知れば世界が広がる!「学生団体」活動レポート

Vol.2 理系コミュニティ 理系+(ぷらす)

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団体プロフィール
設立
:2011年 活動内容:理系学生向けのイベント企画・運営、Webメディアによる情報発信 学生人数:28人(男女比=5:5/学年構成=1年生2人・2年生9人・3年生6人・4年生6人・大学院生5人)、ほか社会人2人 活動拠点:関東エリア 主な活動場所は都内の貸会議室 活動日数:月4回

理系+(ぷらす)のコンセプトは、「理系学生に学び・気付き・出会いの場をリアルでも、ネットでも」。大学や分野の垣根を越えて、理系学生同士のコミュニケーションをもっと増やしたいと2011年に立ち上がりました。学業が忙しく、研究に多大な時間を費やす理系学生。一度研究室に入ると、研究内容に没頭し、自分の研究会メンバー以外のコミュニティを持つのが物理的に難しくなるという特性があります。「研究分野への知見は深くなるけれど、視野は狭くなりがち」、そんな理系学生ならではの悩みを解決しようと、さまざまな大学の理系メンバーが集まって交流会を始めたのが、設立のきっかけとのこと。今回は、大学も研究分野も異なるメンバー4人に、理系ならではの強みを生かした活動内容を聞いてきました。

 

「リアル」のイベント運営と「ネット」での情報発信を両立

リアルな場で「学び、気づき、出会い」の機会を作り出す

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4カ月に1回のペースで、理系同士のつながりを生み出すさまざまなイベントを企画・運営。2014年5月には「国立科学博物館交流会」を実施し、研究分野の異なる理系の大学生・大学院生をはじめ、高校生や社会人から60名ほどの参加を募り博物館巡りを行いました。さまざまな年代・得意分野を持った方々が参加するため、館内に展示されていた元素の周期表を見れば、その分野に強いメンバーが「元素がどういう経緯で発見されたのか」をレクチャーしてくれるなど、話が思わぬ方向へ広がっていったそう。博物館巡りの後は会議室に移り、発見や学びを理系の目線で話し合うことで、さらに知識と交流を深めました。また、8月には理系+内の院生を呼び、小さな学会のような「院生研究発表会」を運営するなど、学びの場を幅広く提供しています。

 

代表メンバーが集まり月に2回ミーティング

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理系+には主に、イベントを企画運営する「イベントチーム」、Webサイト上で情報発信を行う「Webチーム」、Webサイト閲覧データをリサーチしてコラム内容や配信内容をアドバイスする「マーケティングチーム」の3つがあります。月2回は各チームの運営メンバーが集まり、進捗状況を共有。イベントごとに参加者にアンケートをとり、満足度を調べて次のイベントに生かすなど、PDCAサイクル(Plan: 計画、Do: 実行、Check: 検証、Action: 改善)を回しながら進めます。マーケティングチームは、アクセスの多かったコラム内容を分析し「こんな内容ならニーズがあるのでは」と仮説を立ててWebチームにフィードバック。「予想通りにアクセスが増えたときの爽快感はクセになる」そう。

 

Webサイトにて理系イベント情報やコラムを配信

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理系学生への情報発信サイトのほか、進路に悩む高校生への情報提供を行うサイト『りけいのたまご』を2014年11月にオープン。理系学生28人にインタビューを行い、取材、記事の編集、サイトデザインまで1年以上かけて準備を進めたとのこと。記事の執筆は、コミュニティメンバーという、イベント記事の作成や告知協力をしてもらう仲間(学生・社会人など約400人)にお願いしているのだそう。学生インタビューは、同じ理系同士だからこそ、共感できることも多く「一人ひとり違う人生に触れられるのが刺激的だった」と言います。写真は『りけいのたまご』取材で撮影中のひとコマ。

 

 

代表者インタビュー

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写真左から

高田哲朗さん/イベントチーム代表 明治大学大学院 理工学研究科電気工学専攻 1年

高崎理子さん/マーケティングチーム代表 北里大学 薬学部薬学科 4年

太田雅人さん/団体代表 芝浦工業大学 工学部材料工学科 3年

杉内茜さん/Webチーム代表 明治大学 理工学部情報科学科 2年

 

Q1 活動の目的や活動する上で大切にしていることは?

理系学生は、自分の研究に没頭し、他分野の学生とのコミュニケーションが希薄になりがちです。そこで、理系という大きなくくりで情報交換ができる、「学び、気づき、出会い」の場を作ることが理系+の役割だと思っています。(太田さん)

活動する上で「学業をおろそかにしない」というのがモットー。代表・太田による成績チェックもあるんですよ(笑)。ほかのメンバーと活動する中で「こんな研究をして面白かった」など、学業について熱く語ることも多く刺激を受けます。理系+に入って成績が上がりました!(高崎さん)

Q2 団体に入ったきっかけは?

理系+の元代表が大学同期の友人だったんです。軽い気持ちでイベントについて行ってみたら、大人数の前で堂々と話している彼女の姿にびっくり。勉強もサークルも忙しいのに、なんてカッコいいんだろうと思って、憧れの気持ちから入りました。(高崎さん)

団体のことを知ったのはツイッター。自分の研究分野以外の理系メンバーとたくさんつながれるんじゃないかと思い、イベントに顔を出したのがきっかけです。知的好奇心の強い、面白いメンバーが多いし、他大学に友人ができるのがうれしかったですね。(高田さん)

Q3 活動を通じて何を学んだ? どんなことを得ている?

人前で話すことに自信が持てるようになりました。最初はすごく苦手だったのですが、Webチームのリーダーとして月2回のミーティングで活動報告をする中で抵抗感もなくなりましたね。年齢も研究分野も興味関心も異なる方と出会い、話す機会が多いので、「どんな言葉だとわかりやすく伝わるだろう」など、相手のことを考えて話す余裕も生まれました。(杉内さん)

団体の代表として各チームの進捗を管理する際には、先回りしてコミュニケーションをとる大切さを学んでいます。そもそも、研究職気質のメンバーが多い理系+。自分の役割に没頭すると、報告や相談のないまま進んでいたり、あるいはプロジェクトが止まっていたりすることもあります。どういう状況なのか、こちらから積極的に聞くクセがつき、コミュニケーション力はぐんと上がったと思います。(太田さん)

Q4 ズバリ、理系+に入って良かった?

はい! サイト運営にかかわれることがうれしく、充実しています。高校生向けの情報発信サイト『りけいのたまご』では、一度に閲覧できる記事を多く表示できるようサイトのデザインを再構築するなど、「もっとこうした方が使いやすいのでは」と考えたことをすぐ改良して検証できるのが面白いですね。(杉内さん)

マーケティングチームでも、アクセス数分析の結果を受けて「今度こうしよう」と行動に移せるのが楽しい。自分たちが動かしている、という手ごたえがやりがいにつながっています。(高崎さん)

Q5 逆に大変だった・つらかったことは?

メンバーの思いがぶつかってイベントの方向性が定まらないとき。イベントを「科学に対する考え方を学んでほしい」という真剣な勉強の場にしたいメンバーと、「楽しい出会いの場になればいい」というメンバーがいて、議論が平行線になったことも。18時に集まって22時までひたすら討論しました。でも、意見をぶつけ合ってより良いものが生まれていくプロセスはとても面白いですね。(高田さん)

 

《社会人との出会い・つながり》

理系交流会やイベントに社会人の方も参加することがあり、就職先の選び方、将来の考え方について学ぶことが多いですね。私は薬学部なので、卒業後は薬剤師になるしか道はないと思っていました。でも、理系学部から営業職に就職した社会人の方から「道を狭めたらもったいない」と言われて、目からうろこ。「薬学を勉強したのは人生の中のたった4年。その4年にしばられて、これから先の人生を決めちゃうの? 一度視野を広げてみたら」とアドバイスされたんです。はっとさせられたその言葉を、今でも鮮明に覚えています。(高崎さん)

 

《これから団体・サークル選びをする皆さんへ》

最初から興味関心を狭めず、アンテナを広く張って、自分が成長できる環境探しをしてほしいです。 (高田さん)

理系+に入る前はインドア派でしたが、一歩踏み出したことで世界がすごく広がりました。「私は苦手だから」とか「私には向いてない」などと、自分で決めた自分の枠にとらわれず、少しでも興味を持てる団体に出合ったら、勇気を持って行動に移してほしいなと思います。(高崎さん)

 

取材・文/田中瑠子 撮影/刑部友康

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