地方自治体編

必要なサービスを見極めて実行する企画力が不可欠に。自治体同士の連携も進みそう

地方自治体は、都道府県(広域自治体)と市町村・特別区(基礎自治体)の2つに分けられる。その役割は、住民が地域に誇りを持ち、かつ安心して暮らせるように、福祉・保健、教育、警察、消防といったサービスを提供すること。特に、住民にとって身近な存在である基礎自治体は、住民ニーズの多様化などにより役割が大きくなっている。

 

2014年4月時点の市町村数は1718(790市、745町、183村)。いわゆる「平成の大合併」(1999年から2010年にかけて進められた市町村の合併)により、1999年3月末時点で3232あった市町村は大幅に減ったが、その後はほぼ一定を保っている。なお、2013年4月時点の地方公務員数は約275万人。1995年以来、19年連続で減少している。

 

このところ地方自治体を悩ませているのが、人口減少である。首都圏など一部の大都市圏以外では、おしなべて人口減に歯止めがかかっていない。人口、特に働き手となる現役世代が減ると、税収が落ち込んで公共サービスの質が下がったり、地域の活力が失われたりする。それが、さらなる人口流出を招くという悪循環が続いてしまうのだ。2014年5月、有識者や企業家などによる民間組織「日本創成会議」は、40年の時点で896の市区町村が存続の危機に立たされるとの予測を発表。各方面に衝撃を与えた。

 

人口減少により、単独で住民向けサービスを提供することが難しくなる地方自治体は、今後増えると考えられる。そのため、近隣の自治体同士で、道路・河川の管理、病院や学校の運営、ゴミ処分といった事業を共同処理する「広域連携」の動きが活発化しそうだ。国会でも「地方自治法」を改正(ニュース記事参照)。地方自治体同士が連携しやすい仕組みを整えたり、大都市での効率的な行政運営を促すため、政令指定都市における区の役割を拡充したりするなどの見直しが進められている。

 

こうした中、地方自治体に求められているのが「企画力」だ。限られた予算・マンパワーをどこに振り分けるのか。どの事業を取りやめ、どの事業に力を注ぐのかなどの舵取りを、自治体自身でデザインしなければならない。その上で、職員が各地域に飛び込み、住民と対話しながらまちづくりに取り組む必要があるだろう。また、地方の特産品を全国に売り込むなど、提案・発信・営業力が問われる場面も増えそうだ。

 

高齢化による医療・介護の需要急増にも、対応が求められている。特に、団塊世代(第1次ベビーブームの1947~49年に生まれた世代)が75歳以上となる2025年に向けた地域づくりが急務だ。自治体ごとに、高齢化進展のスピード、医療・介護サービスの整備状況、地域コミュニティの状況などは異なる。それぞれの事情を正確に把握し、地域住民のニーズに合わせて、生活支援や住まい整備などを含めた包括的サービスを整備する必要があるだろう。ほかにも、子育てや生活困窮者への支援、近い将来に更新時期を迎える公共施設・道路といった社会資本の整備なども、大きな課題だ。

 

今後の地方自治体は、ほかの自治体、そして住民や民間企業などと協働する機会が増えるだろう。そして、多くの人・組織を巻き込み、住民自治の強化・多様なサービスづくりを促す能力が、行政サービスの水準を左右しそうだ。

押さえておこう <住民や民間との協働により、地域を運営する取り組みの一例>

公的施設の民間委託
佐賀県の武雄市図書館が、TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブを指定管理者にしてから1年が経過。この間の来館者数は、従来の3.6倍に伸びた。公的施設の運営を民間企業に委託し、利便性などを高めようとする試みは、今後も増える可能性がある。
eコマースとの連携
ヤフーが地方自治体などと連携し、「Yahoo!ショッピング」で各地の特産品を販売開始。14年1月のスタート時には、陸前高田市(岩手県)、南砺市(富山県)、松阪市(三重県)、武雄市(佐賀県)など19の自治体が参加した。今後も、参加自治体数・取扱商品数を拡大する予定。
住民ボランティアによる行政運営
埼玉県志木市では正規職員の採用を20年間凍結し、不足した人手を「行政パートナー」と呼ばれる市民有償ボランティアで補おうとする取り組みを進行中。21年には、全職員の6割以上がボランティアとなる予定だ。住民参加を促して自治体を運営する試みに、注目が集まっている。

このニュースだけは要チェック <職員採用試験にも変化が起こる?>

・奈良県生駒市が、ほかの地方自治体よりかなり早い日程で職員採用試験を実施すると発表。優秀な人材を確保するのが狙いとみられる。同市では、民間企業でも多く採用されている「SPI総合検査」も取り入れており、事務能力より企画・営業・提案力の高い人材を採用する方針を打ち出している。(2014年3月3日)

・改正地方自治法が参議院本会議で成立。複数の市区町村が、共同で事業を進めやすくするための枠組みを整えた。また、一般の市町村より権限が大きい「中核市」の人口要件を30万人以上から20万人以上に緩和するなどの改正もなされているため、地方公務員志望者はぜひチェックしておこう。(2014年5月23日)

この業界とも深いつながりが <介護・医療分野との協力が深まりそう>

介護サービス
介護系企業と協力し、地域住民向け介護サービスの質・量を充実させる

旅行・ホテル(情報システム系)
地域内・外の企業と連携して、観光地としてのブランド力向上を図る

鉄道
沿線のまちづくり、市民の足の確保に向けた連携が期待さ

 

この業界の指南役

日本総合研究所 コンサルタント 山崎香織氏

京都大学大学院農学研究科地域環境科学修士課程修了。専門は、介護・地域福祉、地域経営・人材開発、企業の社会的責任(CSR)。地域社会のデザイン構築をテーマに、官公庁・自治体の施策立案・実行における支援などを手がける。

 

取材・文/白谷輝英 イラスト/坂谷はるか

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