広告編

インターネット広告が好調。広告以外の分野でも企業を支援する取り組みが活発化している

大手の総合広告会社としては、電通、博報堂DYホールディングス、アサツー ディ・ケイがよく知られた存在。また、サイバーエージェント(インターネット広告)など特定分野に注力する専門広告会社や、ジェイアール東日本企画(東日本旅客鉄道)やデルフィス(トヨタ自動車)のように親会社の広告を中心に扱うハウス・エージェンシーなど、多彩なプレイヤーが存在する。

 

電通が公表している「2013年(平成25年)日本の広告費」によると、国内における13年の総広告費は5兆9762億円。07年(7兆191億円)をピークに市場は縮小していたが、東日本大震災による落ち込みからの反動で、12年の総広告費は対前年比3.2パーセント増と5年ぶりにプラスに転じた。さらに13年は、持続的な景気回復への期待と、消費増税前の駆け込み需要が広告出稿を後押しし、対前年比1.4パーセント増と2年連続の成長を遂げている。特に好調なのがインターネット広告。13年のインターネット広告費は9381億円で、対前年比で8.1パーセント伸びた。06年(4826億円)に比べると、市場規模は2倍近くにふくれあがっている。とりわけ、「運用型広告」(クリック数などの成果を見て広告の修正を行えるなど、機動的な運用ができるネット広告のこと。ユーザーの検索結果に応じて表示する広告を変える「検索連動型広告」などがある)の伸びが目立つ。
一方、いわゆる「4マス媒体」の中では、テレビ広告だけが対前年比0.9パーセント増(1兆7913億円)と健闘。しかしそれ以外は、新聞が1.2パーセント減(6170億円)、雑誌が2.0パーセント減(2499億円)、ラジオが0.2パーセント減(1243億円)と軒並み減少している。こうした「インターネット広告が好調、4マス媒体の広告は低迷」という傾向は、世界的に見ても同様。英国情報通信庁の“International Communications Market Report 2013”によると、08年から12年にかけて、世界のインターネット広告費は年平均14.8パーセント増えた。これに対し、ラジオ広告は年平均0.9パーセント、新聞広告は年平均5.7パーセント減少。テレビ広告も、年平均2.4パーセントの微増にとどまっている。

 

広告会社にとって最大の収益源は、テレビ・新聞などのメディアから広告枠を仕入れ、企業などに販売する際の手数料である。しかし、マス媒体での広告出稿が頭打ちになっているため、広告各社はビジネスモデルを修正中。インターネット広告に力を入れているのも、その一つだ。また、ビジネス全般の「支援」「創造」「開発」を手がける試みも活発化する傾向。例えば、電通は子会社「電通コンサルティング」を設立し、顧客企業の戦略立案、新規事業の開発、新販売モデルの構築などを幅広く手助けしている。このように、広告など従来の守備範囲だけでなく、事業戦略・新規事業立案・顧客開拓といった分野に進出する動きには注目が必要だ。

 

海外進出も大きな課題だ。世界進出する国内企業が増え、海外プロモーションへのニーズが増加。しかし、日本の広告会社は国内市場に特化してきたため、世界市場での存在感は大きくない。国内最大級企業の電通でさえ、世界トップのWPPグループ(イギリス)に比べると、売上総利益(売上高から売上原価を差し引いたもの。粗利のこと)は4分の1程度だ。そこで各社は、海外広告会社の買収や提携、現地子会社の設立によってグローバルネットワークを強化している。電通は13年に、世界第8位の広告会社であるイージスグループを約4090億円で買収。14年に入ってからも、中国、ドイツ、ブラジル、カザフスタン、インド、南アフリカ、スペインの企業を買収した。博報堂も、香港のマーケティング会社の買収、シンガポールのマーケティング会社との業務提携などを進めている(下記ニュース記事参照)。グローバル化の進展に伴い、今後もこうした取り組みは続いていくだろう。

 

広告会社が手がける新規事業に注目しよう

社内ベンチャー制度を活用しサイトを開設
博報堂が社内ベンチャー制度を生かし、「誰もが気になる話題」を独自調査して作るニュースサイト『しらべぇ』を創刊。同社では、事業計画の立案を手助けする「ガイド」を用意し、新規事業の実現を後押ししている。
地方自治体向け健康増進プログラムの開発
電通が、地方自治体向けの健康増進支援サービスを開始。スマートフォンアプリを通じて市民の健康データを集め、個別にアドバイスを行う仕組み。地方自治体は医療費の抑制を目指しており、導入への期待が高まっている。
ベンチャー企業への支援金を募る仕組みを構築
サイバーエージェントは、ベンチャー企業が不特定多数から支援金を募る(=クラウドファンディング)サービス「Makuake」を開始。商品・サービスのプロモーションについても、サイバーエージェントが支援するという。

※「広告枠を仕入れて企業に売る」というビジネスモデルからの脱却を目指し、各社は新規事業の育成に積極的だ。

このニュースだけは要チェック <海外進出の取り組みから目が離せない>

・博報堂DYホールディングスが、北米や欧州での企業買収を目的とした社内カンパニー「kyu」を開設。同時に、米企業「SYパートナーズ」と「レッド・ピーク・グループ」の買収を発表した。海外企業の買収により、グローバル化への対応と、商品企画から流通までの幅広い顧客支援を実現する体制作りを目指している。(2014年5月9日)

 

・電通が、母親の意見などを集めて企業マーケティングに役立てるチーム「ママラボ」を、中国で開設。中国でビジネスを行う日本企業・外資系企業、現地企業を対象に、それぞれのニーズに合わせた商品・ブランド開発、レポートや書籍の発行、広告やキャンペーンの提案などを行う予定。(2014年6月27日)

この業界とも深いつながりが <化粧品、食品業界との取引額は大きい>

食品
食品業界の広告費は、マスメディア広告費の約1割を占める

化粧品・トイレタリー
化粧品・トイレタリー業界も、総広告費の約1割に当たる広告費を支出

テレビ
テレビCM枠の販売手数料、制作料は総合広告会社にとって最大の収益源

 

この業界の指南役

日本総合研究所 マネージャー 田中靖記氏

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大阪市立大学大学院文学研究科地理学専修修了。専門は、新規事業、マーケティング、海外市場進出戦略策定。鉄道・住宅・エネルギーなど、社会インフラ関連業界を担当。環インド洋諸国におけるコンサルティング・調査案件を中心に手がける。

 

取材・文/白谷輝英 イラスト/坂谷はるか

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