【例文あり】就活で“伝わる”志望動機の書き方のコツ

エントリーシート(ES)に書く志望動機の重要性は十分理解しているけれど、どのように書けば自分の思いが伝わるのかピンとこない。そう考えている人たちのために、就活のプロであるキャリアアドバイザーが志望動機の掘り下げ方やまとめ方のコツなどをアドバイスします。

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そもそも志望動機はなんのために必要なのか?

志望動機は、企業側と学生のニーズがマッチしているかを確認するためのもの。企業は、志望動機を通して就活の軸や求める仕事などに関する学生のニーズを知り、そのニーズに合った環境を提供できるかどうかや、入社後のミスマッチがないかどうかを確認しているのです。

志望動機で多くの人がつまずきやすいのはココ

就活生が書く志望動機の文章をよく添削するのですが、自分の思いを伝えているつもりでも、採用担当者の心に響くような志望動機にはなっていないケースが少なくありません。中でも多いのが、一般的な内容に終始している志望動機です。

一例を挙げるなら、「貴社は〇〇の技術に優れており、国内でもシェアNo.1の高い技術力を持った会社だと思います」という志望動機です。本人は、説明会で聞いたようなその企業の素晴らしいところ、良いと思うところを並べることで、その企業で働きたい思いを伝えようとしているのでしょう。ですが、この内容だけでは“働きたい理由”にはならず、残念な結果につながりかねません。

ほかにも、学生からは「自身の就活の軸と企業との接点を、どう書いたらいいかわからない」「企業研究をしても他社との違いが明確にならず、その会社でなければいけない理由まで書くことが難しい」といった相談が目立ちます。

就職エージェントでは、その学生が志望している1社1社に対して具体的な接点を見つけるサポートをしているので、普遍的なアドバイスは難しいのですが、1つ言えることは、「仕事の進め方に注目して、自分の強みや価値観との接点を見つけていくといい」ということです。

ESや履歴書の志望動機欄
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もっと具体的に言うと、「どのような顧客(あるいは関係者)に対して、何をどうする仕事なのか」に注目して考えるのです。そうすると、その仕事ならではの特徴や面白みが見えてきます。その特徴や面白みと、自分の強みや得たいやりがいを接続していくと、接点も明らかにしやすいはずです。

あなたの志望動機をしっかり伝えるためのポイント

しっかり伝わる志望動機にするためには、「なぜその業界で、なぜその企業で、なぜその仕事をしたいのか」という自分の思いを明確に伝えることが大切といえます。

さらに、その理由には自分ならではの情報が盛り込まれていて、他社では駄目な理由(=その企業でなければならない理由)が明らかになっていると、採用担当者の心に響く志望動機につながるでしょう。

それを踏まえた上で、以下のポイントを押さえてまとめていきましょう。

書き始める前に整理したいこと

書き始める前に、就活の軸、業界の特徴、企業の特徴、具体的な仕事内容(仕事の進め方)について、きちんと整理しておきましょう。中でも重要なのは、やはり「就活の軸」を明確にしておくこと。そのためにも、「自分は何に価値を感じているのか」について、自ら理解する必要があります。まずは自己分析を行うなど、自分と向き合ってみてください。

就活の軸はまた、「仕事選びの軸」にもなります。つまり、業界や企業選びの判断基準が明らかになってくるということです。その状態で業界・企業研究を進めれば、「なぜその業界で、なぜその企業で、なぜその仕事をしたいのか」という、その企業とのより具体的な接点が見えてくることでしょう。

効果的に志望動機を伝えるための4つの要素

効果的に志望動機を伝えるためには、以下の4つの要素が含まれていることが大切です。

【1】なぜその業界なのか
【2】なぜその企業なのか
【3】なぜその職種(仕事内容)なのか
【4】【3】を裏付ける経験エピソード

書き出しは、「私が貴社(面接などで話す場合は「御社」)を志望する理由は~」が一般的ですが、以上の4つの要素が盛り込まれていれば、「私が〇〇業界に興味を持ったきっかけは~」などとアレンジしても構いません。読み手にわかりやすい、自然な流れの文章になるよう心がけましょう。

関連記事:「御社」と「貴社」の違いとは? 面接やエントリーシートではどちらを使う?例文付きで解説

経験エピソードの見つけ方の1つとしては、その業界や企業が扱う商品・サービス自体に深く思い入れを持つきっかけとなった経験を考える方法があります。

例えば、医療業界を志望する理由として、「幼少時代から体が弱く、入院生活が続く中で日本の医療に助けられた経験→医療業界を選んだ」と説明すると、自分ならではの情報になります。

もう1つは、業界や仕事の抽象度を上げて、自分の原体験と接続していく方法です。

例えば、IT業界を選んだ理由として、自分のスポーツ経験を挙げるのです。「スポーツの経験を通して仲間と協力して成し遂げた喜び→チームで協力して進めることの多い業界→IT業界を選んだ」と結び付けていくことができます。

きれいにまとめるための2つのチェックポイント

以下の2点に着目し、全体を通してほかの人には言えない志望動機になっているかどうかを確認しましょう。

□応募先ならではの内容になっているか
□根拠に自分ならではのエピソードが入っているか

ちなみに、志望動機はESに書くだけでなく面接でも聞かれますが、基本的には同じ内容で大丈夫です。一般的にESの情報量(文字量)の方が少ないので、面接用にまとめた2、3分の内容を、300文字程度に要約してESに記載するといいでしょう。

〈新卒者向け〉志望動機の書き方・例文集

志望動機の例文を3つ紹介します。これらを参考に、自分ならではの志望動機を作成しましょう。

【例文1 教育サービス会社志望】
私は大学時代の約3年間、中・高校生の家庭教師のアルバイトを続けてきました。それとは別に、放課後教育のボランティア活動にも参加してきました。家庭教師の経験から得たのは、人を育てるやりがいと達成感です。一方のボランティア活動で実感したのは、親の所得格差によって将来の選択肢が狭められてはいけないということです。このような経験から、教育サービス業界を志望するようになりました。私が課題感を覚えたのは教育格差問題であり、数ある教育サービス企業の中でも親の所得格差から生じる教育機会の格差是正にいち早く取り組んできた貴社の事業姿勢に強く共感しました。ですから、ぜひとも貴社に入社して、日本の未来を支える教育サービスに尽力していきたいと考えています。
【例文2 ホテル志望】
私が貴社を志望する理由は、地方再生に寄与したいと考えているからです。地方再生に興味を持ったのは、幼少期によく遊びに行った祖父母の自宅周辺の活気が、年々失われていく現実に直面したことがきっかけです。大学では地域創生学を学び、同様の課題を抱える地方がたくさんあること、その再生が急務であることを知り、自分にできることは何かと考え続けてきました。貴社は、〇年前から古民家を再生したホテルの企画・運営事業に力を入れ、周辺地域に観光客を呼び込んで活性化させる新しいビジネスモデルで実績を上げており、そこに大きな魅力と可能性を感じました。ぜひとも貴社の一員となり、さまざまな業務を通して日本の地方再生に尽力していきたいと考えています。
【例文3 インターネット証券会社志望】
私は、経済学部への入学を機にNISAを始めました。なぜなら、経済学の勉強になるだけでなく、長期的な人生設計に必要だと感じたからです。投資を始めるに当たって、複数のインターネット証券会社を比較・検討し、初心者に最もわかりやすいサイトを運営している貴社の利用者となりました。貴社のサイトと出合って投資への一歩を踏み出したことで、就職先としてもインターネット証券業界に興味を持つようになりました。貯蓄から投資への政府の主導もあり、今後さらにインターネット証券は浸透し、私のような投資初心者が増えることでしょう。私はぜひとも貴社に入社し、自分と同じような投資初心者にユーザーフレンドリーなサービスを提供していきたいと考えています。

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取材・文/笠井貞子

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