アメリカ・ニューヨークにある日系金融機関の拠点に勤務。現地での楽しみは、ランニング。毎朝のジョギングだけでなく、アメリカ各地で開催されるマラソン大会に参加している。
コンパクトなマンション居住が増えている
こんにちは。てっちゃんです。今回は、ニューヨークでの暮らしについてお話しします。
ニューヨークでの住まいは、studio(ステューディオ)と言われるワンルームのマンション。広さは30平方メートル程度で、玄関、キッチン、バスルーム、リビングルーム、クロゼットという間取りです。リビングはL字型をしていて、その奥にベッドを置いています。
今、ニューヨークでは、このようなコンパクトなstudioを借りる人が増えています。というのも、リーマン・ショック以降、以前だったら郊外に一戸建てを買っているような人たちが、今でも都心部で賃貸生活を送っているため。不況のあおりを受けて、人々が仕事を求めて地方からニューヨークに流入してきたという背景もあると思います。また、都心に住みたい若年層にとっても、ルームシェア等すればなんとか家賃が払えるstudioのようなタイプは魅力で、ますますニーズが高まっているようなのです。ただ、いくらコンパクトといっても、私が借りている部屋の家賃は約28万円。ドアマンが常駐していて、ジムが併設されているなど、日本のワンルームとは違うサービスや設備がついているせいもあるとは思いますが、つくづくニューヨークの家賃の高さを痛感します。しかも、先ごろの更新では、家主から100ドルの値上げを要求され、応じざるをえませんでした。
ニューヨークシティマラソンを完走
部屋を探す際に重視したのは、セントラルパークに近いことでした。朝、セントラルパークを走ってから出勤するという生活がしたかったからです。もう1つの条件は、洗濯機が備え付けられていること。ニューヨークには、部屋に洗濯機がついていないマンションが多く、その場合、共用のランドリールームまで行かないと洗濯ができず、不便だからです。
マンションから5分も走ればセントラルパークに着くので、週に2~3回は、朝、走ってから出勤しています。5時30分にめざましをかけ、6時から7時まで走っていますが、6時半ごろになると、老若男女問わずかなりの人が公園内を走るようになります。自転車に乗る人も多く、ビュンビュンと行き交う自転車とランナーたちの姿は壮観ですね。
2013年には、念願のニューヨークシティマラソンに出場しました。毎年11月に開かれるこの大会は、その年の3月には募集が締め切られてしまうため、5月に赴任した私は、その年の出場は叶(かな)いませんでした。次の年も、ハリケーン「サンディ」の影響で大会は中止に。2013年も、抽選にこそ漏れてしまったのですが、約2600ドル(約27万円/2013年1月現在)を寄付することで、参加権を得ることにしました。大変な出費でしたが、あと何年駐在員でいられるかわからないし、また来年大型ハリケーンが来ないとも限らないし、ランナーとして一度は出てみたい晴れの舞台だし…。「一生の思い出が家賃1カ月分で買えるなら、むしろ安いのではないか?」と自分を無理矢理、納得させました(笑)。
大会前の半年間は、月間250キロメートル程度のランニングをこなしていたので、うまくいけば3時間を切ることができるのではないかと期待していたのですが、本番では3時間7分でゴールという結果となりました。走った直後は、体はボロボロで疲労もピークとなるのですが、沿道からの声援や、ブルックリン橋を走って渡り、ニューヨークを一巡するという経験は何物にも代えがたく、貴重なものでした。完走者がもらえる防寒用のビニールポンチョを羽織り、メダルを首にかけて家に帰る途中も、何人もの知らない人から「Good job!(よくやった)」「Congratulations!(おめでとう)」と声をかけられ、街に根付いたイベントならではの盛り上がりを感じたものです。
2014年の大会については、2013年中にニューヨーク・ロード・ランナーズ主催のレースに9回出場し、1回ボランティアをすることで出場権を得ており、今から楽しみにしています。また、ニューヨーク以外のマラソン大会にも興味があり、マイアミ、ロサンゼルス、ピッツバーグ、シカゴといった場所に観光も兼ねて行ってきたいと思います。
次回は、これからの海外駐在の在り方についてお話しします。
ニューヨークの街を一望できる自宅からの眺め。セントラルパークに限らず、マンハッタンには緑が多い。
ニューヨークシティマラソンのゼッケンとメダル。メダルはボランティアが完走者の首にかけてくれる。
マイアミマラソンに参加したときに寄ったマイアミのビーチ。観光はマラソンとセットで楽しむことが多い。
3連休の中日に日帰りで訪れたナイアガラの滝。早朝にたって深夜に戻ってくる弾丸ツアーだった。
構成/日笠由紀