人事部長インタビュー

Vol.62 日清食品グループ(日清食品株式会社)

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真の「EARTH FOOD CREATER」になるために、グローバルカンパニーへと進化する

日本の人口は2008年をピークに減少を続けていることから、胃袋産業である食品業界は国内市場で爆発的な成長を遂げることは難しいでしょう。一方で、世界に目を向けると、総人口は現在、約73億人。2100年には100億人を突破すると予測され、食の需要は爆発的に増えています。

 

そこで、日清食品グループが推し進めているのが、海外進出の加速と、国内事業の多角化です。海外においては、1970年にアメリカに現地法人を設立して以来、世界80カ国でカップヌードルを販売しています。今後は、今まで以上の規模とスピードで展開し、真のグローバルカンパニーへと進化していきます。その一環として、13年には初めてアフリカに進出し、ケニアで即席めん事業を始めました。また、南米事業の強化や、新工場の建設にも着手。13年にはタイに、14年にはインド東部に新工場を完成させています。グループの工場は19カ国に51カ所ありますが、さらなる新工場の建設、製造ラインの新設を計画しています。

 

また海外進出は、「さまざまな食の可能性を追求し、夢のあるおいしさを創造する」「人類を食の楽しみや喜びで満たすことを通じて社会や地球に貢献する」というグループ理念「EARTH FOOD CREATOR」を体現するものでもあります。世界の爆発的な人口増の一方で、栄養不良の人々は世界で約8億500万人にいます。すなわち、世界の9人に1人は健康で活動的な暮らしを営むための十分な食糧を得られないのです。カロリー効率の良い食糧の一つである小麦をめんに加工する技術を持っている当社が、即席めんという形で世界各地に安価で安全な食品を提供することは、「EARTH FOOD CREATOR」としての使命を果たすことでもあり、その意義は大きいと考えています。

 

グローバル展開においては、欧米、中国のような「成熟市場」、東南アジア・インドなどの「成長市場」、中南米・中東・アフリカといった「新規進出市場」と市場の成熟度に応じて戦略を変えて規模を拡大していきます。特に注力するのは、BRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)をはじめとした新興国です。人口の増加や市場規模の成長可能性が見込める点が魅力ですし、食糧事情が良くない地域も多くあります。

 

とはいえ、世界に打って出ることは簡単なことではありません。味覚や食文化は国・地域ごとに異なり、それぞれにローカルな食品メーカーが存在し、世界中くまなく展開している食品メーカーの数は少ないです。それぞれの食文化を理解し、ローカライズすることが非常に難しいからです。そう考えると日清食品グループが目指す、真のグローバルカンパニーになる道のりがいかに険しいかわかっていただけるかと思います。ただ私たちは、「HUNGRY TO WIN〜世界に、食ってかかれ〜」をスローガンとして、73億人をターゲットに、「何としても勝ってやる!」の覚悟で社内の士気を上げて取り組んでいます。

 

また、国内事業の多角化については、国内での成長の鈍化を食い止める手段の一つとして、今までの製品だけではカバーしきれない食シーンを提供するべく取り組んでいます。とりわけ今、力を入れているのが菓子事業です。11年に「湖池屋」などを傘下に持つ株式会社フレンテと、14年に「ぼんち揚げ」などを製造・販売しているぼんち株式会社と資本業務提携を行いました。グループ内の菓子事業を担う日清シスコと合わせ、即席めん以外でももうけられる仕組みを作っていきます。

 

そして、グローバル展開や事業の多角化を支えているのが、日清食品グループの技術力です。小麦からめんを作り、乾燥させて常温保存できる状態にする。その上でお湯を注いで戻すときにもめんに含まれるビタミンを壊すことなく食べられるという乾燥技術は、グループの一番の強みです。さらに14年には、技術イノベーションを推進する研究拠点「the WAVE」を東京都八王子市に開設しました。

 

進化の鍵を握るのは、「多様性の中でリーダーシップを発揮できる人材」

国内市場偏重だったこれまでから、海外にシフトしていくにあたって強化していくのは、組織と人です。

 

グローバルカンパニーと呼ばれる企業に共通しているのは、世界中から優秀な人材を集め、価値観の違いを超えて一人ひとりが能力を発揮し、機能する組織を作っていること。具体的には、社員の一人ひとりが、多様性の中でリーダーシップを発揮していくことができます。私たちも、そのような人材を一人でも多く育て、強い組織を作っていきたいと考えています。

 

多様性の中でリーダーシップを発揮するための基礎となるのは、グローバルコミュニケーション能力です。グローバルコミュニケーション能力とは、次に挙げる4つの力からなると考えています。

 

1つ目は、異文化理解力。異文化が好きだと思えることや、「自分と違う」ということを受け入れられることです。2つ目は、語学力です。3つ目は、発言力。これはプレゼンテーション能力と言い換えてもいいかもしれません。事実、他国の人と比べると相対的に日本人はおとなしいし、発言量も内容も控えめです。しかし、海外の競争相手や協力者と渡り合うには、自身の立場を明確にした上での意思表明が欠かせません。そして最後に、論理的思考力(ロジカルシンキング能力)。国籍や価値観、考え方が異なる相手であっても、論理的に話せば理解してもらうことができます。むしろ相手に理解してもらうことができなければ、リーダーシップを発揮することはできません。「背中を見て覚えて」「阿吽(あうん)の呼吸で」などの考えは、日本人にしか通じないのです。

 

多様性の中でリーダーシップを発揮できる社員を育てられるよう、社員向けの研修内容も見直しています。いくつか例を挙げると、まず、海外トレーニー制度。面接などの選考を受け、トレーニーに任用されれば、早い人は3年目の春から海外赴任やマーケティング部、宣伝部への異動が叶います(トレーニーの対象は、3~8年目社員)。次に、4年目からは、次期リーダー育成を目的にした選抜研修「グローバルSAMURAIアカデミー(若武者編)」。海外勤務を希望する社員向けの研修で、異文化対応研修やロジカルシンキング、英語など、海外で戦うために必要だと思われる内容を盛り込んでいっています。また、10年3部署ジョブローテーション制度という、新卒入社後10年間を社員の育成重視期間と位置づけ、一人ひとりの意欲や能力、適性などを考慮しながら3部署をジョブローテーションする制度も設けています。ローテーションする3部署のうち一つを海外拠点とすることも、今後考えていきたいと思います。

 

なお、研修への参加は、「手挙げ制」が原則。異動ポストの公募も含めて、やる気のある人材がやるべきというのが日清食品グループの文化です。

 

日清食品グループを安定した大企業だと思っている人がいるかもしれません。しかし、日清食品ホールディングスの代表取締役社長・CEOの安藤宏基は「うちは、永遠のベンチャーだ」と言っています。社内には自分たちの会社を“成熟した大企業”と思っている社員は一人もいません(笑)。例を挙げるとケニア進出を担っている現地駐在員はたった2人。少数で1つの国・地域の営業からマーケティング、生産に至るまでのマネジメントをする必要があり、多くの困難に直面します。すでにグローバル展開している日系企業にはないダイナミックな市場、ある意味、修羅場と言ってもいいかもしれませんが、日清食品グループにはそういった活躍の場がたくさんあるのです。また、グローバルカンパニーを目指すにあたり、M&Aも加速していくでしょう。これらの変化を面白がれる社員をどんどん増やしていきたいですね。例えば「次は南極に拠点ですか、ワクワクしますね!」「今度一緒にやるのはチョコレート会社ですか! 私に行かせてください!」と言えるような社員です。チャレンジャーとして、世界に食ってかかっていくことを、ぜひ皆でやっていきたいと思います。

 

学生の皆さんへ

伝えたいことは2つあります。1つ目は、学生の本分である勉強はしっかりやってほしいということ。今すぐ役に立たない勉強でも、将来、必ず役に立つもので、学生のうちから好奇心を持って幅広く学んでおくと社会人になってからが楽です。歴史や美術なども、教養として役に立ちます。日本の歴史を知らずに海外に出て「わからない」を連発していると軽蔑の目で見られるようになりますし、仕事の話をしている時は饒舌(じょうぜつ)なのに、絵画など教養が問われる会話になると急に静かになってしまうのは、かっこ悪いですよね。

 

2つ目は、旅などに出て見聞を広めてほしい。グローバルなビジネスに携わる上では、ぜひ、BRICsを始めとした新興国を見ておいてほしいです。現地の人の熱量は、それはもうすごいもので、近くにいるだけで元気になれますし、負けてはいられないという闘志も湧いてきます。百聞は一見にしかずなので、まずは足を向け現地に行ってみてください。

 

最後になりますが、今伝えた2つに共通することは好奇心を色々な方向に向けるという事。自分のワクワクする気持ちに正直になる事、それが遊ぶ上でも、仕事をする上でも大切なことだと、私は思っています。

 

同社30年の歩み

1948年、創業者・安藤百福が大阪府泉大津市で創業。58年、瞬間油熱乾燥法の即席袋めん「チキンラーメン」を開発。大ヒット商品となる。63年、東京証券取引所および大阪証券取引所に株式上場。70年、米国カリフォルニア州ガーデナ市にニッシンフーズ(U.S.A.)Co.,Inc.を設立。71年、カップめん「カップヌードル」を発売開始。「日清のどん兵衛」「日清ラ王」「日清焼そばU.F.O.」「カレーメシ」など、多くのヒット商品、ロングセラー商品を世に送り出している。

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1984年
香港タイボー地区に、日清食品有限公司を設立。
1988年
東京都新宿区に東京本社ビル完成。東京支社を東京本社と改称。
1993年
年間売上高2000億円を達成。
1994年
中国内の第1号の生産基地として、珠海市金海岸永南食品有限公司が操業開始。
1995年
陸上競技部創設。
1999年
大阪府池田市にインスタントラーメン発明記念館竣工。
2001年
年間連結売上高3000億円達成。中国・上海に日清食品(中国)投資会社を設立。
2006年
明星食品株式会社に資本参加。
2008年
持株会社制へ移行。日清食品ホールディングスに商号変更。国内に日清食品、明星食品、日清シスコ、日清ヨーク、日清食品チルド、日清食品冷凍の6事業会社、海外にアメリカ、中国、アジア、欧州の4地区を展開するブランディングコーポレーションとしての展開を始める。                                        ph_hrmanager_vol62_02
2009年
ロシア即席めんメーカーの持株会社アングルサイドLtd.(現、マルベンフードホールディングスLtd.)に資本参加。
2010年
陸上競技部がニューイヤー駅伝(全国実業団駅伝)で初優勝。
2011年
ベトナムにて「ベトナム日清」設立。
カップヌードル発売40周年。横浜みなとみらいに『カップヌードルミュージアム』竣工。     ph_hrmanager_vol62_03
2012年
陸上競技部がニューイヤー駅伝(全国実業団駅伝)で2度目の優勝。
2013年
カップヌードルミュージアム来館者200万人達成。
アフリカ・ケニアに「ジェイクアット日清」を設立。
南米・コロンビアに「コロンビア日清」のオフィス開所および新商品発売。
2014年
北アフリカ・モロッコに「マグレブ日清」設立。
東京都八王子市に新研究所「the WAVE」(下は完成図)竣工。                ph_hrmanager_vol62_04

 

取材・文/浅田夕香  撮影/刑部友康

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