STUDY FOR TWO

団体プロフィール
設立
:2010年5月 活動内容:大学での中古教科書販売事業によるラオスの子どもたちへの奨学金支援 学生人数:学生約600人(男女比=4:6/学年構成=1年150人・2年260人・3年150人・4年40人) 活動拠点:全国の各大学 活動日数:週1回

「勉強したいと願うすべての子どもたちが勉強できる世界の実現」を趣旨に活動するSTUDY FOR TWO。大学生から使い終えた教科書を回収し、それを安価に再販売することで得た収益金を、途上国の子どもたちへの教育支援に役立てています。もともと、早稲田大学のある学生が始めたこの活動は、現在、国内60大学に広がり、参加メンバーも年々増えているそうです。

今回、関西地区でのミーティングが行われるとあり訪問。本部の運営事務局長や大学の支部長を務めるメンバーたちに、活動の中身ややりがいについてお話をうかがいました。

支部や地域ごとのミーティング、全体合宿で情報共有し、課題解決や事業成長につなげる

大学近くの店舗などで回収した教科書を販売

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STUDY FOR TWOは大学ごとに支部を置き、これを東京・関西・北海道など地区ごとに取りまとめ、さらに各地区の取りまとめを運営事務局(本部)が行うという組織で成り立っています。教科書の販売は、学期の始まる4月と10月。不要になった教科書の回収は7月と1月に各支部ごとに行います。大学によっては学内で販売や回収を許可してくれるところもあるそうですが、大半の大学が許可を得られない状況だとか。

写真は同志社大学の目の前にあるフルーツパーラーの店頭を借りて、教科書を販売したときのもの。学部別や学年別に並べたり、販売される教科書の一覧を管理するなど、スムーズに販売できるよう各支部でアイデアや工夫を凝らしているそう。販売にかかわるメンバーは大学の講義もあるので、シフトで調整。長い場合は、10時から17時まで1日中、販売を行うこともあるそうです。

各支部の情報をみんなで共有し、反省。今後に生かす

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写真は関西地区の8大学で活動するメンバーの代表が集まり、半年に1回実施するミーティング「昼活」の様子。以前の関西地区代表が、朝早いのが苦手だったことから昼に開催するようになったが、遠方からの参加メンバーもいるため現在も昼に行われているそう。各地区ごとに行う「朝活」や「昼活」では、半年間の活動内容や販売状況、教科書の回収イベントでの成功理由、悩みなど良いことも悪いことも含めて情報共有。横同士の関係を深めることでつながりを感じられ、次の半年も頑張ろうという意欲につながっているそうだ。

北海道から九州まで各地からメンバーが集まり合宿

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全国からメンバーが集まり、毎年、夏休みの終わりごろに2~4日の期間で合宿が開催されている。写真は2014年9月に、北海道から九州まで120名のメンバーが集まり、静岡県焼津市で開催されたときのもの。合宿ではグループに分かれ、教科書回収率アップなどのテーマに基づいて話し合い、共有。合宿費用の約2万円は各自負担。その費用を払ってでも参加したいという熱意あふれるメンバーも多く、普段は話し合いの場を持つことができない各支部のメンバーとの交流から刺激を受けることが多いのだそう。

支援先の小学校を訪問し活動の意義を再確認

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教科書販売で出た利益の一部は、途上国の子どもたちが学びの機会を得るための奨学金となっている。活動自体は日本で行われているが、実際に支援先の途上国で自分たちの活動がどう役立っているのかを見たい。そこで、14年9月に有志メンバーでラオスの小学校を訪問。奨学金支援はもちろん大切だけれど、専門教育をうけていない現地の教育者のレベルアップなど別の必要性も痛感したそう。まだまだやるべきことはあると感じ、いっそう活動への思いを強くしたメンバーも多かったようです。

代表者インタビュー

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写真左から

下郷直人(しもごうなおと)さん/大阪・神戸地区代表 関西学院大学理工学部 3年

金岡武蔵(かなおかたけぞう)さん/初代京都大学支部長 京都大学農学部 2年

鈴木康太(こうた)さん/京都地区代表・立命館大学BKC支部長 立命館大学理工学部 1年

大谷(おおたに)直之さん/運営事務局長・関西外国語大学支部長 関西外国語大学国際言語学部 2年

増田邦浩(くにひろ)さん/初代関西大学支部長 関西大学環境都市工学部 4年

藤木大智(だいち)さん/中国・九州地区代表 広島大学総合科学部 3年

Q1 活動の目的や活動するうえで大切にしていることは?

目的は、教科書の再販売という活動を通じ途上国の教育環境の支援や整備を行うこと。大切にしていることは、教科書を提供してくれる学生の皆さんにもメリットを提供することです。使い終えた教科書を再販売するにあたり、購入者には教科書が安く手に入るというメリットがあります。なので、教科書を提供する側にもメリットができるようにと、フットサルイベントの割引券配布、福引きでの商品提供など、いろいろと企画しています。(下郷さん)

Q2 団体に入ったきっかけは?

ボランティア活動というものには、まったく興味はありませんでした。たまたまツイッターで団体を知り、詳しく調べると、教科書の再販売という学生にとってもメリットのある活動が、結果としてボランティアにつながっている。その自然な流れに興味を持ちこの団体に入りました。(増田さん)

高校3年生で参加したビジネスコンテストで、STUDY FOR TWO創始者の早稲田大学・石橋孝太郎さんの講演を聞き、ビジネスモデルに共感したんです。立命館大学に入学し、団体に加わろうと思ったのですが、僕のいるBKC(琵琶湖草津キャンパス)には支部がなく、自分で立ち上げました。(鈴木さん)

Q3 活動を通じて何を学んだ? どんなことを得ている?

支部長として、PR活動を含め回収から販売までの全体の流れを考えたり、各メンバーのモチベーション維持に努めたり、リーダーとして組織を運営し、まとめるためのスキルを日々、学んでいます。仲間が辞めてしまったり思うように動いてくれないなど、人を動かすことの難しさも痛感しています。(金岡さん)

本部である運営事務局スタッフは、各地区や支部で抱えている問題点をくみとり、どうやって解決すればいいのかを客観的に考える立場。だからこそ、地区代表や支部長と密なコミュニケーションをとり、問題把握や状況判断などを心がけています。(大谷さん)

Q4 ズバリ、STUDY FOR TWOに入って良かった?

良かったと思います。大学の友人とはまた違うタイプの友人ができ、その仲間が団結して目標に向かうという有意義な経験ができます。ただし、販売結果が数字でクリアに出るので、楽しくワイワイといった活動とは違うシビアな面も。だからこそ考えながら行動し、それが人としての成長につながると思います。(増田さん)

団体に入ったきっかけは、興味の方向性もさまざまな人が、同じ目標に向かって活動している素晴らしさを実感したから。全国のいろいろな地域に友人ができ、なんだか日本って小さいなって感じています(笑)。(藤木さん)

Q5 逆に大変だった・つらかったことは?

別のサークル活動が忙しい、ついていけない…などの理由で辞めていくメンバーもいるんです。長い間一緒にやってきたのに気持ちをくみとれなかったこと、重点を置く活動だと思ってもらえなかったことに落胆することも多いです。(金岡さん)

運営事務局長として、2015年度の売り上げ目標の設定をしなければなりません。途上国の子どもたちへのより規模の大きい教育支援を実現するために、14年度よりも数字を伸ばさなければならないプレッシャーは大きいし、各支部に無理を言うことになるのもつらいですね。各支部の現状に合った数字を設定できるよう、密に支部の状況を把握するようにしています。(大谷さん)

《社会人との出会い・つながり》

団体メンバーは大学生ばかりですが、活動趣旨に賛同してくださった企業の担当者とのやり取りはあります。例えば、活動状況や教科書回収キャンペーンなどをツイッターで広報するのですが、その記事に企業のURLをリンクさせてPR。リツイートの回数に応じて寄付金を頂いています。その運用や寄付金についての交渉なども行いました。(下郷さん)

団体の活動に興味を持ってくださった引っ越し会社とやり取りしています。僕の支部はツイッターのフォロワーが800人以上いるので、そのフォロワーに対して引っ越し会社を紹介するDMを送信する。大学生から引っ越し作業の依頼が入った場合は、引っ越し会社に団体の説明や教科書の回収をしていただくという契約をしています。(鈴木さん)

教科書回収のイベントやキャンペーンでの景品・割引サービス提供などで、企業に支援をお願いしています。何名かのメンバーで企業を訪問し、活動趣旨などを説明しプレゼン。STUDY FOR TWOの活動に賛同し、協力してくださる企業にはとても感謝しています。(大谷さん)

《これから団体・サークル選びをする皆さんへ》

大学を超えて活動する団体やサークルには、たくさんの出合いがあり、刺激をもらえます。まず興味を持った団体の活動内容をきちんと調べ、実際にかかわっている人に話を聞き、それでもやりたいと思えるなら、チャレンジしてみてください。(大谷さん)

団体もサークルも、人で成り立っているので、合う・合わないはあると思います。自分に合う活動を見つけるには、たくさんの団体の話を聞き、体験参加をしてみるのがいいのではと思いますよ。(藤木さん)

取材・文/森下裕美子 撮影/笹木 淳

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