サウジアラビアで国家規模で展開しているプロジェクトに日系企業として参加している。現地での楽しみは、料理や外食、ゴルフやサッカーなどのスポーツと、釣りやバーベキューなど。
新郎と踊るデュエットダンス
こんにちは。nk4です。今回は、サウジアラビアという国を特徴づけるイスラム教の文化についてお話しします。
サウジアラビアの国教はイスラム教のため、国の文化もイスラム教の戒律に基づいています。特に印象深かったのは、顧客であるサウジアラビア人の結婚パーティーに招待された時のこと。「久々に女性と話せるかも!」と喜んで会場に向かったところ、出席者は男性のみであることが判明。新婦の姿を見ることすらできませんでした。
聞くところによると、こちらの結婚披露パーティーは、新郎新婦がそろうことはなく、新郎側と新婦側とで、それぞれ別々の日に開くもののようです。招待状も、新郎新婦の父親が差出人となっており、「われわれの息子・娘の結婚祝いに来てください」というニュアンスで書かれています。パーティーは両家の男性の親交を深めるという意味合いが強く、日本のように結婚する二人の門出を祝うのとは、目的自体が異なるようでした。
なお、パーティーは、開始時間もはっきりとは決まっていなくて「22時半ぐらい」ととてもアバウト。深夜0時ごろからダンスが始まり、そのあとは流れ解散という、かなり斬新なプログラムでした。リズム感がないためダンスが苦手な私は「絶対に踊らない」と決めていたのですが、突然、見知らぬサウジアラビア人男性に肩をつかまれて会場の中央に連れ出され、無理やり新郎とのデュエットダンスを披露する羽目に。「踊り」といっても、新郎と向かい合って両手をつなぎ、ピョコピョコ回転するような感じの踊りでしたが、参りました。別の機会に、花いちもんめに似たダンスを踊らされたこともあります。
もともとは別々の国だったサウジアラビアの主要都市
サウジアラビアが現在の形に統一されたのは、つい80年ほど前の話。それまでは別々の国だったので、地方によって文化が全然違います。簡単に言うと、東に大都市コバール、西に大都市ジェッダ、真ん中に首都リアドがあり、それぞれ文化が異なるのです。私のお気に入りはジェッダで、日本でいうと大阪のような賑(にぎ)やかさがあり、明るい人柄の人が多いように思います。ジェッダでは、ベール(アバヤ)で顔を隠していない女性が多く、くっきりした目鼻立ちの美女が多い印象もあります。なお、顔を隠すかどうかは各家庭の方針によるそうで、単純にイスラム教の戒律が緩いとか厳しいとかいう話ではないそうです。
なお、サウジアラビアは現在、イエメンと戦争をしていますが、意外なことに、人の移動には制限がかかっていないのか、近くの街のレストランではイエメン人が多く働いています。彼らは、ラマダン時期には帰国し、ラマダンが明けるとまたサウジアラビアに戻ったりと、自由に行き来をしています。デリケートな話題なだけあって、直接彼らに聞いたわけではないのですが、どうやら戦争状態にあっても、市民レベルでは表立って敵対するような態度を取っていないようです。ただ、こういうご時世であることもあり、街中では、テロや王に関する話はご法度。いたるところで秘密警察が目を光らせていて、うかつな発言をするとスパイ容疑がかかると言われています。
ちなみに、イエメン料理は薄味で自然の出汁(だし)が効いていて最高においしいと思っています。特に、「マスーブ」というスイーツが私のお気に入り。ナンとバナナ、デーツをすり潰(つぶ)して蜂蜜を混ぜて食べるのですが、東京・原宿の竹下通りに店を出したら間違いなく流行(はや)ると思うくらい、日本人の味覚に合っていると思います。
次回は、私のサウジアラビアでの暮らしについてお話しします。
結婚パーティーで、新郎と踊っている時の光景。周りの参加客たちは、男同士のダンスを笑いながら見ていたり、カメラを構えて撮影したりしていた。
結婚式の円卓に運ばれてきた料理。サウジアラビアの料理には、米を使うものが多い。
サウジアラビアに数多くあるイエメン料理のレストラン。右上、スプーンが刺さっている料理が、お気に入りのスイーツ「マスーブ」だ。
サウジアラビア西部の大都市ジェッダのプライベートビーチ。
砂嵐の様子。視界が遮られ、自動車の運転にも危険が伴う。
構成/日笠由紀