トイレタリー編

高齢者向け商品など新市場開拓の取り組みと、海外でのシェア拡大が経営のカギを握る

トイレタリーとは、身だしなみなどのために使う日用品などを指す言葉。石けん、シャンプー、洗剤、おむつ・生理用品、歯磨き粉などの商品が該当する。主要な国内メーカーとしては、花王、ユニ・チャーム、ライオンなどが挙げられる。一方、グローバル市場では、プロクター・アンド・ギャンブル (P&G)、ユニリーバといった外資系メーカーが大きな存在感を発揮している。

 

トイレタリー用品は日常生活に欠かせないものであるため、景気変動があっても使用量が極端に落ち込むことはない。それゆえ、比較的安定した業界であると言える。日本石鹸洗剤工業会によると、2014年における石けん・シャンプー・洗濯用洗剤などを含む「洗浄剤等」の消費税を含んだ年間販売金額は8300億円。13年(8068億円)に比べると2.9パーセント増だった。これは、消費税が5パーセントから8パーセントに増税された分にほぼ匹敵しており、この業界の安定性を示している。また、04年(7133億円)に比べると、市場は16パーセント以上伸びている。一方、14年の販売量は228.7万トンで、04年(206.9万トン)に比べて10.5パーセント増。つまり、この10年で商品の単価は上昇傾向だと言える。

 

商品単価が上がっているのは、各社が品質を高めただけでなく、プラスアルファの機能を追加する努力を重ねてきたからだ。例えば石けんやボディソープでは、単に体の汚れを落とすだけでなく、肌の潤いを保つなどスキンケアを意識した商品が登場。シャンプーやリンスでも、より頭皮に優しいヘアケアを意識した商品が増えている。また柔軟剤では、衣類の肌触りの向上だけではなく、心地良い香り付けを意識した商品が好調。このように、「優れた基本機能+高付加価値」を実現しようとする取り組みは、今後も続けられるだろう。

 

現在のトイレタリー市場は順調。しかし、長期的に見れば人口減少が進み、既存市場は縮小に転じると見込まれている。そこで、各社にとっては新市場の開拓が重要だ。

 

国内市場では、高齢者をターゲットとした商品の拡大が期待されている。中でも各社が注目しているのが「高齢者向けオムツ」だ。オムツを丸ごと交換せず、内側のパッドを交換することで少量の尿漏れに対応する工夫をしたり、おむつを着けていることがわかりにくいように形状を工夫したりといった取り組みが重ねられている。また、尿漏れに伴う臭いや、加齢臭などを気にするシニア世代が多いことから、シニア向け消臭剤や、消臭・防臭効果のある石鹸や洗剤などの需要も増えそうだ。

 

海外市場、特に成長著しいアジアマーケットの取り込みにも注目が集まっている。例えば、花王や大王製紙は中国での紙おむつ生産をスタート。中国では、高品質な日本メーカー製紙おむつの人気が高く、現地生産を加速することでニーズに応えようとしている。また、ライオンは東南アジアで、歯磨き粉や歯ブラシの販売に積極的。同社は、14年時点で20パーセント程度の海外売上比率を、17年には27パーセントに高めることを目標に掲げている。P&Gやユニリーバなどの外資系企業からシェアを奪うためには、高品質という日本企業の強みを生かしながら、いかに現地の事情に合わせた事業展開ができるかが鍵を握りそうだ。

 

<トイレタリー業界で成長している新分野・新商品とは?>

大人用紙おむつ
高齢化を受け、ニーズが急拡大中。介護現場で使いやすい製品や、日常生活におけるちょっとした尿漏れに対応する商品が、続々と開発されている。
香り付き柔軟剤
洗濯物を柔らかく仕上げるだけでなく、香り成分を含んだ柔軟剤が人気に。服を着ている際に、心地良い香りが持続する。
防カビ剤
従来は「住居からカビを除去する」という商品が主だったが、「カビの発生を防ぐ」という発想へと転換したことで新たなニーズの創造に成功。
消臭剤
トイレや靴箱などの消臭を目的とした設置型に加え、衣服などに使えるスプレー型が登場したことで市場が拡大。除菌などの機能を加えた商品も登場し、さらに売れ行きを伸ばしている。

このニュースだけは要チェック <海外での取り組み強化はますます活発に>

・花王が、中国・上海で化学工場を竣工。シャンプーや洗剤の原料である「界面活性剤」をはじめ、自動車・電子材料・精密機械などで使われる化学製品を生産する。拡大が見込まれる中国市場で、現地のニーズに合った商品を開発・製造しようとする姿勢が見られる。(2015年5月7日)

 

・ライオンが、他社と合弁で設立していた台湾の法人から、販売・マーケティング部門を分離し、ライオンが100パーセント出資で新たに設立する法人に譲渡すると発表。ライオンの主導によった営業力の強化や、意思決定の迅速化を狙ったものと考えられる。(2015年3月24日)

この業界とも深いつながりが <食品・飲料を手がける企業も多い>

ドラッグストア
主力商品の重要な販路。ドラッグストアからの値引き要求は激しくなる傾向に

食品
大手トイレタリー企業の中には、機能性食品・飲料を手がけるところもある

化粧品
化粧品メーカーがトイレタリー商品を強化するなど、競合が激しくなっている

 

この業界の指南役

日本総合研究所 主任研究員 吉田賢哉氏

yoshida_sama

東京工業大学大学院社会理工学研究科修士課程修了。専門は、新規事業戦略やマーケティング戦略、企業のビジョンづくり・組織戦略など。製造・情報通信分野などの業界動向調査や商品需要予測も手がける。

 

取材・文/白谷輝英 イラスト/坂谷はるか

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