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海外駐在員ライフ

Vol.335 【南アフリカ共和国編】犯罪リスクと隣り合わせなヨハネスブルクでの暮らし

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Reported by 南アフリカ★太郎
南アフリカ共和国のヨハネスブルクにある日系メーカーの現地法人に勤務。プライベートでは、日本人サークルのリーダーとして、日本人コミュニティーでの活動にも精を出している。

夜間の一人歩きは危険

ビジネスの環境の話は前回までにあらかたできたので、より身近な話題に話を移そう。現在、私が住んでいるのは、ヨハネスブルクにある広さ100平方メートル、1ベッドルームの住まい。古い大きな屋敷を小分けにした共同住宅の一室だ。古くからの高級住宅街に位置したロケーションということもあり、周りにより大きな邸宅が建ち並んでいるからか、セキュリティの設備は電気フェンスのみ。セキュリティガードや番犬はいないが、強盗などに襲われたことはない。

 

その理由は、常に誰かしらが建物の中にいるからではないかと考えている。大家は現地の企業なのだが、同じ建物にオフィスがあることもあり、昼間はその企業の社員が常駐していることになる。そして夜は、賃借人が私のほかに4人ほど住んでいるため、無人となる時間帯がまずないのだ。セキュリティガードや番犬はいなくても、電気フェンスに防犯効果があるのかもしれない。ただ、何が幸いして犯罪に遭わずにいられるのか、その本当の理由は、犯罪者にしかわからない。より安全と言われているエリアや、セキュリティガードがいるエリアでも空き巣や強盗があることを考えると、答えはひとつではないということだろう。

 

とはいえ、叶(かな)うことならば、受付がいて、セキュリティガードが24時間待機しているコンプレックス(敷地内に複数の一戸建てがある形式の住宅)やマンションに住むのが一番安心だろう。しかし、そういった場所はどうしても家賃が高くなる。

 

そもそも、南アフリカ共和国の治安が良くないことは、すでによく知られていると思う。アパルトヘイト(人種隔離政策)が廃止され、誰でも好きなところに住めるようになったが、その分、「経済力」と「安全」が比例するようになってきていると言えるのかもしれない。「危険な目に遭いたくなければ、家賃が多少高くても、安全なエリアに住め」、つまり、「安全はお金を出して買うもの」というのがヨハネスブルクの現実なのだろう。ヨハネスブルクでの犯罪は、主に生活苦から来る切羽詰まったものが多い。失業率が高止まりしていることも大きな原因だ。なぜなら、一度、仕事を見つければまだ良いが、見つからずにひとたび犯罪に手を染めてしまうと、その後、まっとうな道に戻って職に就くことは決してたやすくはないからだ。

 

ということで、少々、治安の悪いエリアに住むことで、お金をかけずに生活をすることも可能だ。しかし、それは結果的に安全を手放すことにもつながりかねず、私たちのような海外駐在員にとっては、あまり現実的ではない。

 

組織犯罪というよりも個人が切羽詰まって起こす犯罪が多いことから、傾向を分析して防止することなども難しい。突発的なので、ほぼ天災に近いと思ってもらった方がいいかもしれない。ただし、できることがないわけではない。日本のようにダラダラと遅くまで外を出歩いたり、車で移動したりしなければ、不意をつかれることは少なくなり、リスクは低くなるだろう。また、夜道ではどうしても視野が狭くなるため、常に複数で行動することも、リスク回避につながるかもしれない。

 

ヨハネスブルクでは先日も車を強奪しようとするカージャック未遂が発生したばかりだし、ATMでの詐欺行為は後を絶たない。レストランでの置き引きや、空き巣、強盗もなくなる気配はない。つまり、車での移動中も、ショッピングセンターやレストランの中にいるときも、外を歩いているときも、常にリスクがあるということだ。したがって、どのような機会やオケージョン(場面)であっても、深酒するなどして判断力を鈍らせることも避けるべきだろう。これは、日本以外のどの国でも気をつけるべきことかもしれないが…。

 

とはいえ、夜間に外出できないというわけではない。車で移動する場合、前から知っている道を使うとか、気をつけるポイントがあらかじめわかっていれば、問題はないだろう。要は、慣れない道を迷いながら進んだりすると、注意が散漫になって危険ということ。常に周囲を警戒できる余裕があるような、ある意味“草食動物”のような注意深い行動ができれば、犯罪に巻き込まれるリスクも減るだろう。

 

夜間の移動では、信号などで停止するときに周囲に特に気をつけることだ。必要であれば、目の前の信号が赤でも発進できるように、周囲を常に警戒しよう。なぜなら、夜の交差点はカージャックのホットスポットになるからだ。また、オープンなスペースはできるだけ避け、なるべくショッピングセンターなどの屋内で行動するに限る。外部と続いている場所だと、誰がいるかわからないためだ。なんだか動物園の中の動物のような生活だが、安全には代えられない。

 

17時には店が閉まってしまう

さて、家や治安の話はこれくらいにして、日々の買い物に話題を変えよう。こちらでは、店舗の営業時間は、8時から17時まで。休日はさらに早く閉店する店が多く、中には13時に閉まる店もあって驚く。また、車のディーラーの多くが土日に休むことにもびっくりしてしまう。車を探す人は、普通、仕事が休みの土日に探すだろうに…。

 

このように、会社もレストランもショッピングセンターも早い時間で閉まってしまうので、買い物は計画的にしなければならない。また、どの店が何時まで開いているか、品ぞろえが良い店がどこにあるかといったことが頭の中に入っていると、一度の外出で必要な買い物が済ませられる。

 

ただし、日本と違って、近所のスーパーで何でもそろうということはない。代わりに大きなショッピングセンターに行けば、大体のものはそろうが、えてして価格は少し高め。加えて、たくさん歩かねばならなかったり、駐車が大変だったり、100円程度とはいえ駐車場代もかかるので、できれば駐車場代がかからない、小さめのショッピングセンターに行きたくなってしまう。

 

また、同じショッピングセンターに毎日行くのも飽きるし、同じものばかり買って食べるのも健康に良くない。変化をつけるためにも、行きつけのお店を増やしていくのがここで生活するためのコツだ。

 

最近では、ファストフード店、ガソリンスタンド併設のコンビニなどが24時間営業をするようになってきており、だいぶ、暮らしやすくなってきた。ただし、それでもほかのほとんどの店は早く閉まってしまう。

 

治安の悪さと閉店時間の早さ…いずれの点からも、明るいうちに用事を済ますことができるように効率良くこなさないとここでは暮らせない。こういった点は、徐々に慣れていくしかないかもしれない。それまでは、現地の生活が長い人たちから情報を収集し、人一倍、注意深く学んでいくしかないだろう。

 

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スーパーに掲示されている営業時間の案内。平日の閉店時間は18時に閉店。土曜日は17時、日曜日には15時に閉まってしまう。

 

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現地での娯楽のひとつである乗馬。ヨハネスブルク郊外には、乗馬クラブやゴルフ場などが点在している。

 

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ヨハネスブルク郊外にあるゴルフコース。よく整備されており、有名なゴルフクラブは、メンバーになるのに順番待ちをしなければならないのだとか。

 

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同じくヨハネスブルク郊外にあるゴルフ練習場(いわゆる「打ちっぱなし」)。日本のものと比べて格段に広いのが特徴だ。

 

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同じく現地の娯楽であるボウリング。ヨハネスブルクには、ボウリング施設のあるホテルもある。

 

構成/日笠由紀

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