電子部品メーカー編

世界トップクラスのシェアを誇る企業が多数。今後は次世代自動車などに期待が集まる

電子部品は、日本企業にとって「お家芸」とも呼べる分野だ。京セラの「セラミックパッケージ」(ICチップを包み、保護する部品)や村田製作所の「積層セラミックコンデンサ」(電気を一時的に蓄える部品)は、スマートフォンなどに広く使われ、大きな売上高を誇る。また、HDD用磁気ヘッド(TDK)、小型モーター(日本電産やマブチモーター)のように、日本企業が世界トップクラスのシェアを有するケースも少なくない。

 

一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)によると、2013年における電子部品・電子デバイスの生産実績は6兆7796億円。対前年比で3.8パーセント増だった。さらに、14年1月~6月の生産実績は対前年同期比で8.2パーセント増となっており、市場は拡大傾向が続いている。スマートフォン、テレビなど電子部品を多数搭載した製品が、世界規模で好調。また、最近の円安傾向により、日本企業の輸出競争力が高まったことも追い風となっている。

 

近い将来、有望視されているのが次世代自動車向け部品だ。電気自動車やハイブリッド車のエンジン・モーターには、従来型のガソリンエンジンに比べ、はるかに多くの電子部品が使われている。また、歩行者や障害物などを検知して危険を回避する「自動ブレーキ」、駐車や高速道路での運転などをサポートする「運転支援システム」、車の位置データなどを集めて渋滞を回避するカーナビなども電子部品の塊だ。次世代自動車の普及に合わせて、大きなビジネスチャンスが見込めるだろう。

 

ITを使い、街ぐるみでエネルギーなどの有効活用を目指す「スマートコミュニティ」にも、注目が集まっている。電力や熱、水などの利用状況を正しく把握するためには、多くのセンサーや通信機器が必要。これらには多くの電子部品が使われるため、スマートコミュニティが拡大すれば電子部品メーカーにとって商機が広がる。ほかにも、普及率が高まっている太陽光発電事業、高性能化が進む医療機器なども期待されている分野だ。

 

ただし、日本企業も安心してはいられない。韓国、台湾、中国といった企業との競争は、激しくなる一方だからだ。また、スマートフォンメーカー、自動車メーカーなどからの要望も高度になっている。各社は現在の地位を保つため、高性能化・省エネ化・低価格化に向けた研究開発に力を注ぐ必要があるだろう。特に技術革新が求められているのが、電子部品業界にとって永遠の課題とも言える「小型化」だ。また近年では、データ通信をする際に性能を落とさないようにするため、「ノイズ除去」などに関する技術が重要になっている。

 

他社との競争に打ち勝つため、「選択と集中」を進めることも大切。自社が得意とする領域、成長が見込める有望分野をしっかり見極め、経営資源を集中。その一方で、不採算事業の切り離しを進める取り組みが、生き残りのためには不可欠だ。また、他社との提携や買収により、事業強化を素早く進めようとする試みも活発化しそうだ。特に、スマートフォン、自動車関連企業の買収・提携には気を配るようにしよう(ニュース記事参照)。

 

電子部品メーカー志望者が知っておきたいキーワード

電気自動車
電気を動力として走る自動車のこと。EV(Electric Vehicleの略。イーブイ)とも呼ばれる。また、電気とガソリンを併用するハイブリッド車のうち、外部電源から充電できるタイプはPHV(Plug-in Hybrid Vehicleの略。プラグインハイブリッド車)と呼ばれる。どちらも、多数の電子部品によって制御されている。
HEMS
Home Energy Management Systemの略で、「ヘムス」と読む。家庭で効率的なエネルギー利用を行うための仕組みを指す。家庭での電力消費状況を把握する「スマートメーター」や、家電製品の自動制御技術などを組み合わせて実現する。
ナノテクノロジー
ナノは10億分の1を意味する言葉で、分子や原子レベルの微細さで操作・制御する技術のこと。電子部品産業のさらなる発展のためには、ナノレベルでの加工が求められている。
4K(よんけー)テレビ
画面解像度が横3840×縦2160画素のテレビ。Kとはキロ(1000)のことで、横方向の画素(水平画素)が約4000のため「4K」と呼ばれる。普及すれば、電子部品業界にとっても大きな需要が見込めそう。

このニュースだけは要チェック <買収・業務提携に関する動きが活発>

・村田製作所の子会社であるムラタ・エレクトロニクス・ノースアメリカが、スマートフォン向けのアンテナ関連部品を手がける米ペレグリン・セミコンダクター社を買収。アンテナ関連の一貫した開発体制を確立し、顧客ニーズへの対応力を高めている。(2014年12月15日)

 

・コンデンサや記録メディア分野で実績のある太陽誘電が、車載機器などに強みを持つエルナーと資本業務提携すると発表。製品の共同開発、生産拠点や販売チャネルの相互活用などを進める予定。拡大が見込まれる自動車関連分野を強化する狙いもあるとみられる。(2014年11月14日)

この業界とも深いつながりが <自動車業界との関係が深まる可能性大>

自動車メーカー
次世代自動車の普及で、電子部品へのニーズも大幅に高まりそう

携帯電話メーカー
スマートフォンの売り上げアップに従い、電子部品の需要が拡大中

デジタル家電
電子部品の小型化・性能向上は、デジタル家電の付加価値性アップに直結

 

この業界の指南役

日本総合研究所 主任研究員 吉田賢哉氏

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東京工業大学大学院社会理工学研究科修士課程修了。専門は、新規事業戦略やマーケティング戦略、企業のビジョンづくり・組織戦略など。製造・情報通信分野などの業界動向調査や商品需要予測も手がける。

 

取材・文/白谷輝英 イラスト/坂谷はるか

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