今回は、中国でのビジネスの秘訣を、駐在員目線で紹介します。同じ東アジアでも日本とは全く異なるスピード感を持つ中国のビジネススタイルとは?そのスタイルにどう合わせていけば、日本でビジネスが成功するのでしょうか?
中国式ビジネスのポイントは、スピード感と広い人脈作り
こんにちは、GT2000 Shanghaiです。今回は、中国でのビジネスの特徴や、日本との違いなどについて紹介します。
中国と日本は、同じ東アジアの国で、似ているように思うかもしれませんが、ビジネスにおいては考え方がまったく異なります。
パワフルに動き、素早く決断することが求められる
まず、中国の企業は、トップに決断力があり、決断のスピードも速いです。中国は国民の平均年齢が相対的に低く、付き合いのある企業トップは、30代半ばから40代前半くらい。そして、彼らの多くは、まずやってみて、やりながら細かい修正を重ねていくというスタイルで新しいことに勇敢に挑戦する気概を持っています。一方、日本企業は、調査に調査を重ねて一歩一歩事業化の可能性を検討するものの、迷った揚げ句に結局何もやらなかったり、決断が遅くて市場を取り損ねたりする場合が多い印象を受けます。
また、マーケティング手法や社内管理システムも、日本より進んだものを導入しているケースが多く見られます。
「人脈=関係」を重んじ、業界で顔が広いことが大事
次に、中国は、人脈がモノを言う社会で、人脈や、人間力とでも言える人としての魅力がなければ商売はできません。人脈のことを、中国では「関係」と言います。ひと言で説明するのは極めて難しい概念ですが、特定の人間との強固なつながりを意味し、同郷であることや同じ大学出身であることが人脈となる場合もあれば、業界で顔が利くことも人脈になります。これら以外でも、相手との関係を結びつける強力なファクターがあれば、人脈が形成されます。
その上、家族間、友人間、ビジネスパートナー間など、それぞれの局面で信頼関係の形が日本とずいぶん異なります。まず、中国人が最も信頼するのは家族です。家族以外には冷淡と言ってもいいでしょう。一方で、友人とはドライな関係は禁物。しばしば一緒に食事をし、相手の子どもの面倒を見るなどもします。そして、ビジネスパートナーは、よほど苦楽を共にしてきた仲でない限り、利益がすべてのドライな関係です。
これらのことから、中国で商売をするには、パワフルに動き、素早い決断を繰り返すことや、相手への配慮と面子(メンツ)を重んじながらコミュニケーションを進めていくことが求められます。そして、個人的な人脈を広げることも重要です。
国土が広大な中国。出身地域によって人々の気質もまったく異なる
また、地域性も理解しておきたいことの一つです。地域によって考え方も、顔の形も、しゃべる言葉もまったく異なるのです。
保守的で排他的な上海、自由でオープンな広東省・深圳(しんせん)
大まかな傾向を紹介すると、上海人は保守的で、起業するよりも会社の中で昇進することを好む傾向が強いです。加えて、排他的で、上海以外の地方の出身者を軽視する傾向があります。これは、サービス業にも表れていて、ホテルであっても対応やサービスがとても高慢に映ります。一方、中国の改革・開放政策(※)の口火を切った広東省・深圳(しんせん)は、全国からの移民を受け入れてきた結果、起業家を最も多く輩出し、人々にはオープンで自由な気質があります。
(※1978年から行われた、市場経済体制への移行政策。深圳は経済特区に指定され、外国企業の誘致が積極的に行われた。)
純朴でユーモアあふれる大連以北の東北人。漫才師も多数輩出(?)
また、大連以北の東北人は純朴で大らかな性格で、ユーモアにあふれています。名の知れた漫才師を最も多く輩出しているのも、東北地方です。細かいことを気にしない性格の人が多いですが、ビジネスライクな付き合いを嫌がり、より心を通わせる付き合いを好む傾向もあります。
いずれにしても、一人ひとりが地元愛を強く持っている傾向にあるため、ビジネスを行う上では、地元を褒める、地元の歴史などに敬意を払うようにしています。
このような環境で、どのようにビジネスを成功させるのか。次回は、私の成功体験を紹介します。
習近平政権が推進する「社会主義の核心的価値観」の看板。「富強、民主、文明、調和」など12の二字熟語で、国として目指すべき姿を表していて、街の至るところに掲げられている。社会主義国にいることを実感する光景だ。
春節のおせち料理のようなもの。基本的に肉か魚しか食べない。
春節を迎えるときは、花火や爆竹を鳴らしてお祝いをする。
同じく春節の一コマ。街角で紙のお札を燃やして先祖を迎える。
構成/浅田夕香