化学系学科の学生は、どのような業界・職種に就職しているのでしょう?化学系学科の就職動向や就活のポイントなどについて、リクナビ就職エージェントのキャリアアドバイザーにうかがいました。先輩の就活事例も紹介しています。
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目次
化学系学科は就活で有利と言われる理由は?
化学系学科の学生の就職について、いくつかの側面から考えてみましょう。
専攻を生かせる応募先の数は分野によって異なる
まずは化学系学科の学生の就職動向を見てみましょう。
株式会社リクルートの研究機関・就職みらい研究所が発表した「【2025年卒】理系の学科系統別活動状況」(※1)内の、「就職志望者のうち、6月12日時点に進路が確定している割合」を見ると、「化学系」を含む生物・農学・水産系の学生の割合は59.2%でした。大学生全体が71.8%であるのに比べると、低い数値となっています。
※1 【2025年卒】理系の学科系統別活動状況(株式会社リクルート・就職みらい研究所)
化学はものづくりの基礎となる知識であり、あらゆる製品やサービスの基盤となり得ます。そのため、さまざまな業界で専門性を生かすことができます。化学メーカーだけでなく、機械メーカーや電気電子メーカー、自動車メーカーなど、製造業で求める人材にマッチする可能性が高く、評価対象として有利になると言えるでしょう。
ただ、専攻を生かせる就職先だけにこだわる人は、就活が難航してしまうケースもあるようです。特に学んでいる学生の数が多い有機化学分野では、一つの求人に対して多くの応募が集中する傾向にあり、倍率も高くなりがちです。
一方で、化学工学、分析化学などを専門に学んできた人は比較的少ないため、専門性を評価する企業は多く、研究開発や分析職、生産技術職などに就く人が多いようです。
化学系学科ならではの継続力やロジカルシンキングが評価されるケースは多い
化学系学科の学生ならではの知識や経験、強みが評価されるケースは少なくありません。
化学は、先ほども述べたように、さまざまな業界で生かせる場面があります。
そして、地道な研究が必要とされる学問でもあるため、「粘り強さ」や「根気強さ」「継続力」などのほか、想定外のことが起こった場合に原因を突き詰め論理的に考える「ロジカルシンキング」などを評価する企業は少なくありません。
また、理系全般に共通する強みとして、プロセスをつくり込む力が挙げられます。
専攻にもよりますが、理系の学生の多くは想定されるゴールに向けてどのような方法で研究を進めるのか、そのプロセスを考え、設計し、振り返ってブラッシュアップするという経験を繰り返しています。「課題に向き合い、課題解決のためのプロセスをつくり込む力があれば、自社の課題解決にも力を発揮してくれそうだ」と捉える企業も多いようです。
化学系学科の就職先業界例
化学系学科出身の学生は、主に次のような業界に進んでいる人が多いようです。
化学業界
学んできたことが生かせ、専門性を発揮しやすい化学業界が、やはり一番の人気です。特に研究開発部門が比較的大きく、研究開発費も潤沢な大手総合化学メーカーに応募が集中する傾向にあります。
製薬・化粧品業界
有機化学を学んだ学生は、製薬や化粧品を第1志望とするケースが目立ちます。専門性をベースに、薬品や化粧品の基礎研究や応用研究を手がけたいと考える人は多いですが、応募が集中しがちであり狭き門ではあります。
鉄鋼・非鉄金属業界
無機化学や材料科学、化学工学などを学んだ学生は、鉄鋼や非鉄金属業界を志望する人も多いようです。実際、研究職や設計開発、製造技術のほか、技術営業、生産管理・生産技術、品質管理などで活躍する人も少なくありません。
プラントエンジニアリング業界
化学系の知識を生かし、化学系プラントエンジニアを目指す人も一定数います。原料から製品を生み出すまでの製造プロセスを設計し、プロジェクトマネジメント全般を担当しますが、専門性を生かせるだけでなく携わるプロジェクトのスケール感に引かれ、志望するケースが多いようです。
電機・自動車・精密機器業界
電子材料について学んだ人の多くは、電機系メーカーや自動車メーカーを志望する傾向にあります。また、半導体メーカーでも知識が生かせる場面は多いでしょう。
IT業界
理系学部は研究を通してパソコンを使う機会があり、また研究によっては自らプログラムを組むことも。そのため、視野を広げてIT業界に注目する学生も多く見られます。
専攻を生かせる業界だけでは倍率が高く不安と危機感を持った学生が、新卒採用実施企業が多く採用数も多いIT業界に目を向けるケースが多いようです。
化学系学科の就職先職種例
化学系学科出身の学生が就いている職種の代表的な例を紹介します。
研究職
多くの学生が志望するのが研究職です。これまでの経験やスキル、知識が生かしやすいことから、専攻に関係する業界・企業の基礎研究や応用研究に携わりたいと考える人は非常に多いです。
ただ、各企業とも採用数は数名程度であることから、非常に狭き門となっています。
生産技術職
「化学素材や薬品、化粧品などの各種生産ラインの設計やメンテナンスを行う」「生産の効率アップを目指し、生産工程をブラッシュアップしていく」ポジションです。
品質と安全性を担保しながら、滞りなく生産を行うための仕組みを作るのが主な役割です。化学系学科の学びの他に、理系専攻での経験を通じたプロセス作りの経験を活かせる職種として志す人が多いようです。
成分分析職
食品や薬品、化学物などを分析して製品の安全性や環境への影響を調査する成分分析職も、化学系学科出身者が比較的多い職種です。研究活動を通じて、細かい作業や試料作製が得意だったという方が、実際に手触り感を感じながらできる業務として志望するケースが見られます。
品質管理職
製造する製品の品質や安全性を管理する品質管理職も、化学系学科出身者が多い職種です。
研究室での分析経験が生かせるケースが多く、知識を評価されやすい職種と言えます。
営業職
専攻に関する知識が生かせる製品やサービスを扱う会社で、営業職に就く人も増えています。自社の製品・サービスの魅力を、説得力を持って語れるのが化学系をはじめとする理系学科出身者の強みと言えるでしょう。専門分野に関する高度な知識を生かして、技術営業職として活躍するケースもあります。
化学系学科の就活のポイント
化学系学科の学生がスムーズに就活を進めるためのポイントを紹介します。
学業を通して培った専門性を企業ごとにアピール
化学が得意でこの学科に進学した学生が多いことから、卒業後も専攻を生かして働きたいと考える人が大半です。
勉強を通して身につけた経験やスキル、専門性を洗い出し、その中から応募企業ごとに「特に生かせると思うスキル」を抽出してアピールしましょう。
自身のスキルや専門性を、応募企業が求めているスキルや専門性と接続させることがポイントです。
専門職を目指す場合は、募集条件を細かく確認する
研究職などの専門職では、一定のテクニカルスキルを問われるケースがあります。
例えば、「研究職であれば大学の研究活動レベルでの有機合成の経験が必須」「この分析機械を使った経験が必要」などの条件を設けている企業も少なからずあります。
応募する際には、企業ごとに募集条件を細かくチェックすることが肝心です。
理系ならではのスキル、強みのアピールも有効
前述したような、ゴールに向かってプロセスをつくり込む力や、PDCA(※2)を回す力、目標達成意欲の高さなど、理系ならではのスキル、強みもアピールポイントになります。
エピソードを交えつつ具体的にアピールすることで、注目度を高められる可能性があります。
※2 PDCAとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)の頭文字を取ったもので、これらを繰り返すことによって継続的に改善していく手法のことを指す。
専攻が生かせる仕事以外にも視野を広げてみる
専門性を生かせる職種に限らず、さらなる可能性を見いだすためにも、それ以外の業界や企業、職種に視野を広げましょう。
前述のように、研究職などの人気の職種には応募が集中する傾向にあります。特に有機化学系は学生数も多いため、倍率が高くなりがちです。自己分析で自身の強みや持ち味を洗い出し、それを軸に専攻以外で第2志望群、第3志望群を作っておくといいでしょう。
「就職でかなえたいと思っていること」に立ち返り、ほかの業界や職種でも実現できないかどうか考えてみるのも有効です。
「この業界・会社で何がやりたいのか」を明確にしておこう
面接では、かなりの確率で「化学について学ぶだけでなく、仕事にしたい理由は何か」を聞かれます。卒業後も化学系の分野にかかわり続けたい理由を明確にしておきましょう。
「ずっと勉強してきたから」という回答では企業の納得は得られにくいと思います。仕事で何を実現したいのか、自分の知識や専門性をどう生かしたいのか、具体的に語れるようにしましょう。
納得のいく就職先を選んだ「化学系学科の先輩」の事例紹介
リクナビ就職エージェント経由で就職した化学系学科の先輩の中から、希望通りの就職先に入社した人、紆余(うよ)曲折の上納得して新たな道を選んだ人の事例をそれぞれご紹介します。
専門性が生かせ、自身の価値観も合致する企業の分析職に内定
有機化学を専攻していたAさん。「人体に安心・安全な素材を開発したい」と製薬会社や化学メーカー、食品素材メーカーの研究職を志望していました。
視野を広げながら就活を進める中で化学分析の専門会社に出会い、「安心・安全の追求」という理念がAさんの価値観と合致。これまで培った専門性もフルに生かせることから、企業側の評価も高く、分析職としての入社が決まりました。
「影響範囲の広い仕事」という軸で視野を広げIT会社のSE職に内定
素材や中間材料の研究開発など、影響範囲の広い仕事がしたいと考えていたBさん。化学メーカーの研究開発職が第1志望でしたが、なかなか内定には至りませんでした。
そこで「影響範囲が広い仕事」という軸で視野を広げ、さまざまな業界をリサーチ。インフラシステムの開発であれば、間接的により多くの人にいい影響を与えることができ、やりがいを感じながら働けそうだと考え、インフラ系に強いIT企業のSE職に内定しました。
就職エージェントを活用するのも有効
化学系学科をはじめとする理系の学生は、学業と就活の両立に不安を抱く人が少なくありません。研究などが忙しく、就活のスケジューリングに悩む人も多いようです。
専任のアドバイザーがマンツーマンで就活をサポートする就職エージェントであれば、忙しい化学系学科の学生でも就活を計画的に進められるでしょう。
リクナビ就職エージェントでは、理系の専攻ごとに特化したアドバイザーが就活全般をフォロー。化学系ならではの知識や専門性が生かせる業界や職種はもちろん、自身の強みや持ち味が生かせる別の選択肢を共に考え、アドバイスしています。
化学系専攻の先輩の就職事例も多数保有しているので、さまざまな視点からの就活アドバイスが可能です。化学系学科の就職活動に不安を抱いている方は、ぜひリクナビ就職エージェントの活用を検討してみてください。
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