ポータルサイト・SNS編・2013年【業界トレンド】

インターネット利用者の増加で市場の拡大が続く。スマホへの対応や海外展開が目下の焦点だ

ポータルサイトとは、インターネットの入り口として機能するサイトのこと。Googleのように検索エンジンを中心とした「検索型ポータルサイト」と、Yahoo! JAPANやgoo、MSNのように、検索エンジン、ニュース記事、オークション機能、ネット通販など複合的なサービスを提供する「総合型ポータルサイト」がある。一方、SNSとはソーシャル・ネットワーキング・サービスの略。Facebookやmixiに代表される「コミュニケーション系SNS」、mobage、GREEなどの「ゲーム系SNS」が、代表的な存在だ。また、短文でコミュニケーションする仕組みのTwitterも、広く人気を集めている。さらに、動画共有によって交流を図るYouTubeやニコニコ動画、イラストや写真によるコミュニケーションが中心のpixivやPinterestなども、SNSの一種ととらえることができる。

ポータルサイトやSNSの収入源は、大きく分けて3つある。1つ目の「広告収入」は、サイト上に表示される広告枠を販売することで利益を得る仕組み。多くのユーザーを集めることが収入拡大に直結するため、ユーザーが興味を持つ話題の提供や、話題へのコメントを可能にしてユーザーの参加を活発化させること、人気の出そうな新サービスやアプリケーションを提供したりする取り組みが求められる。2つ目は「手数料収入」。ネット通販やオークションによる手数料、有料の動画視聴サービスなどが該当する。こちらも、できるだけ多くのユーザーを取りこむことが重要だ。そして3つ目が「課金収入」。ゲームを有利に進めるための有料アイテムなどを販売することで、近年、ゲーム系SNSなどは大きな利益を得ている。

インターネット上の「広告収入」は、市場がスタートして以来、順調に伸びている。電通が発表している「2012年 日本の広告費」によれば、12年におけるインターネット広告費は、対前年(8062億円)比で7.7パーセント増の8680億円。08年(3777億円)に比べると、2倍以上の規模に拡大した。テレビ・新聞・雑誌・ラジオという「マスコミ四媒体」 の広告費は減少・停滞傾向が続いているのに対し、躍進ぶりが目立つ状況だ。最近は特に、スマートフォン向け広告市場に注目が集まっている。各社はスマートフォンに最適化されたサービスを充実させることで、モバイルユーザーの取り込みや、広告効果の向上を図っている。

ソーシャルゲーム(SNS上で動作するゲームのこと)を通じた課金収入も好調。ゲーム系SNSは、mobageを運営するディー・エヌ・エー、GREEを運営するグリーともに、ここしばらく増収増益が続いた。ただし、日本国内での普及はある程度一巡した感もあり、最近では成長にかげりがみられる。そこで注目されるのが、海外市場への取り組みだ。例えばディー・エヌ・エーは、13年5月に行われた決算説明会で、mobageで使われる仮想通貨「モバコイン」の利用が、海外でも順調に伸びていると発表。12年7~9月期に約3000万ドルだった消費額は、12年10~12月期に約5000万ドル、13年1~3月期に約7000万ドルに増加した。今後も、海外向けゲームコンテンツの開発が、各社の業績に大きく影響しそうだ。

「ビッグデータ」というキーワードにも注目しておこう。これは、ネットワークなどを通じて集められた「膨大なデータ」のこと。SNS上で交わされたやりとりや投稿された画像・映像、ユーザーの位置情報や行動履歴などを蓄積・分析することで、ユーザーの好みに合った広告を表示し、広告効果をさらに高めることが期待されている。

押さえておこう <ポータルサイト・SNS、海外展開・対応の実例>

海外向けゲームコンテンツの開発
ディー・エヌ・エーがmogabe上で提供しているゲーム『進撃のバハムート(海外名:Rage of Bahamut)』が、12年5月に海外向けにリリースされ人気に。日本発ソーシャルゲームの成功例として話題を呼んだ。
動画投稿サイトの英語対応
12年10月、動画投稿サイトのニコニコ動画が英語に正式対応。従来からベータ版(テスト版)として英語圏向けサービスを提供していたが、これを日本語サービスと統合し、日本と同じ動画を英語環境でもの視聴・コメントすることが可能になった。
グローバルプラットフォームの提供
12年5月、グリーが、ソーシャルゲームのプラットフォーム(基盤)「GREE Platform」を発表。1つのゲームコンテンツを開発するだけで、世界中のユーザーに提供できるようになった。

要チェックニュース! <業務提携の動きが活発>

・ヤフーとグリーが、スマートフォン向けソーシャルゲームを共同開発・運営する新会社「ジクシーズ」を設立すると発表。有力コンテンツの開発力を高めることで、拡大を続けるスマートフォン向けゲーム市場を取り込むことが狙いだ。(2013年2月18日)

・米ヤフーが、ソーシャルブログサービスの「Tumblr(タンブラー)」を買収することで合意したと発表。このように、人気サービスを傘下に収めることでユーザー数拡大やサービス充実を目指す取り組みは、今後も行われる可能性が高い。(2013年5月20日)

つながりの深い業界 <ゲーム開発会社とのつながりがさらに強まる>

広告
拡大するインターネット広告市場で、広告会社と協力する機会は多い

携帯電話キャリア
ポータルサイト、SNSともに、スマートフォン向けの新サービスを開発

ゲームソフト
ゲームメーカーがソーシャルゲームの開発を行うケースが増加中

この業界の指南役

日本総合研究所 副主任研究員 吉田賢哉氏

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東京工業大学大学院社会理工学研究科修士課程修了。専門は、新規事業戦略やマーケティング戦略、企業のビジョンづくり・組織戦略など。製造・情報通信分野などの業界動向調査や商品需要予測も手がける。

取材・文/白谷輝英 イラスト/坂谷はるか

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