設立:2001年 活動内容:サッカー・フットサルの普及活動 人数:学生約120人(男女比=5:5/学年構成=1年生50人・2年生30人・3年生20人・4年生20人)、ほか社会人約30人 活動拠点:関東エリア。主な活動場所は横浜や川崎のフットサル場 活動日数:月4回
「日本にサッカー文化を根付かせたい」。そんな思いから2001年に誕生した学生中心のサッカー団体infinity(インフィニティ)。メンバー一人ひとりがサッカーやフットサルを楽しむのはもちろん、Jリーグや日本代表戦、ブラインドサッカー(視覚障がい者のためのサッカー)の応援から、フットサルイベントの企画運営まで、活動内容は多岐にわたります。
今回の取材で訪れたのは、女子フットサルの練習場所・神奈川県川崎市にあるフットサル場。そこで、団体代表やブラインドサッカー部門長など、infinityが行うさまざまな活動の代表メンバーに話を聞いてきました。
プレー、応援、イベント企画まで幅広く手がける
サッカー日本代表、Jリーグ、ブラインドサッカーを全力で応援
サッカー日本代表応援のシンボルが、「我らが日本 可能性は無限大」の垂れ幕。infinityでは設立以来、国内外問わず多くの試合でこの垂れ幕を張り出すのだそう。ほかにも、選手入場時にゴール裏に掲げる巨大ジャージ(写真中央)など、“選手が目で見て元気づけられるもの”にこだわるのがinfinity流。
写真は2014年11月に国立代々木競技場フットサルコートで行われた「IBSAブラインドサッカー世界選手権」のときのもの。メガホンで観客全員に声をかけ、隣の人と手をつないで頭の上に掲げて応援してもらえるよう呼びかけるなど、彼らの声援が会場をひとつにし、日本のブラインドサッカー史上類を見ない盛り上がりをみせました。
各イベントの部門長が集まり月1回のミーティング
月1回のガチンコフットサル(男子のみ)と女子フットサルLuce(ルーチェ)、月2回のミックスフットサルなど定期的に活動があるほか、試合観戦やイベント運営など、不定期にさまざまな活動が行われています。そこで、フットサルの各チーム、Jリーグ、サッカー日本代表、ブラインドサッカーなどの各部門長が集まり、月に1回ミーティングを実施。情報共有の場を作っているのだそう。
infinityには入会・退会の条件が一切なく、“好きな活動に好きな時に”という参加スタイル。一度遊びに来れば仲間入りなので、全メンバーが集まる機会はほとんどないそうです。その分、各部門長がそれぞれの活動に責任を持って運営することで、団体をまとめています。
内定者対抗フットサル大会「Kick off Festa」を実施
05年に始まった「Kick off Festa」は、春から社会人になる内定者を対象にした企業対抗フットサル大会。毎年3月に開催されています。「フットサルを最高のコミュニティツールに」という思いから、infinityメンバーが試合進行を円滑に進めるための準備から運営までを担当。内定者同期がチームを組んでエントリーするため、ライバル企業同士の試合では妙な盛り上がりを見せるこの大会。業界の垣根を越えた交流イベントとして、毎年300〜500人の内定者を動員しているそうです。
地域に根差した社会人サッカーチームを応援
Jリーグを目指すサッカークラブ「品川カルチャークラブ横浜」(神奈川県2部リーグに所属)の応援も活動の一つ。品川カルチャークラブ横浜が運営するジュニアチーム「港南FC」の選手として活動するinfinityメンバーもおり、“応援される”側に立つことで、観客の声がどれほどの力になるのかを実感することが多いと言います。
代表者インタビュー
写真左から
大西雄平さん/男子フットサルチーム部門長 東海大学政治経済学部 2年
鎌田悠奨(ゆうすけ)さん/団体代表 慶應義塾大学理工学部 2年
宮本のぞみさん/副学生代表 現代生活学部 2年
秋岡佳奈さん/ブラインドサッカー部門長 國學院大学法律学部 2年
Q1 活動の目的や活動するうえで大切にしていることは?
「日本にサッカー文化を築く」ことです。サッカー文化を築くというのは、当たり前のように週末にサッカーを見たり、サッカーやフットサルをしたりする人が増え、それがみんなの生活の一部になることだと思っています。そんな状態をゴールに描きながら、サッカーがやりたい人も、フットサルが好きな人も、応援に力を注ぐ人も、みんなが楽しめる団体でありたい。そのためには代表である自分が全力で楽しむこと、楽しいことを貪欲に見つけに行くことが大切だと思っています。(鎌田さん)
Q2 団体に入ったきっかけは?
新歓シーズンに配られたビラを見て、面白そうだなと思って。高校までサッカー一筋で、フットサルについては無知でしたが、攻守の激しい切り替わりや、ゴール際のぶつかり合いなどサッカーとは違う魅力に気づき、フットサルの知名度をもっと上げたいと思うようになりました。あとは、飲み会がほとんどないのんびりした雰囲気にひかれましたね。(大西さん)
サッカー日本代表が大好きで、応援できる場所を探している中で知りました。代表戦をゴール裏で見た時、そこで感じられる臨場感あふれる選手たちの動きに鳥肌が立ちました!(宮本さん)
Q3 活動を通じて何を学んだ? どんなことを得ている?
infinityでは、イベントごとに目標を立て、そのイベントを通じて何を実現したいのかを常に考えます。例えば2014年夏に行われた合宿では、「メンバー一人ひとりが、密にコミュニケーションをとれる仲間を見つけよう」と目標を設定し、移動中や合宿先でのレクリエーション内容を考えていきました。「このゴールに向けて、こんな取り組みをしてみよう」と順序立てて考えるクセがついたと思います。(大西さん)
自分の意見を臆することなく言えるようになり、やりたいことを行動に移す力がつきました。(宮本さん)
他大学や社会人の方と話す機会も多く、初対面でもすぐに仲良く話せるようになりました。(秋岡さん)
Q4 ズバリ、infinityに入って良かった?
もちろん! ブラインドサッカーの世界
選手権では、観客全員が手をつないで頭上に上げるパフォーマンスで、会場をひとつにできました。その時の震えるような感動は今でも忘れられません。(秋岡さん)
14年10月のジャマイカ戦(キリンチャレンジカップ)で香川真司選手が日本代表に復帰した時、「香川選手おかえりなさい」という大きな幕を掲げようと急きょ準備したことがありました。試合後に香川選手がメディアを通じて「あの幕を見て頑張ろうと思いました」とコメントしていたのを知り、やって良かった!と感激したのを覚えています。(宮本さん)
Q5 逆に大変だった・つらかったことは?
活動の種類が多く、いろんな考えを持ったメンバーがいるので、意見を調整するのは大変。ぶつかりながらもいい企画ができていくとほっとします。(鎌田さん)
14年11月に開催されたinfinity12周年の大パーティーでは、200人以上(学生6割、社会人4割)の参加者を取りまとめるのに一苦労! 規模が大きいからこそ無事終えたときの達成感もすごかったです。(宮本さん)
《社会人との出会い・つながり》
写真は12周年記念の際、社会人の先輩方と一緒に行ったフットサル大会のものです。団体創設メンバーをはじめ、学生時代にinfinityにかかわった先輩たちの多くは、今も頻繁にイベントに顔を出したり、一緒に活動したりと、つながりは密。社会人になってからできた友達が入るなど、メンバーは常に流動的です。イベントを企画立案するときには、社会人の先輩からアドバイスをもらうことも。「こういうレクリエーションをしたら、仲間同士の団結力が強まるんじゃない?」「こういう順序で進めていくといいよ」など、学生にはない発想や企画進行のノウハウに、いつも刺激をもらっています。(宮本さん)
《これから団体・サークル選びをする皆さんへ》
どんな小さなことでもいいので、その団体、サークルに入って何をやりたいか、目的を持って活動できる場を選ぶといいと思います。ほかのメンバーとぶつかったり面倒くさいこともあるかもしれない。でも、自分とは違う考えを持った友人と何か一つのことをやり遂げるのはすごく面白く、人としての器もぐんと大きくなるはずです。(鎌田さん)
取材・文/田中瑠子 撮影/早坂卓也