【ベルギー編】多国籍企業での仕事にはチームワークが大切

Reported by コーラル
ベルギーのブリュッセルにある多国籍企業のオフィスに勤務。ワインや産地直送の新鮮な食材のおかげで、現地での食生活も充実中。週末を利用して、パリ、ロンドンやそのほかのヨーロッパの都市を気軽に訪れる小旅行が、気分転換にもなっている。

こまめな「報・連・相」が求められる

はじめまして。コーラルです。ベルギーのブリュッセルにあるイギリスベースの多国籍企業のオフィスに勤務しています。

約30人ほどいる同僚たちは、ヨーロッパ諸国から来ており、一番多いのがフランス人。あとは、イギリス人やイタリア人、オランダ人などで、ローカルのベルギー人も同じ割合です。ヨーロッパ以外から来ているのは、私とアメリカ人の2人のみとなります。クライアントは、欧州連合(EU)の各専門機関や国際機関、現地や海外、日本の民間企業なので、やはり直接やりとりする担当者の国籍はさまざまです。

このように、多くの同僚の国籍がヨーロッパ各国であることや、当社がそもそも英国ベースの多国籍企業であることもあり、仕事の場面では、英語が共通言語となります。ただし、ブリュッセルではおもにフランス語が話されているため、第一、または第二言語としてフランス語を話す同僚が多く、日常ではフランス語が使われることも多いですね。私のチームではありませんが、クライアントがフランス人の場合は、フランス語を第一言語として仕事をしているチームもあるようです。社内会議や打ち合わせの際も、英語とフランス語を半々で話していたり、フランス語からいきなり英語に切り替わったりすることがあり、その場のメンバーに応じて、臨機応変に切り替えている印象です。広島生まれの私が、広島の友人と会話するときは広島弁、そうでないときは標準語に、自然に切り替わるのと同じ感覚でしょうか。

なお、日本語を使うのは、日系企業など日本人顧客とのやりとりのみ。電話は日本語ですが、メールでは英語でやりとりする場合があります。以下、その理由を、私の職場の仕事のやり方とともに説明します。

そもそも欧米の多国籍企業というと、個人プレーが当たり前というイメージを持たれがちですが、私の会社ではまったく逆で、常にチームで仕事をするからです。私が担当しているクライアントも、私1人が受け持っているわけではなく、チームで相談しながら作業を分担します。チームの誰かが休んでいたとしても、残りのメンバーで対応できるよう、常に情報を共有することが徹底されているため、クライアントとの重要なメールは、英語で書いた上で、「CC」(カーボンコピー機能)を利用して皆で共有する必要があるのです。日本語を使うのは、そうして英語で連絡した件のフォローアップ(補足)や細かな詰め、確認など。つまり、複数でやりとりする際は英語で、日本人顧客との個別のやりとりは日本語になるという感じです。

このようにチームでの業務が主体となっているため、「報・連・相(報告・連絡・相談)」といった密なコミュニケーションは意識的に行わなければなりません。そのため、こまめに打ち合わせや説明の機会を設け、情報共有を徹底するように心がけています。また、日系企業がクライアントとなる業務に関しては、同僚たちに対して、日本の企業文化や日本人特有の考え方なども含めて説明をするようにしています。日本独特のビジネス慣習を理解してもらうことで、日本のクライアントとのコミュニケーションに齟齬(そご)をきたすことがないようにしているのです。

転職を前提としたキャリアアップが主流

日本との違いを痛切に感じるのは、キャリアアップのあり方。日本では、ひとたび総合職として採用されると、一つの会社の中でさまざまな職種を体験することを通じて「ジェネラリスト」として育成されることが多いと思いますが、こちらでは、各自が自身の専門性や責任分野を持つ「スペシャリスト」として業務を経験することで、よりその専門性を高めていく傾向が強いように思います。日本と違って、同じ会社にとどまっている限り、ずっと同じ仕事に従事するしかないことが多く、将来にわたって、大幅な昇給は望めません。そのためか、今の会社のポジションで最大限に専門性を高めたら、次はより良い環境を求めて同じ職種で転職することが一般的になっているように感じます。転職を前提として、今より良い待遇をと考えているためか、非常に真剣に仕事に取り組んでいる印象です。そうして、自分のプロファイル(スキルや経験のレベル)を高めるために、今の仕事で成果を出して、経験に厚みを出そうという狙いなのでしょう。

ただ、こちらでは、労働者の権利が強いため、一度雇用すると、解雇する際には企業に金銭的負担があるようなので、「一定の成果を出さないと解雇されてしまう」といったような切迫した危機感はないようです。

次回は、ベルギーの文化についてお話しします。

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勤務先で飼っているペットの犬。会社のマスコット的存在で、社員一同癒やされている。

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FIFAワールドカップ(TM)直前からベルギー代表チームが敗退するまでの間、多くの人が応援のために自家用車につけていたベルギー色のミラーカバー。

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同じくワールドカップ期間中にベルギーの国旗をつけて走る自動車。商業用の自動車も誇らしげに国旗をたなびかせて路上を走っていた。

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ベルギー料理で特にお勧めな白アスパラ。ベルギーに限らず、ヨーロッパ全土で人気の食材だ。

構成/日笠由紀

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