自動車タイヤ編

グローバル市場は順調に拡大。各社は高機能な新製品を開発してシェア拡大を目指す

世界の自動車タイヤ業界では、ブリヂストン(日本)、ミシュラン(フランス)、グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー(通称グッドイヤー:米国)が「3強」とされる。また、住友ゴム工業、横浜ゴムといった国内企業も、グローバル市場の上位にランキングされている。

 

一般社団法人日本自動車タイヤ協会によると、2014年の建設車両用などを除いた四輪車用自動車タイヤの国内需要実績は、4505.4万本。前年(4506.3万本)とほぼ同水準で、国内市場はここ数年、横ばいが続いている。内訳を見ると、乗用車用は対前年比で1.4パーセント減、トラック・バス用は18.8パーセント増、小型トラック用は5.6パーセント増だった。

 

一方、世界市場は新興国需要が伸びているため、順調に拡大中だ。ブリヂストンが公表している「BRIDGESTONE DATA 2015」によれば、03年に198.8億米ドルだった同社の売上高は、13年には365.7億米ドルにまで増加。また、ミシュランの売上高も、03年の180.5億米ドルから13年には268.8億米ドルに伸びている。各社にとって焦点になっているのが、中国市場。新車の販売台数は頭打ちになりつつあるが、自動車の保有台数そのものが増えているため、交換用タイヤの販売本数はさらに伸びそうだ。各社は中国で販売網の強化や高性能タイヤの投入を進め、消費者の取り込みを図っている。

 

先進国はもちろん、新興国市場でも機能性の高い新製品の開発が重要になっている。そこで各社は、パンクしてもしばらくそのままで走行できる「ランフラットタイヤ」、タイヤの内部に音や振動を吸収する素材を埋め込んだ「低騒音タイヤ」などを積極的に開発中だ。とりわけ注目されているのが、転がり抵抗を抑えてエネルギーロスを小さくした「低燃費タイヤ」。ハイブリッド車や電気自動車が普及し、自動車の燃費性能が注目されているため、低燃費タイヤへのニーズは今後高まると予測されている。例えば、ブリヂストンは次世代低燃費タイヤ技術「ologic(オロジック)」を開発中。タイヤの口径を大きくし、幅を狭くすることで、転がり抵抗はもちろん、空気抵抗を減らすことを目指している。

 

中国企業による海外メーカー買収の動きにも注目しておきたい。15年3月、中国メーカーが大手タイヤメーカーのピレリ(イタリア)を買収することで合意した(下記ニュース記事参照)。中国企業の中には豊富な資金力を持つところも多く、このような買収劇は今後も十分に起こりうるだろう。

 

国内市場の伸び悩みに対応し、新たなビジネスモデルを模索する動きもある。このところ各社は、タイヤの表面を削って新たなゴムを張ることで再生できる「リトレッドタイヤ」に力を入れてきた。新品のタイヤよりゴムなどの消費が少なく、環境に優しいのが特徴だ。また、ランニングコストも安いため、物流業界などからのニーズが高まっている。さらに、企業にタイヤを貸し出し、空気圧の管理からリトレッド作業までを一括して請け負うサービスも登場。このように、単に「タイヤを作って売る」だけでなく、「作って売って、管理して再生する」という仕組みがどこまで広がるか、見守っておきたい。

 

上位3企業の世界シェアは小さくなりつつある

2003年における世界のタイヤ市場シェア
1位……ミシュラン 19.9パーセント
2位……ブリヂストン 18.3パーセント
3位……グッドイヤー 16.8パーセント

2008年
1位……ブリヂストン 16.7パーセント
2位……ミシュラン 16.3パーセント
3位……グッドイヤー 13.2パーセント

2011年
1位……ブリヂストン 15.2パーセント
2位……ミシュラン 14.6パーセント
3位……グッドイヤー 10.9パーセント

2013年
1位……ブリヂストン 14.6パーセント
2位……ミシュラン 13.7パーセント
3位……グッドイヤー 9.4パーセント

※アメリカのタイヤ専門誌『タイヤビジネス誌』調べ。大手3社のシェアが小さくなる傾向。一方で、ランキング4位以下のコスト競争力に優れた新興国メーカーが台頭している。

このニュースだけは要チェック <世界規模での提携・合併劇に注目>

・中国の化学メーカーである中国化工集団公司が、イタリアのタイヤメーカーであるピレリを買収することで合意した。買収価格は9000億円以上とされる。ピレリは2013年の世界シェアが5位、134年の歴史を持つ大企業とあって、世界的に注目が集まった。(2015年3月22日)

 

・住友ゴム工業が、1999年から続いていたグッドイヤーとの資本・業務提携を解消することで合意。両社は日本や欧米で協力関係を築いていたが、近年、住友ゴム工業が進出を進めてきた新興国市場では競合関係となっていた。提携の解消により、住友ゴム工業はさらなるグローバル化を進める予定。(2015年6月1日)

この業界とも深いつながりが <技術力を生かして自動車以外の分野にも進出>

建設
建物の耐震・免震用ゴムの開発に力を入れるタイヤメーカーもある

化学
ゴム素材を提供する化学メーカーと、高燃費・低騒音タイヤの開発で協力

スポーツ用品・アパレル
ゴルフクラブやテニスラケットなど、スポーツ関連商品を手がける企業も

 

この業界の指南役

日本総合研究所 副主任研究員 粟田 輝氏

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慶應義塾大学大学院理工学研究科修士課程修了。専門は経営・事業戦略、各種戦略策定・実行支援や事業性評価。幅広い業界・規模の企業を対象としている。最近では、今後さらなる発展が期待されるブラジル市場に注目し活動中。

 

取材・文/白谷輝英 イラスト/坂谷はるか

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