介護サービス編

高齢化が進んで市場は着実に拡大。「保険外サービス」の動向に注目しよう

高齢者や障害者などに対し、日常生活への支援を行うのが「介護サービス」だ。大手企業としては、ニチイ学館(2013年度におけるヘルスケア部門の売上高1413億円)、ベネッセコーポレーション(13年度におけるシニア・介護事業売上高739億円)などがある。ほかには、通所介護(デイサービス)分野で強みを発揮するツクイ(13年度売上高539億円)、有料老人ホーム分野のメッセージ(13年度売上高672億円)、介護用品分野のパラマウントベットホールディングス(13年度売上高667億円)、フランスベッドホールディングス(13年度売上高508億円)といった企業もよく知られている。

 

主な分野としては、訪問介護や通所介護などの「居宅サービス」、認知症対応型デイサービスなどの「地域密着型サービス」、特別養護老人ホームなどの「施設サービス」に大別される。これらはすべて、国による介護保険の対象だ。厚生労働省によれば、00年度における介護保険の総費用は3.6兆円だったのに対し、05年度は6.4兆円、13年度は9.4兆円と増加。市場は、右肩上がりに拡大している。

 

背景にあるのは、急激な高齢化だ。厚生労働省によると、00年時点で17.4パーセントだった日本の高齢者割合(総人口に占める65歳以上の割合)は、05年は20.2パーセント、13年には25.0パーセントへと増えた。国立社会保障・人口問題研究所は、20年の高齢者割合を29.1パーセント、35年は33.4パーセントと予測。あと20年あまりたつと、全人口の3分の1が高齢者という社会になるのだ。そのため、今後しばらく、市場は拡大を続けるものと考えられる。ただし、市場拡大に伴って多くの事業者が参入したことから、競争は激化している。また、国家財政の観点から、介護費用についてはある程度の抑制が求められている。介護保険の制度改正などに関するニュースには、ぜひ注目しておきたい。

 

こうした中、注目されているのが「保険外サービス」の分野だ(下表参照)。配食サービスをはじめ、家事や買い物の支援、高齢者の安否確認や見守りといったサービスのニーズが伸びている。これらは高齢者の生活の質を高める一方、公的介護給付と異なり価格を自社で設定できるため、事業者にとっては経営の安定化をもたらす。力を入れるところは今後も増えそうだ。また、介護事業者だけでなく、インフラ系企業など幅広い業種から参入事業者が現れている(ニュース記事参照)。

 

医療との連携を目指す動きにも注目しておこう。12年4月の法改正で、入浴や排せつ時など特定のタイミングや、急な体調変化に応じて臨時に訪問介護や訪問看護を行う「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」が創設された。これに対応し、医療機関と協力関係を深めたり、医療職の採用を増やしたりする介護事業者が増えている。また、一つの事業者が、複数の居宅サービスや地域密着型サービスを組み合わせて提供する「複合型サービス」も創設された。今後の需要増が見込まれているため、大手企業を中心に取り組み強化を図る事業者が増えている。

 

押さえておこう <主な「保険外サービス」を知っておこう>

配食
食事の準備や、食事のための買い物をすることが難しい高齢者などを対象に、食事の宅配を行うサービス。高齢者向けに栄養面や飲み込みやすさなどに配慮した食事を届け、差別化を図るケースも多い。
安否確認
主に独居高齢者を対象に、病気で倒れていないかなどの確認を行う。訪問を行うほか、携帯電話のGPS機能で所在を確認したり、自宅の家電利用状況などから異常が発生していないかチェックしたりするサービスがある。
買い物支援
従来型の配達サービスに加え、タブレット端末などを使って高齢者から要望を受け取り、商品を代行購入して自宅に届けるなどのサービスが登場。また、高齢者の自宅にあらかじめ商品を置いておき、利用した分の料金を後日受け取るサービスなどもある。

このニュースだけは要チェック <異業界からの参入が増えている>

・NTTドコモがネット食品宅配大手の出前館と提携し、食品の宅配サービスを開始すると報道された。スマートフォンを使って注文を行い、代金は通信料と一緒に請求される仕組みだ。ネットを活用する高齢者が今後増えていくと、既存の配食サービス事業者にとって強力なライバルになる可能性がある。(2014年2月21日)

・日本郵便が、「郵便局のみまもりサービス」を試験的に開始。郵便局職員が高齢者宅を訪問することで、高齢者の安否状況や困りごとを確認するというもの。電話による体調確認や、買い物支援といったオプションサービスも提供されている。見守りサービスには、警備会社やインフラ系企業なども参入している。(2013年10月1日)

この業界とも深いつながりが <医療機関と連携する機会が増えそう>

病院・診療所
医療との距離は縮まりそう。医療機関が介護サービスを提供する機会もある

セキュリティ(警備業)
「高齢者向け見守りサービス」などの分野で競合となるケースが増えている

マンションディベロッパー
高齢者向け住宅の建設を手がけるマンションディベロッパーも少なくない

 

この業界の指南役

日本総合研究所 コンサルタント 山崎香織氏

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京都大学大学院農学研究科地域環境科学修士課程修了。専門は、介護・地域福祉、地域経営・人材開発、企業の社会的責任(CSR)。地域社会のデザイン構築をテーマに、官公庁・自治体の施策立案・実行における支援等を手がける。

 

取材・文/白谷輝英 イラスト/坂谷はるか

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