おもちゃ編

不況に強い業界だが少子化は懸念材料。各社は、新たな遊びの提案と海外展開に注力

社団法人日本玩具協会によれば、2012年度における国内玩具市場の規模は、店頭価格ベースで6730億円。11年度(6904億円)より2.5パーセント減となった。ここ10年ほどの市場規模は、6000億円台で安定。東日本大震災が起きた11年度には、むしろ売り上げが上向いており、おもちゃ業界は不況に強いと言われる。ただし、日本で少子化が進んでいるのは大きな懸念材料だ。厚生労働省の「人口動態統計」によれば、11年の出生数は105万人。「第2次ベビーブーム」と呼ばれる1970年代前半に比べると半分程度の水準で、おもちゃを購入する子どもの数は減少傾向が続いている。

 

12年度のおもちゃ市場では、男の子向け商品の勢いが目立った。特にラジコン(RC。キーワード参照)で操作するおもちゃとレールトイ(列車と線路のセット)は、大きく売り上げを伸ばしている。また、ぬいぐるみやハイテク系おもちゃの売り上げも、前年より拡大した。逆に、ここ数年にわたって業界を引っ張っていたトレーディングカードゲーム(キーワード参照)は、対前年比16.4パーセント減。主な顧客層である小学生男児を、子ども向けのアミューズメントマシン(ゲームセンターなどに置かれる各種ゲーム機など)に奪われたことが、主な要因とみられている。

 

この業界では、新しい遊び方を常に提案し続けることが大切だ。そのため、成長にかげりが見え始めたトレーディングカードに代わって期待を集めているのが、子ども向けのタブレット端末やスマートフォン風のおもちゃ。例えば、メガハウスは子ども向けのAndroid搭載タブレット「tap me(タップミー)」を13年7月に発売した。メールやアプリ、インターネットの利用を保護者が制限できるモードを用意し、子どもを危険から守る仕組みになっている。30種類以上の知育系アプリが事前にインストールされているが、購入後にアプリを追加することも可能だ。また、スマートフォンを模して作られたおもちゃ「アンパンマン タッチして!カラースマートフォン」(ジョイパレット)、子ども向けの音楽プレイヤー「ジュエルポッドダイアモンド」(セガトイズ)のようなデジタルおもちゃも人気を集めている。

 

国内市場の縮小を見越し、各社は海外進出に積極的だ。例えば、タカラトミーは東南アジア向けにオリジナルのキャラクターを開発。13年11月、インドネシアで男児向けキャラクターおもちゃを発売するのを皮切りに、フィリピンやタイでの販売も目指すという。日本で人気だったキャラクターを輸出するのではなく、現地の好みに合わせた独自キャラを生み出す手法は、関係各所から注目を集めそうだ。

 

成人を主なターゲットにしたおもちゃ「ハイターゲットトイ」にも注目しておきたい。この分野は一般のおもちゃより高価格であることが多く、ヒットシリーズを生み出せれば大きな利益が期待できる。例えば、人気テレビアニメのキャラクターを精密に再現した「DX超合金魂 マジンガーZ」(バンダイ)や、従来のブロックおもちゃの半分程度のサイズで、よりリアルな作品が作れる「ナノブロック」(カワダ)などは、大人から強く支持されている商品だ。また、4人で対戦できる「みんなでオセロ」(メガハウス)のように、定番商品に工夫を加えて新たな魅力を引き出す取り組みも盛んに行われている。

 

 

押さえておこう <おもちゃ業界志望者が知っておきたいキーワードとは?>

ラジコン(RC)
Radio Controlの略で、無線により遠隔操作する装置および方式を指す。最近では、重さ11グラムの超小型ラジコン操縦ヘリ「赤外線ヘリコプター ナノファルコン」(シー・シー・ピー)など、車以外のラジコンが人気となっている。
トレーディングカードゲーム
Trading Card Game。「トレカ」と呼ばれることもある。各カードには固有の能力値が設定されており、プレイヤーは複数のカードを組み合わせた「デッキ」を構築して対戦相手との勝負を楽しむ。
IP
Intellectual Propertyの略。知的財産権と訳される。おもちゃ業界では、キャラクターなどの著作権などを指すことが多い。価値の高いIPを創出すれば、おもちゃの売り上げ拡大や、版権による収益アップにつながる。
東京おもちゃショー
日本玩具協会が主催する見本市。日本の玩具市場は米国に次いで世界第2位の規模で、国内外から多くの企業がおもちゃショーに参加している。13年は6月13~16日に開催され、16万人近い来場者を集めた。14年は6月12~15日に開かれる予定。

 

要チェックニュース! <他業界とのコラボは面白い試みだ>

・セガトイズが、ファミリーレストラン・ガストをモデルにし、店員になった気分で注文を取ったり、料理を作ったりできるおもちゃ「おりょうりい~っぱい!うきうきアンパンマンレストラン」を発表。他業界とコラボして子どもを引きつける試みは、注目に値する。(2013年8月2日)

 

・日本玩具協会が、「日本おもちゃ大賞2013 授賞式」を開催。2012年度ヒット・セールス賞には、バンダイの「変身ベルト DXウィザードライバー」が輝いた。おもちゃ業界のトレンドがはっきりと見えるため、業界の内外から注目度が高いイベントだ。(2013年6月11日)

つながりの深い業界 <テレビ、出版業界と協力する機会が多い>

テレビ
アニメや特撮番組のキャラクターを使い、新商品を開発するケースは多い

出版
マンガや絵本のキャラクターを起用した賞品は、各社にとってドル箱

百貨店
海外の日系百貨店などでおもちゃのミニ展示会を開いて拡販することも

 

この業界の指南役

日本総合研究所 副主任研究員 粟田 輝氏

ph_trend_vol179_02

慶應義塾大学大学院理工学研究科修士課程修了。専門は経営・事業戦略、各種戦略策定・実行支援や事業性評価。幅広い業界・規模の企業を対象としている。最近では、今後さらなる発展が期待されるブラジル市場に注目し活動中。

 

 

取材・文/白谷輝英 イラスト/坂谷はるか

 

就活をはじめる以前に、本当はいろんな不安や悩みがありますよね。
「面倒くさい、自信がない、就職したくない。」
大丈夫。みんなが最初からうまく動き出せているわけではありません。

ここでは、タテマエではなくホンネを語ります。
マジメ系じゃないけどみんなが気になる就活ネタ。
聞きたくても聞けない、ホントは知りたいのに誰も教えてくれないこと。
なかなか就活を始める気になれないモヤモヤの正体。
そんなテーマを取り上げて、ぶっちゃけて一緒に考えていきましょう。

みなさんが少しでも明るく一歩を踏み出す気持ちになれることが、
私たちの願いです。