化粧品編・2018年【業界トレンド】

外国人消費の活発化で好況。インターネット販売の重要性がますます高まりそうだ

国内の化粧品メーカーとしては、資生堂と花王の2社が広く知られた存在。また、コーセーやポーラ・オルビスホールディングス、通信販売が主体のファンケル、ディーエイチシーなども一定のシェアを確保している。一方、グローバル企業としてはロレアル(フランス)やプロクター・アンド・ギャンブル(アメリカ)などが代表格だ。

経済産業省の「生産動態統計」によると、2017年における化粧品の国内出荷額は1兆6292億円。2016年(1兆5251億円)より6.8パーセント増で、6年連続の増加となった。リーマン・ショック後の2009年以降、国内出荷額は1兆4000億円前後で推移していたが、近年市場は拡大傾向。2016年はそれまでのピークだった1997年の1 兆5189億円を抜き、2017年も好調が続いた。また、ここ数年は化粧品出荷単価も上昇傾向にある。

好調の要因の一つは、外国人消費の活発化だ。日本政府観光局(JNTO)および観光庁の「訪日外国人の消費動向」によると、2017年における訪日外国人数は過去最高の2869万人。その旅行消費額は4兆4161億円で、2016年(3兆7476億円)より17.8パーセントも増えた。訪日外国人の半数近くが化粧品・香水を購入し、その平均購入額は3万円近くに上っていて、国内化粧品市場を押し上げているのだ。この流れを牽引しているのは、中国からの旅行者。中国人に限ると、8割弱の人が平均で5万円近くの化粧品・香水を購入している。2016年には、訪日外国人の買い物消費が落ち着いた(いわゆる「爆買い」ブームの終焉)と言われているが、化粧品・香水への支出は堅調だ。

最近は、外国人による「越境EC」(消費者がインターネットを使い、居住している国以外から商品を購入すること)での購入も盛んだ。訪日旅行などで日本の化粧品の良さを知った中国人などが、帰国後、インターネットを通じて買い求めるケースが増えてきている。アジア諸国に対し、日本の「美」のイメージや、高品質・安全性などをうまくアピールできれば、今後も越境ECによる販売は伸びていくだろう。

売り上げアップのため、高い機能性をアピールすることも重要だ。2017年、ポーラ・オルビスホールディングスと資生堂から、「しわを改善する」という効能効果の表現を許された商品が相次いで販売された(下記ニュース参照)。それまで、「乾燥による小ジワを目立たなくする」とアピールをする化粧品は存在していたが、両社の商品は効能効果を科学的に検証したことでより踏み込んだ表現が可能になり、これが高い人気につながっている。

近年、多くの企業が異業種から化粧品市場に参入。そして、もともとの事業分野で培った技術力をアピールしたり、商品の特長を科学的に説明したりして存在感を強めている。例えば、ロート製薬や大塚ホールディングスといった医薬品メーカー、富士フイルムなどの化学メーカーが売り上げを拡大中だ。化粧品業界では、消費者へのブランドイメージの構築・アピールが極めて重要だが、技術力や科学的な効能説明などで他社と差別化しようとする動きは今後も続くだろう。

通信販売、特にネット通販の活用も、各社にとって課題だ。特に、既存の流通ルートを持たない新規参入事業者などにとって、ネット通販の重要性は大きい。例えば飲料メーカー・サントリー傘下のサントリーウエルネスは、自社の健康食品・サプリメントを扱う通販サイトでスキンケア商品を販売。このように、ネット通販を主要販路にして販売コストを抑えようとする取り組みは、さらに広まっていく可能性が高い。従来の化粧品メーカーは、百貨店、専門店、ドラッグストア、訪問販売などの流通チャネルを重視していたが、消費者の購買行動が多様化している現在、ネット通販とうまく付き合っていく必要もありそうだ。一方、高価格帯商品の人気が高まっていることを受け、商品の良さをきめ細かく説明できる対面販売の価値も見直されている。そこで、百貨店などで対面販売を行う「美容部員」を契約社員から正社員に転換するなど働きやすい環境を整えて、人手を確保する動きなどが進んでいる。

足元は好調な化粧品業界だが、長期的には国内の少子高齢化により、市場の縮小が懸念されている。そこで各社は、世代別人口が多い60代以上の女性、あるいは男性という新たな顧客層をターゲットとした取り組みを進めている。また、事業の再編や、他社へのブランド売却などを目指す企業もありそうだ。例えば資生堂は、サロン向けヘアケア事業を展開する米国子会社や、ブランド「草花木果」を展開する子会社のナキリを売却。有望な顧客層やブランドに集中することで、自社価値の向上や経営効率化を目指している(下記ニュース参照)。

化粧品の生産出荷金額と輸出金額はともに伸びている

2012年
生産出荷金額……1兆4048億円
輸出金額……1247億円
2013年
生産出荷金額……1兆4270億円(1.6パーセント増)
輸出金額……1359億円(9.0パーセント増)
2014年
生産出荷金額……1兆4881億円(4.3パーセント増)
輸出金額……1523億円(12.1パーセント増)
2015年
生産出荷金額……1兆5070億円(1.3パーセント増)
輸出金額……2078億円(36.4パーセント増)
2016年
生産出荷金額……1兆5251億円(1.2パーセント増)
輸出金額……2676億円(28.8パーセント増)

※経済産業省「生産動態統計」と、財務省「貿易統計」より。市場は2017年になっても拡大中だ。。

このニュースだけは要チェック<科学的な効能説明で差別化を図るケースも多い>

・ポーラ・オルビスホールディングス傘下のポーラが、薬用化粧品「リンクルショット メディカル セラム」の販売を開始。しわを改善する効能効果が認められた商品で、このことをアピールすることで大ヒットにつなげた。(2017年1月1日)

・資生堂が、自然派ブランド「草花木果」を展開する子会社のナキリを売却すると発表。資生堂は2017年10月にも、サロン向けヘアケア事業を展開する米国子会社を売却しており、成長分野に集中する姿勢を強めている。(2017年5月31日)

この業界とも深いつながりが<ドラッグストアは最重要な販路>

百貨店
高級化粧品の販売チャネルとして、百貨店が果たす役割は大きい

広告
広告会社などと協力し、化粧品や香水を消費者にアピールする

ポータルサイト・SNS
ネット通販に注力する化粧品メーカーが増え、協力関係が密に

この業界の指南役

日本総合研究所 リサーチ・コンサルティング部門 シニアマネジャー
吉田賢哉氏

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東京工業大学大学院社会理工学研究科修士課程修了。専門は、新規事業戦略やマーケティング戦略、企業のビジョンづくり・組織戦略など。製造・情報通信分野などの業界動向調査や商品需要予測も手がける。

取材・文/白谷輝英 イラスト/千野エー

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