地方銀行編

「本業の稼ぎ」に不安あり。各地銀は事業エリアの拡大、他行との提携に活路を見いだす

地方銀行(地銀)とは、特定の地域を中心に営業活動を行う銀行のこと。社団法人地方銀行協会に加盟する64行と、旧相互銀行から普通銀行に転換し、社団法人第二地方銀行協会に加盟している41行(第二地銀と呼ばれることもある)からなる。横浜銀行(神奈川県)、千葉銀行(千葉県)、静岡銀行(静岡県)、福岡銀行(福岡県)など総資産額が10兆円前後に達する銀行もあり、地域経済の中で大きな役割を果たしている。

 

地方銀行協会加盟64行の2013年度における総貸出金は170兆9818億円で、12年度(165兆6305億円)に比べ3.2パーセント増えた。また、純利益は7808億円で、20.2パーセント増だった。リーマン・ショック後の08年度(純利益は698億円の赤字)からみれば、貸出金、純利益共に増加傾向である。一方、第二地方銀行協会加盟41行の総貸出額は、12年度(45兆1587億円)より2.3パーセント増の46兆1999億円。純利益は104.9パーセントと大幅に増え、2526億円だった。こちらも、足下の業績は好調だ。

 

ただし、状況は数字ほど楽観視できるものではない。純利益が増えたのは、景気回復によって不良債権の処理コストが減ったり、株式市場が好況で売却益が増えたりしたからだ。これに対し、資金を貸し出して得られる利息収入など「銀行本来の業務から得られる利益」は、必ずしも増えていない。住宅ローンなどの個人向け貸出額は伸びているが、銀行間の競争が激しく金利は下がる一方。また、企業向けの貸出額は、地方経済の低迷などが逆風となって頭打ちになっているところだ。実際、地方銀行協会加盟64行の13年度における「業務純益」(本来業務による利益)は、対前年比で12パーセントも減っている。さらに地方銀行を悩ませているのが、地方に特有な課題だ。地方は都市部に比べて高齢化の進むペースが速く、今後は大幅に人口が減る危険性もある。おまけに景気回復のピッチは鈍いため、顧客からの預金総額も、比較的早い時期に縮小するとみられているのだ。

 

こうした中、各地銀は生き残りを目指し、2つの方向で取り組みを進めている。1つ目は「域外への事業拡大」。本来の営業地域に比較的近い都市などに拠点を開設し、新たな顧客を開拓しようとしている。例えば、千葉銀行は東京23区を「戦略的営業エリア」と位置づけ、品川に新たな営業拠点を設けた。京都銀行(京都府)も大阪営業部を設置するなどして大阪地域の営業体制強化を目指している。また、遠く離れた都市部への進出を目指すところもある。東京都内に4つの支店を開設している阿波銀行(徳島県)は、13年7月、横浜にも営業拠点を開設。関東地方での融資拡大を目指している。さらに、インドネシア、タイ、ベトナムなどの金融機関と提携を模索する銀行も増加中。地方企業がアジア進出する機会が増えているため、地銀側も体制を整えている。

 

2つ目の取り組みは「提携・連携」だ。複数の銀行が協力し合うことで、経営基盤・サービス提供力の強化などを目指している(下表参照)。注目したいのが、マーケティング面での提携。北海道銀行(北海道)、横浜銀行、北越銀行(新潟県)、北陸銀行(富山県)、京都銀行、西日本シティ銀行(福岡県)などは、NTTデータと共に「共同MCIFセンター」を構築。これは、各行の取引データなどを加工し、マーケティングに生かす仕組みだ。

 

一時は活発だった地銀同士の再編は、一段落したように見える。しかし、地銀の置かれた立場は決して容易ではない。そこで、提携をきっかけに地銀同士が合併するケースも、今後、十分にあり得るだろう。

 

地方銀行による提携・連携の代表例

災害に備えた連携
千葉銀行、中国銀行(岡山県)など6行が、緊急時に物資や人員を融通し合う仕組みを整えたと発表。離れた地域にある銀行同士が支え合うことで、地震などの災害が起きても、素早く事業を再開することができる。
地方活性化を目指した連携
千葉銀行、福岡銀行、静岡銀行、七十七銀行(宮城県)など、各地域でトップクラスの地銀9行が集まり、地域活性化で連携すると発表。ほかにも、北海道銀行や七十七銀行など東北・北海道地域の地銀が提携した例もある。
海外ビジネスにおける連携
広島銀行(広島県)、山陰合同銀行(島根県)、十六銀行(岐阜県)、北國銀行(石川県)の4行は、顧客の海外ビジネスを支援するために相互協力を行っている。
ファンドを共同設立
横浜銀行、福岡銀行など地銀5行が、健康関連事業や医療・介護事業の支援を目指したファンドを共同で設立。ほかの地銀にも参加を打診しているとされる。高齢化によって需要が期待できる分野に出資することで、産業育成を図る狙い。

※ほかにも、トラックなどの荷台に銀行窓口やATMを載せた「移動店舗」を融通し合う、海外拠点を相互利用する、基幹システムを共同開発・運営するなどの提携が行われている。

このニュースだけは要チェック <業界再編の動きには細心の注意を払おう>

東京スター銀行(東京都)は、台湾の大手金融機関「中国信託商業銀行」が全株式を取得し、買収が完了したと発表。海外の銀行が日本の銀行を買収したのは初めてとされる。これにより、東京スター銀行では、将来有望なアジア向け事業を強化するとみられている。(2014年6月5日)

第四銀行(新潟県)が、キャッシュ・クレジット一体型カードの加入対象年齢を、従来の「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げた。将来の優良顧客になり得る若者を、早い時期から囲い込もうという狙い。同じような試みは、ほかの地銀でも十分にあり得るだろう。(2014年4月8日)

この業界とも深いつながりが <地方自治体との結びつきが強い>

メガバンク
資金面で強い結びつきを持つ。一方、企業融資や個人向け住宅ローンなどの分野では競合

地方自治体
地方自治体の中には、国からの借金を返済して地銀からの融資に切り替えるところもある

食品
農産品や食品といった地域の特産品を、地銀が旗振り役となって都心に売り込むケースも

 

この業界の指南役

日本総合研究所 副主任研究員 高津輝章氏

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一橋大学大学院商学研究科経営学修士課程修了。事業戦略策定支援、事業性・市場性評価、グループ経営改革支援、財務機能強化支援などのコンサルティングを中心に活動。公認会計士。

取材・文/白谷輝英 イラスト/坂谷はるか

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