【工作機械・産業用ロボット業界編】プロが選ぶ隠れ優良業界

世の中には、広くは知られていない「隠れ優良業界」があります。シンクタンク・日本総合研究所の研究員に、プロの目線で優良業界を教えてもらうこの企画。今回は「工作機械・産業用ロボット業界」について紹介します。

「工作機械・産業用ロボット業界ってどんな業界?工作機械・産業用ロボット業界を“隠れ優良業界”に選んだ理由とは?」など、日ごろたくさんの業界・企業とかかわっているプロだからこそわかる情報が盛りだくさん。後半では、就活生が気になる「その企業の探し方は?」などもお聞きしました。ぜひ、参考にしてみましょう。

日本総合研究所・吉田賢哉氏株式会社日本総合研究所 リサーチ・コンサルティング部門 シニアマネジャー 
吉田賢哉(よしだ・けんや)

東京工業大学大学院社会理工学研究科修士課程修了。専門は、新規事業戦略やマーケティング戦略、企業のビジョンづくり・組織戦略など。製造・情報通信分野などの業界動向調査や商品需要予測も手がける。
以前の記事では、吉田さんが考える優良業界の3つの条件を紹介しました。

「優良業界ってどんな業界?見つけ方・探し方のコツは?【シンクタンク研究員が解説】」はこちら

1. 業界の規模が大きい、あるいは拡大中である
2. 他社との競争が激しくない
3. 取引先に対して有利な立場を築きやすい

今回は、これらの条件に当てはまる「ファシリティマネジメント業界」について吉田さんに解説していただきます。

工作機械・産業用ロボット業界ってどんな業界?市場規模はどのくらい?

隠れ優良業界‗工作機械・産業用ロボット業界編イメージ画像

ものづくりを支える機械・ロボットを生み出すのが主な仕事

<工作機械とは?>

金属や樹脂などを削ったり穴を開けたりする機械のことで、旋盤、ボール盤、フライス盤、研削盤、マシニングセンターなどが該当します。機械を作り出す機械ともいえるため、「マザーマシン(母なる機械)」と呼ばれることもあります。

<産業用ロボットとは?>

工場ラインなどに設置され、人間に代わって塗装や溶接、部品の取り付けなどを行う機械を指します。

工作機械・産業用ロボットのどちらも、製造業を支える重要な機械です。これらの分野で日本企業が強みを発揮してきたからこそ、日本が「ものづくり大国」として存在感を示してきたという側面もあります。

日本企業は長年にわたり、工作機械や産業用ロボットのグローバル市場をリードしてきました。工作機械に関しては、一般社団法人日本工作機械工業会によれば、2018年における工作機械業界の受注総額1兆8158億円のうち輸出額は1兆654億円で、海外比率は59パーセント(※1)。産業用ロボットに関しては、一般社団法人日本ロボット工業会によると、2017年におけるマニピュレータ・ロボットの総出荷額(同工業会の会員企業と非会員企業の総額)は8956億円のうち輸出額は6494億円で、海外比率は73パーセントでした(※2)

大手企業を中心に、海外とのビジネスは当たり前という業界であり、海外売り上げ比率の高い企業が目立ちます。

→※1出典:一般社団法人日本工作機械工業会 公開資料

→※2出典:一般社団法人日本ロボット工業会 公開資料

リーマン・ショック後、市場は右肩上がりで成長中

工作機械業界の市場規模は、リーマン・ショック直後に大きく落ち込みました。日本工作機械工業会によれば、2009年の受注総額は対前年比68.4パーセント減の4118億円にとどまっています。

ところが、2010年には9876億円、2011年には1兆3262億円にV字回復。その後も基本的には右肩上がりに成長を続け、すでにお伝えしたように2018年の受注総額は1兆8158億円に達しました。

→出典:日本工作機械工業会 ホームページ

産業用ロボット市場も堅調です。2009年の総出荷額は3001億円で、工作機械と同様に対前年比53.8パーセント減と落ち込みましたが、2010年は5564億円、2011年は5984億円と伸び、2017年には8956億円となっています。2018年も、前年より微増と見込まれています。

ものづくりが盛んになれば需要も伸びる

近年、日本のものづくり業界は新興国に押されています。例えば、日本の家電・AV機器業界は1970~80年代にかけて世界市場を席巻していましたが、今では勢いを失っています。ところが、日本の工作機械や産業用ロボットは、今でも世界市場で大きな存在感を発揮しています。

なぜなら、工作機械や産業用ロボットはものづくりに不可欠だからです。新興国で工業が盛んになれば、日本製の工作機械・産業用ロボットのニーズも伸びます。特に、日本企業が得意とする高品質な機械・ロボットは、精度の高いものづくりに欠かすことができないため、今後も大きな需要が期待できるのです。

工作機械・産業用ロボット業界を「隠れ優良業界」として選んだ理由

工作機械・産業用ロボット業界が有望だと考えるポイントは、次の通りです。

1. 一定以上の市場規模があり、しかも世界を相手にできる

工作機械、産業用ロボット業界共に国内外で十分な市場規模があり、しかも順調に成長中です。さらに、日本企業は高品質な製品分野に強みを持っているため、同分野では単純な価格競争には陥らず、技術面の工夫などで利益率を高めやすい状況にあります。

世界を相手に取引をしている点も有利です。今後は新興国を中心に経済発展が見込まれるため、海外での需要拡大が期待できるからです。

2. 日本企業の競争力が伝統的に高い

工作機械と産業用ロボットは、幅広い分野のものづくりを支える機械です。工作機械や産業用ロボットの品質が低ければ、良い製品など作り出せるはずがありません。そこで、この分野では高い品質や技術力が求められるのです。

日本企業は他国の企業に比べ、数十年にわたって技術面で優位に立っています。特に高付加価値な分野では、今後も世界をリードする存在であり続けるでしょう。

3. 新技術の導入などでさらなる発展の気配

この業界でも、IoT(※)やAI(人工知能)を活用した取り組みが盛んになっています。例えば、工作機械にセンサーを組み込んで各パーツの動作の具合を確認し、故障が起こる寸前に部品を交換する。あるいは、AIによって機械の稼働状況を分析して、より生産性の高いやり方を模索するなどの試みがなされています。

※IoT…Internet of Thingsの略。「モノのインターネット」と訳され、さまざまなモノをインターネットに接続してデータをやりとりすることで、高度な制御やデータの蓄積・分析を通じた改善の実施などを行うこと。

日本をはじめとする先進国はもちろん、新興国でも工場などでの働き手不足が課題になっています。そうした中、産業用ロボットなどを用いて生産ラインの省人化・無人化を図る必要性はさらに高まるはずで、この点からもニーズ増が期待できます。

工作機械・産業用ロボット業界には、どんな仕事がある?

工作機械・産業用ロボット業界には、下記のような仕事があります。企業によって職種名は異なりますが、おおむね下記の通りです。

技術営業

顧客が求める工作機械・産業用ロボットへのニーズを聞き取り、適した機械や製造ラインを提案する仕事です。相手の求めることを正しく把握し、それに基づいてベストな提案を行うコンサルティング能力に加え、技術的な知識も一定程度求められます。この業界の「花形」とも呼べる職種です。

両業界ともに海外売り上げ比率が高いため、外国語を使ってビジネスを行う可能性はかなり大きいでしょう。また、商社や販売代理店といった他社とタッグを組んで仕事をするケースも少なくありません。

設計・開発

機械やロボットの設計・開発は、ハードウェア担当とソフトウェア担当の2つに分かれます。

近年ではIoTやAIの活用が進んでいるため、情報工学や情報科学を学んだ学生が数多く求められるようになってきました。また、機械やロボットには金属や電気などの知識も必要になるため、機械系以外を学んだ人にも大きなチャンスがあります。

生産技術

工作機械や産業用ロボットは、製造ラインの中で使われることが多いものです。そこで、工場内にある製造設備全般のレイアウトなどを考えるなど、生産性を高める工夫に取り組むのが生産技術の役割です。

サービス

工作機械や産業用ロボットに故障が起きたときに素早く対処する、新製品の使い方を顧客にレクチャーする、新たな設備の導入作業を行う、保守部品を供給するなど、機械の保守・整備について幅広くサポートする仕事です。

工作機械業界・産業用ロボット業界の最近のTopics

工作機械・産業用ロボット業界では、このような動きが表れています。

「インダストリー4.0」の動きが加速

インダストリー4.0(※1)」とはドイツが推進しているものづくりのコンセプトで、製造業における「4回目の産業革命(※2)」を指します。日本が進めている「Society5.0」、アメリカの「インダストリアルインターネット」、中国の「メイド・イン・チャイナ2025」なども似通った概念です。

各国では、こうしたコンセプトを取り入れてものづくりの生産性を高めようとする取り組みが盛んに進められています。工作機械や産業用ロボットの分野でも、こうした動きは大きなトレンドになっています。

※1:インダストリー4.0…ものづくり全般の流れをデジタル化して統合することで、工場の生産性向上を図ること。

※2:4回目の産業革命…1回目の産業革命は蒸気機関の発明による機械化、2回目はベルトコンベア方式による大量生産、3回目はプログラミングによる生産工程の自動化。

高付加価値製品へのシフトが進むか

欧米のメーカーは高付加価値な製品を得意としており、新興国メーカーは低コスト製品を得意としています。これに対し、日本メーカーは高級品から中・低級品まで、幅広い製品を手がけてきました。

しかし近年では、中国・台湾・韓国といったメーカーが作り出す安価な製品分野では競争が激化し、利益を上げにくい状況になりつつあります。そこで日本メーカーは、より高度な技術が求められる高付加価値製品へのシフトを進めていくのではないかと見られています。

工作機械・産業用ロボット業界の探し方

最後に、工作機械・産業用ロボット業界をどうやって探したらいいのかご紹介します。

就職情報サイトを使う場合

リクナビなどの就職情報サイトを使って企業を探す場合は、下記のように入れてみると良いでしょう。

<フリーワード欄にキーワードを入れて探す場合>

例1.業界名を入力して探す

  • 工作機械
  • 産業用ロボット

例2.具体的な製品名(ここでは機械の名前)を入力して探す

  • マシニングセンター
  • NC機械(※)

※「Numerical Control」の略で、動作を数値データによって制御するタイプの機械

<業界からカテゴリを絞って探す場合の例>

  • 機械メーカー
  • 精密機器メーカー

インターネットで検索する場合

就職情報サイト同様に、具体的な業界名を入れて検索し、各企業のホームページを見るのがいいでしょう。

<検索キーワードの例>

  • 工作機械 メーカー
  • 産業用ロボット メーカー

また、工作機械と産業用ロボットのどちらも業界団体があります。それらのWebサイトで加盟企業のリストを探せば、主要な企業が見つかります。

 

取材・文/白谷輝英
撮影/平山 諭


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