GEIL(ガイル)

団体プロフィール
設立
:1998年 活動内容:学生のための政策立案コンテストの企画・運営 学生人数:33人(男女比=5:5/学年構成=2年生30人・3年生3人) 活動拠点:都内(東大駒場キャンパス) 活動日数:月4回

学生が政治に対する意見を発する場、国の方針を決める「政策」について意見を交わす場をつくりたい。そんな思いから1998年に設立されたGEILは、「学生による政策立案コンテスト」をはじめ、政策を考えるさまざまなイベントを企画、運営しています。コンテストのテーマは「女性の活用促進」「地方創生」「税と社会保障」など、国のトップが頭を悩ます課題ばかり。有識者を招いての勉強会や専門家へのインタビュー、膨大な数字データや資料の収集、作成など、コンテストの準備のため、GEILメンバーも政策についての勉強に日夜追われると言います。学業と同じくらいハードそうなGEILの活動に、熱を入れる理由とは? 知的好奇心にあふれるメンバーに、その面白さを聞いてきました。

年1回の政策立案コンテストに向けて準備を進めていく

週1回集まり、コンテストやイベント準備の進捗を確認

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運営局、ケース局、渉外局、広報局に分かれて活動しているGEIL。コンテストの運営を担う運営局、コンテストの内容を企画立案するケース局、コンテスト実施のための資金、物品を協賛企業から募る渉外局、Webサイトやチラシやポスター作成でGEILの活動を広める広報局と役割分担がなされ、コンテスト以外の小規模イベントではその都度プロジェクトが組まれて企画が進んでいくそうです。週1回のミーティングでは、全メンバーでイベントのアイデアを出し合ったり、コンテストに向けた準備の進捗を共有し合ったり。有識者を招待して政策勉強会を開き、メンバーが知識を深める場にすることもあります。

毎年夏に「学生のための政策立案コンテスト」を企画・運営

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2014年8月には東京・代々木にある国立オリンピック記念青少年総合センターにて7泊8日の合宿型イベントを開催。全国からの応募で集まった80人が4人1チームとなり、最終日の政策プレゼンテーションをゴールに、課題テーマ「女性の活用促進」について議論を深めていきました。各チームに1人、GEILのメンバーが議論のケースチェッカー(進行役。ファシリテーター)としてつき、深夜まで白熱する議論すべてに同席。参加者が寝静まったあとも、各チームの進行状況をGEILのメンバー間で共有し、「もう少し具体的な内容について詰めていかないとプレゼンには間に合わないよ」「こんな視点を出して、議論の幅を広げてみたらどう?」などと話し合いは続きます。最終日の政策プレゼンテーションをジャッジするのは、官僚や政治家、大学教授などの有識者。現場の苦悩を知る政策のプロがどんなコメントを出してくれるのか、会場は緊張に包まれます。長い8日間を終え、参加者たちの充実した表情を見ると、準備から運営までの苦労も疲れもすべて吹き飛ぶのだとか。

6月に1日完結型の政策立案体験イベントを実施

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8月のコンテスト以外にも、4月には新入生を対象にした1泊2日の「PreGEIL」、6月にはコンテストに向けた1日完結型の政策立案を体験するイベント「GEIL Prologue」を実施。実際に政策を考える体験をすることで、理想と違う現実の厳しさを実感したり、自分の知識のなさを痛感したりと、さまざまな気づきが生まれると言います。GEILメンバーは、イベント企画、当日の進行管理に加え、参加者が政策を考えるにあたっての資料づくりを担当。1人25ページにも及ぶ政策に関する数字データや事例の収集(「ケースブック」の作成)を進めていくのだそうです。

代表者インタビュー

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写真左から

市来(いちき)泰子/運営局 明治大学 政治経済学部政治学科 2年

森川敬太/団体代表 東京大学 文科一類 2年

富家(とみいえ)小春/副代表 東京外国語大学 インドネシア語科 2年

宮本滉平(こうへい)/運営局員  一橋大学 経済学部 2年

Q1 活動の目的や活動するうえで大切にしていることは?

私たちは20歳で選挙権が与えられるけれど、それまでの間に、国の方針を決める「政策」について学び、考える機会があまりにも少ない。だから、その機会を提供する「政策立案コンテスト」を自分たちの手で立ち上げ、ゆくゆくは学生が考えた政策が、現実社会で実現可能性を持つくらいのインパクトを与えたい。そんな思いで、GEILはあります。そのために、メンバー一人ひとりが現代社会で起きているさまざまな社会問題について学び、どんな事象があり、どのような政策が検討されてきたのかを、数字データの分析や資料収集、有識者への取材などを通じて、真剣に勉強しています。(森川さん)

Q2 団体に入ったきっかけは?

新入生歓迎シーズンで大学に来ていた前代表に勧誘されて。一浪し、苦労して一橋大学に入学したので、せっかくなら意識の高いところに入ってたくさん学びたい、と思っていました。新入生歓迎イベント「PreGEIL」に参加し、“主体的に考える”という経験がすごく面白くて、ここに入れば、どんなことにも自分の考えを持つ思考のクセがつくのではないかと期待感を抱きました。(宮本さん)

私が在籍する明治大学にGEILの勧誘は来てくれなかったんですけど(笑)、インターネット検索で存在を知りました。「PreGEIL」に参加してみて、「いかに不利益を被る人を少なくするか」をゴールとする政策立案の面白さと難しさを知り、興味を抱くように。また、ケースチェッカーの1つ上の先輩が偉大すぎて神のようで…。私も1年後にこんなふうになれるんだろうか、かっこいいなという憧れもありました。(市来さん)

調べれば調べるほど、どう解決したらいいのかわからないことばかり出てくるところが面白かったですね。女性の活用促進とひと言で言っても、子育てに関するさまざまな考え方、企業側の本音、働く女性の思いなどが複雑に絡み合い、政策立案のあまりの難しさに途方もない気持ちになります。でもだからこそ、物事の本質を見る力、論理的思考力などさまざまな力がつくのではないかと思いました。(森川さん)

Q3 活動を通じて何を学んだ? どんなことを得ている?

私は代表をやらせてもらいながら、組織の力を最大にするためにリーダーシップはどうあるべきか、その像を模索しています。トップダウンの組織は、決断も速く集団としてはまとまりやすいかもしれない。でも最終ゴールである「GEIL全体でアウトプットのレベルを上げていく」ためには、自分で考え自分で行動する力を持つ個人が増えた方が強い組織になるだろうと思うんです。そんなことを考え、代表だからといって意見が強くならないよう、肩書を排除したり、「誰が言ったか」ではなく、「発言内容の面白さ」そのもので判断できるような組織づくりを心がけています。(森川さん)

2014年、政策立案コンテストの決勝プレゼンの運営リーダーを務めた際、予期せぬ事態が起きたときの現場対応力やリスクマネジメントを学んでいるなと思いました。当日の全メンバーの動きをシミュレーションして細かくタイムラインを作っていくのですが、それでもハプニングは発生します。例えば、お呼びしていたコンテスト審査員の方が、急なトラブル発生で来られなくなってしまったことも。連絡が入った時点で、会場に来ていたGEIL のOBに急きょ代役をお願いして事なきを得ましたが、全体進行を考える際は、常にネガティブシミュレーションを徹底し、最悪の事態を想定しながら代案を考えておく必要性を学びました。(宮本さん)

Q4 ズバリ、GEILに入って良かった?

そうですね。政策立案コンテストやイベントに参加した学生から「はるばる地方から参加して良かった!」「とても勉強になった」といった声をもらうと、やってきて良かったなと感激します。(宮本さん)

普段何気なく目にするニュースに対し「これGEILで勉強した!」と興味を持てるようになったり、難しい政策の内容を理解できたときには、自分の知識量や視野が広がっていると感じてうれしくなります。(市来さん)

14年からGEILの取り組みをもっと知ってもらおうと、テレビ局や新聞社、出版社に売り込みをしていました。そのかいあって、14年の政策立案コンテストの様子を京都新聞とYahoo!のニュースで取り上げていただいた際には、やってきたことが形になった喜びを感じました。(富家さん)

大学の学園祭準備など、GEILの活動以外の集団の意思決定の場で、うまく議論を進めたり、アドバイスできるようになったりとファシリテーターとしての力がついたなと実感するときに、GEILでやってきて良かったなと思いますね。(森川さん)

Q5 逆に大変だった・つらかったことは?

政策立案コンテストで極度の睡眠不足になるときです。ケースチェッカーとしてチームにつくと、自分の意見を押し付けずに参加者の意見を引き出しながら議論をひとつの政策案に導いていく役割が課されます。白熱する議論の合間に助言を求められることもあるので、集中して話を聞いておく必要があるし、深夜に及ぶ議論にも全部参加し、進行状況をGEIL全体にフィードバックしなくてはいけません。精神的にも体力的にもみんなぎりぎりの状態になりますね。(富家さん)

合宿中、仮眠をとろうと思って、合宿施設の公共スペースのソファに腰かけたらそのまま寝てしまい、警備員に「おい!大丈夫か!!」と起こされました(笑)。(森川さん)

《社会人との出会い・つながり》

イベントで官僚や政治家、コンサルタントや専門家などに講演をしていただくことや、コンテストで使う参考資料(ケースブック)づくりのため、有識者にヒアリングをする機会が多くあります。「現場ではもっとこんな問題があるんだよ」「高齢者から見れば、全然違う課題が浮かび上がってくるんじゃないかな」など、鋭くリアルな意見や指摘にはっとすることばかり。その道のプロですので、幅広い視点で物事を見て、現実的な課題にも直面していらっしゃる方たち。学生のうちから専門家の意見を聞く機会が持てるのは本当に貴重だと思います。(富家さん)

各界で活躍するOB・OGと身近に話す機会はもちろん、資金・施設・物品を協賛していただく渉外の場面では、数多くの企業に乗り込んでGEILの魅力を社会人の方々へアピールします。夢や理想を熱く語ることはもちろん、先方の企業にも「協力して良かった」と思っていただけるようなメリットを提供できるよう、日々工夫を凝らして交渉に当たっています。実際にお会いした社会人の方々から業界のリアルな話をうかがうこともでき、社会人とのつながり、さらには社会とのつながりを強く実感する機会に恵まれています。(森川さん)

《これから団体・サークル選びをする皆さんへ》

大学の4年間は、自分の意思次第でどんなふうにでも過ごせる、最も自由な時間。これまで興味がなかった分野にもあえて足を踏み入れてみて、自分の視野を広げてみるのもいいと思います。(宮本さん)

1年間はあっという間。ぼんやりしていれば4年間もすぐ過ぎていってしまうはずです。接した人の種類によって自分の内面も多角化していくと思うので、いろんなバックグラウンドを持つ仲間と出会い、自分とは異なる意見に刺激を受けるような環境に、身を置いてみてはどうでしょうか。(市来さん)

取材・文/田中瑠子 撮影/刑部友康

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