【中国編】 日本人にとって中国の中では住みやすい大連

Reported by ラオゴン
中国の大連市に住み、現地にある日系メーカーに勤務。休日の楽しみは、大連市街での外食や、街歩きなど。最近は中華料理のおいしさに気づいて、大連の地元料理である水餃子(ギョーザ)専門店や四川料理、上海料理、台湾料理、海鮮料理などさまざまなレストランに行くように。牛タンが食べたくなると、日式(“日本の”という意味でよく使われる言い方)焼き肉レストランを訪れている。

治安が良く、物価も安い

こんにちは。ラオゴンです。今回は、大連での暮らしについてお話しします。

大連は、中国の都市の中では、日本人にとって割と住みやすいところだと思います。中国のほかの都市を訪れたことはほとんどありませんが、ほかの都市に駐在していた人からもよくそう言われます。日本食のレストランや食材店が多く、日本語が通じる環境にも恵まれていることがその一因。加えて、治安も良く、夜間、外を歩いていても、危険を感じたことはめったにありません。夜、一人歩きする中国人女性も普通に見かけるほどです。ただし、一人で歩いている日本人女性はあまり見かけません。おそらく、夜はタクシーなどで帰宅しているのだと思います。

夏は日差しこそ強いものの、湿度が高くないのでカラッとしていて、東京より過ごしやすいと思います。冬はマイナス10度くらいと非常に寒いこともありますが、建物の中は「ヌアンチ」という暖房が整備されていて、とても暖かく保たれています。そのせいで、家の中では冬でもシャツ1枚で過ごす人もいるのだとか。わが家もヌアンチが各部屋に入っており、だいたい10月末くらいになると暖房が入ります。東京に住んでいた時よりも家の中が暖かいので、慣れるまではエアコンで冷房を入れて室温を下げたこともありました。今はすっかり慣れたので、真冬でも室内では半袖で過ごしています。外出予定がある日も、中に保温機能のある肌着を着ておけば、外出時のみニットなどの防寒着を着用することで対応できます。

現地の物価も安くて、バスは1元(約20円・2015年7月現在)、タクシー初乗り10元(同約200円)という感じです。例えば、工場が多い大連市開発区から市内に行く場合の料金は、80~100元(同約1600~2000円)ほど。ただし、市内と開発区では営業上の区分が異なり、市内のタクシーは開発区では営業できないため、交渉がかなり面倒です。同様に、開発区のタクシーも市内で営業はできません。そのため、知り合いの、いわゆる“白タク”を使うこともしばしばです。マッサージ料金も安くて、1時間70~80元(同約1400~1600円)程度。市内の大きな店舗だと、1時間120元(同約2400円)ぐらいになります。

断水時はホテルに避難したことも

一方、やはり不便なこともあります。それは、年に何回か見舞われる停電や断水。現地の人は慣れているようで、事前に通知があれば、問題なく対処している様子ですが、私はいまだに慣れません。断水時に、水が出る市内のホテルに宿泊したこともあります。断水時は、大体丸1日くらい我慢すれば、水道が復旧するようですが、過去には3日間断水が続いたこともあったようです。計画断水のときは、トイレ用の水を浴槽に溜(た)めておく程度の準備はするようにしています。

あらかじめ通知される計画断水だけでなく、突然の断水もあります。断水は、季節を問わずいつでも起こりうるようですが、水道管の老朽化によって、あるいは冬の水道管破裂などによって起こるようです。大連に来てからすでに3回ほどの断水を経験したと記憶していますが、断水後は水が濁るため、台所、浴室、洗濯機の水は、それぞれ透明になるまで、出しっぱなしにしなければなりません。そのため、せっかく設置した簡易の浄水フィルターも、あっという間に交換する羽目になってしまいます。停電は、まだ1回しか経験していませんが、21時ごろから約3時間ほどの、突然の停電でした。

普段の食事の際にも、中国ならではのひと手間がかかります。わが家では、平日の夕食に、野菜炒めや煮物、納豆、生姜(しょうが)焼きなど、日本にいた時と変わらない和食の家庭料理を作っていますが、必ず、野菜を専用の洗剤で漬け置き洗いしなければなりません。農薬が残留しているからです。貝殻からできた洗剤でその農薬を落とし、流水にさらしてから調理しなければならないので、とても時間がかかります。日本のように、買ってきたレタスを洗ってそのまま食べることはできないのです。

加えて、日本の調味料の価格が高い点も残念です。ポン酢ひと瓶が700〜800円ほどしてしまうので、日本に一時帰国した際に、調味料をたくさん購入して大連に持ち帰る日本人は多いですね。ただ、調味料を含む日本の食材自体は手に入りやすいと思います。市内のデパートに行けば、豆腐や納豆、日本の冷凍食品も買うことができるし、魚は冷凍の鯖(さば)の切り身が多く売られています。生食用としてはサーモンもよく見かけます。

私の平日の昼食は、仕出し弁当を頼む日と、社員食堂が、半々くらいです。もちろん、来客時に外食することもありますが、気分転換を兼ねて、ラーメンを外に食べに行くことも。こんなときは、日本食レストランが充実しているありがたみをしみじみ感じます。

次回は、中国に駐在する意味についてお話しします。

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暖房器具「ヌアンチ」。室内に張り巡らされたパイプにお湯を流して室内を暖める仕組みとなっている。

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停電時の街の様子。夜間の停電だと、バックアップ電源を持つ施設以外は、暗闇に包まれることに。

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飲用水として利用している卓上式のウオーターサーバー。タンクは業者が宅配してくれる。

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水餃子専門店のメニュー。シーフード、牛肉、豚肉など、タネのバリエーションも豊富だ。

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中国には、アメリカ発祥のスターバックスだけでなく、中国オリジナル、イギリス、シンガポール、台湾などからさまざまなコーヒーチェーンが進出している。

構成/日笠由紀

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