・「何を話し合わないといけないのか」課題や問いを立ててメンバーに問いかける

・グループで共有した課題や問いに対して、自分の意見を出す

・メンバーの答えを整理したり発展させたりしながら、まとめていく

“対人力”を発揮する役割

・話し合いの進行全体をマネジメントする

・「〇〇さんはどう思うの?」と、ほかのメンバーの意見を引き出す

・話し合いの経緯を書き留めたり、それを踏まえて結論をまとめたりする

あらかじめ自分がどの役割が得意か不得意かを把握して、グループワークでは、できれば得意な役割を担うようにしましょう。

何よりグループワークに参加する上で大切なのは、参加する意識を持つこと。そのように意識できると、話し合いの進行状況に応じてどんな役割が求められているかも考えることができるようになるでしょう。

グループワークに参加する就活生たち

グループワークが苦手な人の乗り切り方

自分が受ける選考にグループワークがあった場合、どのように乗り切ったらいいのでしょうか?廣瀬さんに、アンケートでも回答が多かった苦手な理由ごとにグループワークの乗り切り方をうかがいました。

理由1:自分の考えや意見をうまく言えない…

廣瀬さん グループワークが苦手という人の中には「正しいことを言わないと」という思い込みがある人も。けれど正解を出すよりも重要なのは、さまざまな意見を出し合って、話し合いの中で何が正しいかをみんなで考えていくことです。そのため、何が正しいかは常々変化していきます。自分の意見を言うだけの場ではないのです。

うまく自分の意見を言おうとしてプレッシャーを感じるのであれば、メンバーの意見に対して「今のってこういうこと?」などと質問してみましょう。ほかのメンバーの意見に対して発言や表情で反応を示すことも、一つの議論への参加の形です

まずは議論に参加する“勇気”が大切です。よく発言している人の意見を聞いていると、あまり深く考えないで話しているケースもありますから(笑)。

理由2:ほかのメンバーの議論についていけない…

廣瀬さん 話についていけない人は、「自分が至らないせいだ」と思い込みがちですが、グループワークでは“対人力”も見られています。人事担当者は「議論についていけない」その人自身のことよりも、「話についていけないメンバーがいるまま議論が進行されている」グループ全体に問題があると考える場合があります。

話についていけなければ、「今、あなたが言ったことを確認したいんだけど…」と切り出して確認してみましょう。そうすることでほかのメンバーも、案外「確認してくれて良かった」と感謝したりするものです。

また、ほかのメンバーの言ったことをメモするようにすると、議論が整理されて思考を巡らせることができるようになります。

理由3:人見知りだから、初対面の人と話し合うなんて無理…

廣瀬さん 人見知りというのは、初対面の人の前だと緊張してうまく話せないということであって、テーマや課題について思考を巡らせることまでが苦手というわけではないはず。「人見知りだからグループワークなんて無理だ」とそこであきらめず、ほかの人が発言したことに反応したり、確認したりしてみましょう

可能であれば、グループワークが始まるまでに同じグループの人に話しかけてアイスブレイク的なコミュニケーションを取ってみましょう。事前にどんなタイプの人がグループにいるかを知ることができます。

また、議論を乱す人や自分が苦手なタイプの人がいるという前提でグループワークに臨むと、グループワークが実際に始まっても動揺しないでいられるのではないでしょうか。

それでもまだ、苦手意識が払拭(ふっしょく)できない…!

廣瀬さん 苦手意識を克服しようと思うと大変なので、低めの目標を具体的に設定してみましょう。

例えば、いきなり意見を言うのが難しければ、「最低3回は質問をする」と決めて、まずはそれを達成する。それから「今度は最低5回発言してみよう」などと、徐々に目標を高くしていけばいいのです。

グループワークは中心になって意見を言う人だけが評価されるわけじゃない!

廣瀬さん グループワークは、グループで行うことに意味があります。なぜなら、仕事というものは、1人ではできないことを協力しながら進めるものだからです。

だからこそ、1人が突出していたり、2~3人だけで進めたりすると、一見、グループワークが成功したように見えても、ふたを開けてみると評価が低いということがあり得るわけです。1人で長々と演説する人や、自分の意見に固執して柔軟性のない人、無関係なことを言い出す人も、どんなに発言数が多くても逆効果になってしまいます。

苦手意識がある人は、「自分の能力を示す」ではなく、「チームの中でいかに価値を発揮するか」に意識を切り替えてみるといいかもしれません。

廣瀬さんインタビュー写真


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【調査概要】
調査期間: 2022年9月13日~9月16日
調査サンプル:2023年3月に卒業予定の大学生、大学院生、短大生、専門学校生300人
調査協力:株式会社クロス・マーケティング

取材・文/日笠由紀
撮影/鈴木慶子

記事作成日:2023年2月3日 記事更新日:2024年2月1日

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