入学してから読んだ本で、就活に役立った本はありますか?
2015年3月に4年制大学・大学院を卒業した新社会人に、入学してから読んだ本で、就活に役立った本があったかどうかを尋ねたところ、「ある」と答えたのは約4人に1人となり、残りの学生は「ない」と答えた。属性別では、大学院卒よりも学部卒、理系出身者よりも文系出身者の方が、「ある」と答える人の割合が高い傾向が見られた。
●佐々木常夫の『働く君に贈る25の言葉』が、自己分析をする上で有益だった。特に、「これからの自分」を描くのに、説得力のある言葉がたくさん見つかった。(大学院薬学研究科卒)
●中島らも『今夜、すべてのバーで』を読んで、焦りがなくなった。「好きなことを仕事にしよう」「楽しんで仕事をしよう」というような世間一般の仕事観だけが仕事というものの捉え方ではないと思えるようになったし、たとえ就きたい職に就けなくても、決して悲観することはないと安心できた。(文学部卒)
●大学生の就活を描いた朝井リョウの『何者』という本を読んで、就活の大変さや、ときには友人とのトラブルもあるということがわかった。おかげでそれなりの心構えができた。(環境情報学部卒)
●齋藤孝の『雑談力が上がる話し方―30秒でうちとける会話のルール』という本を読んで、面接担当者は学生の「切り替えの柔軟性」を見ていることがわかり、その点を意識して面接に臨むことができた。(人文学部卒)
●阿川佐和子『聞く力―心をひらく35のヒント』です。この本で人の話を聞くことの大事さを学んだので、面接のときも「何を言おうか?」と考えるのと同じくらいに、面接担当者の話をきちんと聞くようになりました。(文学部卒)
●いろいろな業種・職種の給与明細を紹介している『給与明細で比べる「女子のお仕事」』(働く女子研)。各ケースの一週間のスケジュールや給与の額面、手取り額との違いなどがわかりやすく説明されていて、働き方や給料などについて具体的なイメージを掴むことができた。(文学部卒)
●サッカー選手である長谷部誠の『心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣』で、メンタルコントロール力をつけることの重要さを実感した。面接の場でも不必要な緊張や動揺が少なくなったと思う。(教育学部卒)
●池上彰の『池上彰の学べるニュース』シリーズ。ニュースの用語を詳しく解説してくれたおかげで、ニュース番組の内容をよく理解することができるようになり、時事問題に強くなれた。(経済学部卒)
●有川浩の小説『県庁おもてなし課』を読んだことが、公務員とはどのような職業なのかを考える良いきっかけとなった。(教育学部卒)
●『決算書はここだけ読もう〈2014年版〉』(矢島 雅己)。企業分析をする上で、財務諸表から企業を見る視点を養うことができ、非常に役立った。(経済学部卒)
●渡辺航の『弱虫ペダル』です。このマンガを読んだことが、チームの中での自分の役割について考えるきっかけになり、今まで自分では言葉にできなかった過去の出来事を言語化することができました。おかげで、自己分析が深まり、自己アピールに説得力が増しました。(文学部卒)
企業や仕事の具体的なイメージが湧く小説やビジネス本から、ノウハウ本まで、実にいろいろな種類の本が就活に役立っているんだね。就活に役立った本が「ある」先輩が約4人に1人という結果は、ちょっと寂しいような気もしたけど、就活にダイレクトに役立ったとは言えなくても、これからのキャリアや人生を考える上で有益だったり、参考になった本はきっといろいろあったと思うな。みんなも、比較的時間がある大学1~2年生のうちに、人生を豊かにするような読書をたくさんしておくと良いと思うよ。
文/日笠由紀 イラスト/中根ゆたか