携帯電話メーカー編

オンリーワン商品で海外進出を図るケースが増加。「ウェアラブルデバイス」にも注目を

リサーチ・コンサルティング企業のMM総研によれば、2014年4~9月における携帯電話端末の国内総出荷数は、前年同期比4.1パーセント減の1578万台。上期の出荷台数としては、2000年度の調査開始以来、過去最低となる数字だった。ここ数年、従来型の携帯電話からスマートフォンへの乗り換えが進んでいたが、この動きが一段落したことで出荷台数が低迷。また、国内の携帯電話契約数(14年9月末時点で1億4293万件)はすでに全人口(約1億2700万人)を超えており、今後、購入者が大きく伸びることは期待しづらいだろう。なお、14年度上期におけるメーカー別国内出荷台数シェアは、アップルが38.1パーセントでトップ。スマートフォンに限れば、アップルの国内シェアは57.2パーセントと過半数を超えている。これに対し、国内メーカーは大きく水をあけられている状況だ。

 

一方グローバルに見れば、携帯電話市場は拡大傾向である。アメリカの市場調査会社であるIDCによると、13年における世界の携帯電話出荷台数は前年比4.8パーセント増の18億2180万台。とりわけ、スマートフォンは対前年比38.4パーセント増と飛躍的に伸び、初めて10億台を超えた。ただし、アメリカの市場調査会社であるIDCによれば、13年における携帯電話の世界市場はサムスン(韓国)、ノキア(フィンランド)、アップル(アメリカ)、LG(韓国)、ファーウェイ(中国)といった海外メーカーによって占められている。シャープ、京セラ、富士通、ソニーモバイルコミュニケーションズといった国内系メーカーは、内外で苦境に陥っている状況だ。

 

アップルやサムスンに比べ、日本メーカーの売り上げは小さい。コスト競争力や開発力の面で劣勢に立たされているため、海外メーカーと真正面から戦うのは不利だ。そこで、ニッチ(すき間)市場で勝負しようとする企業が増えている。例えば、高齢者向けの携帯電話づくりに実績のある富士通は、13年から『らくらくスマートフォン』を海外展開。音声の聞き取りやすさ、タッチパネルなのにボタンを押した感触があるなど、高齢者にとってうれしい機能を取り入れて人気を呼んだ。また、京セラは耐水性や耐衝撃性に優れたスマートフォン『トルク』を武器に、15年に世界進出すると発表。建築現場やアウトドアなど過酷な環境での利用に適していることを打ち出し、シェア拡大を目指している。このように、「オンリーワン」の端末で世界市場での存在感を高めようとする試みは、今後も活発に進められるだろう。

 

また、「ウェアラブルデバイス」(キーワード参照)にも注目したい。Googleは、14年4月にめがね型の端末『Google Glass』を一般販売。日常生活のための視界を確保しながら、ディスプレーにさまざまな情報を表示できる未来型端末として話題を集めた。また、アップルは15年に腕時計型の端末『Apple Watch』を発売する見込み。こちらは、iPhoneと連動して電話やメールの着信を伝えたり、内蔵センサーで運動量や心拍数を測定したりできる。こうした機種には小型化・省電力化が不可欠で、この種の技術を得意とする日本メーカーにとってはチャンスといえるだろう。

 

成長を続ける新興国市場を中心に、低価格端末へのニーズも高まっている。例えば中国では、中国メーカーの「シャオミ(Xiaomi)」が安価な製品を投入し、シェアを拡大中だ。日本メーカーの中にも、機能を思い切って絞り込み、価格を抑えた製品作りに取り組むところが現れるかもしれない。

 

携帯電話メーカー志望者が知っておきたいキーワード

ウェアラブルデバイス
wearable device=身につけられる端末のこと。めがね型の『Google Glass』、腕時計型の『Apple Watch』などが代表格。それぞれスマートグラス、スマートウォッチなどと呼ばれることもある。身につけて使うため、発熱を抑える、入力方法を使いやすくする、電源が長持ちするようにするなどの工夫が必要。
音声入力
キーボードやタッチパネルなどではなく、人の声によって機器を操作すること。ウェアラブルデバイスでは、従来のパソコンや携帯電話、スマートフォンと違って手を使った入力が行いづらいため、音声入力の精度を高めることに注目が集まっている。
IoT
アイオーティーと読む。Internet of Thingsの略。「モノのインターネット」と訳されることもある。コンピュータや携帯電話などはもちろん、テレビ、オーディオ機器、生活家電、自動車などを相互に接続し、遠くから状態を監視したり、操作したりする技術のこと。IoTの取り組みが進めば、携帯電話を使って家電などを操作するケースが増えそうだ。

このニュースだけは要チェック <「格安スマホサービス」への端末提供に注目>

・大手携帯キャリアから通信回線を借り、格安で携帯電話サービスを提供する「MVNO(Mobile Virtual Network Operator)」事業者であるイオンリテール向けに、富士通がスマートフォンを提供すると発表。これをきっかけに、大手キャリア以外向けの端末を開発する動きが活発化する可能性がある。(2014年11月27日)

 

・パナソニック傘下のパナソニック システムネットワークスが、携帯電話基地局事業をノキア傘下の企業に譲渡して撤退。ここ数年、いくつかの国内携帯電話メーカーが携帯電話、スマートフォンの生産から撤退を発表してきたが、関連機器事業でも統合や撤退が進んでいる。(2014年7月31日)

この業界とも深いつながりが <家電業界と協力する機会が増えそう>

デジタル家電
スマートフォンを使って家電を操作・状況確認する取り組みが普及しつつある

電子部品
部品の高性能化は、小型で省電力な携帯端末を生み出すためには欠かせない

パソコンメーカー
スマートフォンの大画面化が進み、ノートパソコンとの境界線は曖昧に

 

この業界の指南役

日本総合研究所 主任研究員 吉田賢哉氏

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東京工業大学大学院社会理工学研究科修士課程修了。専門は、新規事業戦略やマーケティング戦略、企業のビジョンづくり・組織戦略など。製造・情報通信分野などの業界動向調査や商品需要予測も手がける。

 

取材・文/白谷輝英 イラスト/坂谷はるか

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