専門商社編

手数料ビジネスからの脱却が不可欠。各社は「川下」や海外への進出に積極的だ

専門商社とは、特定の事業領域に絞ってビジネスを展開している商社のこと。鉄鋼、医薬品、食品、燃料、機械といった取扱品目ごとに、専門性を発揮している。また、資本構成によって、大手メーカーと関係の深いメーカー系(キヤノンマーケティングジャパン、花王カスタマーマーケティングなど)、総合商社系(三菱商事と双日の合弁会社であるメタルワン、三菱商事が主要株主の三菱食品など)、独立系(メディパルホールディングスなど)のように分類されるケースもある。

 

専門商社の事業規模は、幅広い業界で事業を行う総合商社に比べると小さい。例えば、医薬品系大手メディパルホールディングス、鉄鋼系大手メタルワンの売上額は、総合商社大手である三菱商事の数分の1となっている。ただし 、狭い領域に特化しているため、各業界内での存在感はかなりのものだ。なお、事業領域が狭いため、業績はその業界の景況に影響を受けやすいという特徴がある。また、メーカー系の商社は、親会社であるメーカーの収益動向に左右されることも少なくない。

 

従来の商社にとって大きな収益源となっていたのは、原料や商品などの取引(トレーディング)によって得られる「口銭」(こうせん。仲介手数料のこと)だった。しかし近年では、メーカーが商社を通さずに直接取引を進めるケースが増加。商社は、手数料収入が落ち込む危険にさらされている。すでに総合商社は、有望な事業に投資して利益獲得を目指す「事業投資」を増やそうとかじを切った。一方の専門商社も、トレーディング以外の収益基盤を模索中。例えば、メーカーとの経営統合や商品の共同開発、海外企業との提携による生産事業への進出などにより、生産部門を保有して「川上」への進出を図るケースが増えている。逆に、小売企業を買収して「川下」を手がける取り組みも活発だ。

 

特に目立つのが、消費者により近い「川下」に進出する取り組み。医薬品系大手アルフレッサホールディングスは、2014年12月、食品スーパーであるヤオコーの調剤薬局事業を買収すると発表。本格的に薬局事業を手がけてノウハウを蓄積し、ほかの薬局との取引拡大に役立てるのが狙いとみられる。また、燃料系商社の伊藤忠エネクスは、15年5月、家庭向け電力小売事業に参入する計画を発表した。電力会社より安く電気を供給する仕組みを整えることで、新たな収益源の確保を目指している。

 

新たなサービスの開発を進めるケースもある。例えばメディパルホールディングスは、医薬品メーカーに代わって新薬の効能や副作用を調べるサービスを開始すると発表。病院への販売網を活用し、診療現場でのデータを集めることで、医薬品メーカーからの受託件数を増やしていく予定だ。また、グローバル化への取り組みにも注目しておきたい(ニュース記事参照)。これまでの専門商社は、国内における卸業の比重が比較的大きかった。しかし、国内市場が縮小傾向に陥っているため、海外進出によって収益拡大を試みる企業は増えていきそうだ。

 

各分野の主な専門商社を知っておこう

医療・医薬品
メディパルホールディングス(2兆8729億円)
アルフレッサホールディングス(2兆4211億円)
鉄鋼
メタルワン(2兆4216億円)
JFE商事(1兆9344億円)
食品
三菱食品(2兆3372億円)
日本アクセス(1兆7841億円)
燃料・エネルギー
伊藤忠エネクス(1兆3734億円)
三愛石油(8838億円)
機械
岡谷鋼機(8168億円)
日立ハイテクノロジーズ(6375億円)
化学
長瀬産業(7597億円)
稲畑産業(5721億円)
繊維
東レインターナショナル(5764億円)
帝人フロンティア(2023億円)

※かっこ内は、各社の直近期(2015年3月期、2月期もしくは14年12月期)における売上高。

このニュースだけは要チェック <海外進出を目指す動きに注目>

・三菱食品が、中国広東省広州市に現地法人を設立。国内食品企業が中国進出する際の支援、現地のニーズに合った日本食の販売などを行うことで売り上げ拡大を目指す。同社は成長戦略の一環として、中国やASEAN諸国を中心とした海外展開を進めているところ。(2015年4月13日)

 

・メディパルホールディングスが三菱商事と共に、北京大学(中国)が新設した病院の経営管理を支援すると報道。これまでに培った医薬品流通のノウハウを生かし、現地病院の経営効率化を図る一方、国内医薬品メーカーの医薬品拡販にもつなげる。(2015年3月28日)

この業界とも深いつながりが <各分野のメーカーと緊密な関係>

医薬品メーカー
販売網を生かし、新薬開発に役立つデータを収集するケースもある

 

鉄鋼
鉄鋼系専門商社が鉄鋼メーカーと連携して海外事業などを展開することも

 

IT(情報システム系)
各社は在庫管理や入出荷などを効率化するため、物流のIT化を進めている

この業界の指南役

日本総合研究所 マネージャー 田中靖記氏

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大阪市立大学大学院文学研究科地理学専修修了。大阪市立大学工学研究科客員研究員。専門は、未来洞察・新規事業・マーケティング・海外市場進出戦略策定。鉄道・住宅・エネルギーなど、主に社会インフラ関連業界を担当。2015年度より未来・デザインラボ所属。

 

取材・文/白谷輝英 イラスト/坂谷はるか

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